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転生した受付嬢のギルド日誌  作者: Seica


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162/243

162: お帰りなさい② ~弱点は……~


 風で葉っぱの擦れる音を聞きながら、私は目的のファンタズゲシュトル亜種を目指して走る。


「ぜぇ……ハァ……ふぅっ…………」


 いや、歩く。

 さっきまで、動きにくい足の状態で走ったから……、今は歩くのだ。

 やはり宙を浮いていた(?)とき、余計な力を入れていたようで、いつもより足の動きが鈍い気がする。


「ハァ……、意外と、遠い、なぁ……」


 上から見たときはさほど遠く感じなかった戦場は、実際走ってみると結構遠い。

 しかしそれでも、さっきまで相当数いたスモークグリーンフォックスや、ダークフォレストラットがいないのは嬉しい。

 北にはまだ残っているものの、門前付近の制圧は完了したようだ。

 魔物がいても私の箱障壁で攻撃は防御できるけど、うじゃうじゃいたらかき分けて進むのは面倒だ。だから、とてもありがたい。

 そういえば熊の魔物もいたけどどこかな……あ、ギルマスや他の冒険者さんたちが相手をしているようだ。ここから南側にいる。

 道に迷わないよう『探索』スキルも使っているから、目ではわからない北や南側の様子も把握もできた。

 この『探索』スキルでは、私の目的地と距離が少しずつ短くなっていることもわかる。私が向かう先で、戦闘音もだんだんとはっきり聞こえてくるようになってきた。

 彼らは西の丘から、ここアーリズまで繋がる大きな通りで戦っている。

 新種の魔物は巨体だから、森の中より多少は開けた場所で戦っているようだ。

 オバケを捕まえるのにもちょうどいい。


「こっち来ちゃったんだね。シャーロット」

「あ、マルタさん!」


 ついにたどり着いた。

 雲が隠れていることで、ファンタズゲシュトル亜種の混乱ボイスから離れているマルタさんと出会えた。


「ちょいと、こっちはまだまだ戦えるよ。手助けしてくれるのはまだ早いからね?」

 しかし早々に釘を刺された。


「あ、いえっ、新種はもちろん『羊の闘志』さんにおまかせします! 私はあのオバケに用がありまして……」

 マルタさんに、ファンタズゲシュトル亜種を捕らえる目的を話した。


「それにっ、このあと月がずっと隠れるようなら、ファンタズゲシュトル亜種の脅威をなくしたほうが、断然そちらも戦いやすいでしょうから。新種の魔物は闇が苦手のようですし!」

「ああ、騎士団が伝言してきたやつね。……でも、ん~。それについては疑わしいところがあるね……」

「え?」


 どういうことだろ?

 明らかに闇が苦手な態度を取っていたような……。

 そうだ、『鑑定』で詳細を知ろうと思っていたんだっけ。

 どれどれ、……おおっ、『鑑定』の情報がちゃんと表示されている!

『鑑定』スキルって、距離も意外と関係あったんだなぁ。

 あのハートのメガネはただ遠くが見えるだけじゃなくて、距離の問題も解消させてくれていたのだろうか?

 さて、では先ほど見た『弱』の情報は……?

 …………えっ。


『弱点なし』


 …………。

 え……、『弱点なし』?

 さっき城壁で見たのは、『弱点なし』の『弱』の部分だけ見れたってこと?

 …………。

 ……紛らわしい! でも、じゃあ城壁の上から見た新種のあの行動はいったい……?


「あ、月が出てきたね。もう少し回り込んで新種の背中をよく見るとわかるよ。そこに隠れたファンタズゲシュトルを観察してみな。たぶんそれが原因さ」


 マルタさんは指を差してから、自身は攻撃に転じるために新種の魔物へと走る。

 月が出ない状況下で、ファンタズゲシュトル亜種にどういった秘密があるのだろうか?

 私はそもそも捕まえるつもりだったということもあって、『気配遮断』スキルも使い、回り込む。

 どれどれ……ファンタズゲシュトル亜種は、新種の魔物の背中に張り付いているなぁ。闇を待っているあいだはただ隠れ……ん?


「――ガぁぁぁンんンばァァァ――!」


 え? ファンタズゲシュトル亜種が新種の魔物に向けて、混乱ボイスを使っている?

 なぜそんなことを?

 そもそも、混乱ボイスってそんな声だったっけ?

 ボス的存在にそんな攻撃をして、何の目的があるのだろう?

 私は不思議に思ってファンタズゲシュトル亜種を『鑑定』で見た。

 ……特に、これといった技はなかった。混乱ボイスを放っているわけでもなさそうだ。

 じゃあ、実はファンタズゲシュトル亜種じゃないとか? ファンタズゲシュトルの別の亜種とか? 亜種の亜種とか? ……いやいや、わけがわからなくなる。

 それに見たところ複雑な種類ではない。先ほどまでの種類と変わらなかった。

 では何が起こっているのか。

 そこで私は再度、新種の魔物を『鑑定』で見ることにした。

 すると驚きの事実がわかった。


「……これ!? 新種の魔物のスキルが原因だったんだ……!」


 新種の魔物のスキル欄にあったのは、『支援強制』というスキルだった。



今週金曜、

コミック版『転生した受付嬢のギルド日誌』

chapter37が更新予定。

なんだか、チャラそうな二人が出てくる予感が……!?

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https://www.yomonga.com/title/883


(コピペのお手間をかけます)

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