表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/231

147: 町を守る!⑪ ~風~


 町の南側でグリーンベアが暴れている。

 こちらからでは見えなくても、『探索』スキルを使ったらよくわかる。

 討伐部隊の人たちがまだ到着できていないことも。


(お家の塀が壊れたくらいなら、フェリオさんはまだ許してくれるだろうか……!? ぜー、はー!)


 急いでたどり着きたいのに、私はもう疲れていた。

 この町は大きい。町全体から見たとき、蛇に追いやられて北西にいた私は、今は南へ向かって走っている。


「ぜーはー、ぜーはー……。――っと!? 風が……!」


 向かい風に煽られた。走るスピードが落ちる。

 今夜はこんなに強い風が吹くことはなかったのに……。


「ほれ見ろ、風が吹いただろうが。蛇の上で煽られなくてよかったぜ」


 王子があっという間に私を追い抜いていく。

 ついでにグリーンベアを倒しに行ってくれないかな……。

 ……ん? あれ?


 私は首をひねった。

 グリーンベアを『探索』スキルで再度確認したら、不思議なことが起こっていたのだ。

 目の前を走っていたカイト王子は、その現場がよく見える場所につき、見下ろしている。

 私も彼の隣へ、よろよろと近づいた。


「ぜえーはあーー……。く、熊は――?」


 し、死んでる。

 あの風が吹いたときに『探索』スキルで確認していたけど、実際目にして、やはりそう(・・)だったと知った。

 グリーンベアは首がなくなった状態で動かなくなっていた。月明かりからでも、緑の毛皮と、首からの血の色が判別できた。


(あれ? でも肝心のグリーンベアの首は……?)


 首がきれいさっぱりスパンと切れているのに、肝心のそれは見晴らしのいい壁の上からでも探せなかった。

 下に到着していた冒険者パーティーがいるので、真相を聞いてみた。


「すみませーん! 障壁を設置できなくて、熊の侵入を許してしまいました。そこのグリーンベアは、あなたたちが倒してくれたんですかー?」

「いや! こっちもグリーンサーペントを倒して、ちょうど今戻ってきたところだ。誰がやったのかは……ちょっとわからないが、遠目では一人だったと思う。男……かな? 暗くてわからなかったが、倒してくれたのはその人だ。(そっち)からも人影は見えないか?」


 私はぐるりとあたりを見たけど、それらしい人影は発見できなかった。

 実は『探索』スキルで見たときも反応はなかった。誰もグリーンベアの周囲にいなかったのに、突然倒された状態になり気になってはいたのだ。

 今、城壁の上からでも見当たらないということは、建物の陰に入っちゃったのかな?

 どうして隠れちゃったんだろう?

 隠れたつもりはなくて、倒したあとすぐに急ぎの用事があって、証拠の熊の首だけ持っていった……とか?

 それとも目立ちたくなかったとか?


 いやいや、私じゃあるまいし。

 う~ん、一人で倒し、しかも私の『探索』スキルに引っかからなかった人……。

 あ、わかった!

 簡単じゃないか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コミカライズ5巻は4月5日発売!

コミカライズ5巻&書籍情報

コミカライズ4巻は6月3日発売!

コミカライズ4巻&書籍情報

お店で本を探す際、こちらの画像をご参考くださいませ。

――・――・――

コミカライズ1巻発売中!

書下ろしマンガも入ってますよ!

コミカライズ1巻&書籍情報

お店で本を探す際、こちらの画像をご参考くださいませ。

↓こちらは2~3巻

コミカライズ2巻&書籍情報

コミカライズ3巻&書籍情報

☆☆

コミックは、ただいま連載中です。

お手数ですが、↓下記のアドレスをコピペして、スマホでご覧ください。

https://www.yomonga.com/title/883

☆☆

↓下の画像は小説1~2巻の情報です。

カバーイラスト&書籍情報

2巻のカバーイラスト帯付き&書籍情報

お店で本を探す際、こちらの画像をご参考くださいませ。

◆◆

↓ランキングに参加中です。

押していただければ幸いです。


小説家になろう 勝手にランキング

◆◆

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ