172: 再戦② ~『復活』スキル~
『復活』スキル――。
文字通り、死んでもよみがえるスキルだ。
これは珍しいスキルで、所持する魔物はかなり限定されている。
冒険者の中では、『復活』スキル持ちの魔物とその生息地を、セットで答えられる者が少なくない。
「うぉ~! マジで動き出した!」
新種の魔物は復活と同時に、ゲイルさんに攻撃を仕掛ける。
彼はすぐ避けたけど、私も障壁を張ってさらなる追撃を防衛した。
「シャーロット、気づいてくれてありがとうよ! 復活スキルがあるとは、まったく想像もつかなかった……、気が緩みかけていたから危ねぇところだった。ただ『復活』スキルってぇのは……、ダンジョンボスでしか見たことなかったがよ」
「……不思議ですよね。さすが新種の魔物といったところでしょうか……」
『復活』スキルを所持する魔物とその生息地、それを抱き合わせで知っている人がいる――ということはつまり、今のところ「ダンジョンボス」と言われる魔物しかいないからだ。
ダンジョンボスとはその名のとおり、ダンジョン内にいる一番上の存在として君臨する魔物のことだ。
「どこそこのダンジョンのボスは二回も戦わないといけないから注意!」と覚えられていることが多い。
……ここまで来るのに城壁から落ちて本当に肝を冷やしたけど、――現場に来て、彼らに伝えることができて、よかったと思う。
ダンジョン以外の森からやってきて、町を襲うこの新種の魔物が『復活』スキルを持っているとは、到底考えにくいことだ。
普段『復活』スキルを持っている魔物と戦うときは、元々二戦をやる前提で準備をし、メンバーの状態や戦力を考えて、一戦目は体力や魔力などを温存して戦う工夫をする。
でも、今回の新種の魔物はダンジョンから来たわけではない。まさかすぐ再戦することになるとは夢にも思わなかったはずだ。
『羊の闘志』さんたちだってこの一戦は、魔物を必要以上に傷つけないよう慎重に戦って、疲れが出ている。
もちろん私が来なかったとしても、彼らは強いからそのまま戦えるに違いなかっただろうけど、そのまま城壁で待っていたよりずっといいはずだ。
そもそも新種の魔物が来てすぐ、千里眼メガネで見ることができればよかったんだけどなぁ。見た記憶が全然ないなぁ。
魔物の種類の項目が空欄で、そっちに集中しちゃったのかな。体力や力の項目にばかり目が行っちゃっていたのかな。
それともスキルの項目は、いくら千里眼メガネでも遠すぎて見えなかったのか……ちょっと覚えてないなぁ。
千里眼メガネが壊れちゃったから、もう確認しようがないし……。
さてでは確認しようがないことや、なぜそんなスキルがあるのか、その解明はあとにして私も参戦しなければ。
やっとまともに見ることができる姿となったことだし、新種の魔物を障壁で囲もう。
ゲイルさんを守ったときの障壁は外していいかな。いつもどおり前後左右の障壁に天井をつけて……、今度もペリドットを奇麗なまま倒したいもんね。
「ただな、シャーロット」
「どうしましたか、バルカンさん……皆さん?」
新種の魔物が本格的に暴れる前に障壁を張っていたところ、バルカンさんが真剣な面持ちで話しかけてきた。
いや……それどころか、『羊の闘志』六人全員が私をじっと見ていた。――どうしました?
「復活したんだからよ、あの障壁は解いてくれや」
「……? はい?」
「新種の魔物戦はまだ終わっちゃいねぇ。しかも俺らはまだ戦えるし、まだ助けを求めてねぇ。――つまり、まだ俺らだけで戦うってぇことだ」
「…………」
……いや、いやいや~……冗談ですよね……?
復活はしましたけど、一度は倒したんだから、連戦しなくてもよくないですか?
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