171: 再戦① ~それは動いた~
12月3日にコミック③巻発売予定です!
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バルカンさんは私の様子にすぐ、その隣にいるファンタズゲシュトル亜種に目を向けた。
そのオバケの表情に何かを察したようで、緩みかけていた顔が一瞬で引き締まる。
「おい! そこから離れろ!!」
彼が後ろに振り向きざま、仲間に鋭く注意するとそれは動いた。
首のない死体がゆっくり起き上がったのだ。
残った右腕で上体を支えたかと思うと、切断されたはずの左腕から骨が伸びるように生成され、筋肉も血管も同様に手の先へ向かうように作られていく。
それと同時になくなった首からも、同じような現象が起こった。
首の骨から形成されるに始まり、骸骨となり、血管が……筋肉が……いやいやいや。
うわ……結構、相当、気持ち悪い。べちべちグチョグチョみちみちと音もするし~……。
こんなときにかぎって晴れるからよく見えるし、道のど真ん中だから木で隠れないし~……。
かといって後ろを向くと突然の攻撃に対処できない。
ゲイルさんの腕を治したときはこんな音しなかったけど?
それなら、ファンタズゲシュトル亜種の顔を間近で見たほうがまだマシだ。
「――ギャーッ、ハッはっハッはっハ――ッ!!」
捕獲しているそれを前に移動させると、案の定それは私の方を向いて大爆笑(ついでに混乱ボイス)をしていたけど、この際気にしない。
このファンタズゲシュトル亜種で気持ち悪いところを隠して、見ても大丈夫そうなところだけ覗こう。
いや、だめだ。ファンタズゲシュトル亜種は半透明だ。完全には隠れない。
このオバケめ……今は月が出ているのに元気すぎないかな? あ、木陰に入っているのか。
じゃあ移動して……って、それじゃやっぱり気持ち悪い部分が見えちゃうし……。
「な、なんだ~~?!?」
「何が起こっているんだい!?」
ゲイルさんやマルタさんたち『羊の闘志』も、新種の魔物がよみがえる様を見て驚愕する。
その魔物はもうしっかと立ち上がり、毛が生え始めている。
新種の魔物が周りを見渡す素振りをしたことで、額がキラリと輝くのも確認した。もちろんペリドットも他の部位と同じく元どおりだ。
ファンタズゲシュトル亜種を盾にしてまもなく、新種の魔物は最初にここに着いたときと変わらない姿に戻ってしまったのだ。
「――こりゃぁ……、『復活』スキルか……!」
バルカンさんにも心当たりがあったのだろうスキル名がつぶやかれた。
「きっとそうです! 隣のオバケの様子がおかしいので、何だか嫌な予感がしていたんです!」
本当のところ、「きっと」ではない。
実際『鑑定』スキルで表示されていたのは、『復活』スキルだ。
いつものごとく『鑑定』スキルのことは伝えられないから、ファンタズゲシュトル亜種の行動によって不吉な予感がしたことにしておく。
お知らせの前に。
レビューいただきました。
丁寧にご紹介されていてとても嬉しく思います。
誠にありがとうございます!
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コミック版『転生した受付嬢のギルド日誌』
chapter42が「待つと無料」に、
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