表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/231

138: 町を守る!② ~王子を落と……~



“何か降ってきた!”

 と先に思ったのか、

“大きな口が落ちてきた!”

 と先に思ったのか。

 そんなことを考えている余裕はまったくなかった。

 とにかく真っ先に手を上げて、障壁を張った。


 ――だけど、さすがに間に合わなさそう――。


 と思った瞬間、私はお腹を押された。

 いや、押されたんじゃなく、めり込む圧力を感じた。


「……っ゛……!?!」


 お腹一点が押されたのではなく、長い棒が横になった状態でめり込んでいる――。

 これはえーと、そう。

 鉄棒で前回りをしたときお腹に棒が食い込んだ……懐かしの感覚……?

 でも、その記憶を懐かしむ時間はすぐ終わった。

 転んでお尻を打ったからだ。


「った! ……ん? 鉄棒がなぜ私のお腹に……? 重いし……!」


 鉄棒が私のお腹をつぶしているというか、私がその下敷きになっているんだけど。

 ……鉄棒というか長い棒? 取っ手?

 とにかくどけよう。

 このままじゃ身動きが取れないのだから。

 しかしそれを掴んで持ち上げようとしたところ、今まで感じたことのない衝撃が走った。


「えっ! ぎゃっ……いたっ、痛い!!」


 何、これ?!?

 手で持っただけなのに、手のひらどころか、そこから全身にバリバリとした痛さを感じる。

 さっきお尻を打ったときとは違った痛さだ。

 思わず手を離した。


「んぎゅっ……!」

 ――当然、またお腹がつぶれた。


「危ないところだったな、シャーロット。蛇につぶされなくてよかったぜ~」


 そこにやってきたのは夜に真っ黒い服装をしている人だった。

「カイト……さん」


 さっきまで楽しそうにガーゴイルを砕いていたカイト王子だ。まだニヤニヤしている。

 その彼が、私が掴んだだけでも手のひらが痛くなる棒を、何事もなくひょいっと持ち上げたのだ。


「さすがのアンタでもこれ(・・)を触ることはできなかったか」


 軽々と肩にのせたそれは、彼にしか使えない武器『呪いの戦鎚』だった。


「え? ……な、私に自分の武器を投げて、蛇から遠ざけたってことですか?」


 カイト王子の背後、私にとっては前方に、城壁の外から中へとまたいだ状態のグリーンサーペントが見える。


「そ。アンタみたいに障壁魔法は使えねえからさ、とっさにオレのこれ(・・)を投げて押し出したってワケ」


 カイト王子は私を見下ろして得意げに笑っている。

 あの……、私はその『呪いの戦鎚』のせいで、体力が半分近く減ってしまったんですが??


「オレのバンダナを見破った奴はそういないからさー。呪いの戦鎚(こっち)も軽々持ち上げられたらどうしようかと思ったぜ」


 バンダナって王子が着けている『認識不能のバンダナ』のことですかね。

 それは私の『鑑定』スキルの前では簡単に見破れましたけど、王子だけが使える『呪いの戦鎚』は条件つきの武器ですよ?

 正確には「召喚石廃棄破壊の組織長以外の人が手に持つと、体力が徐々に削られる」と『鑑定』で記されてありますよ。

 そんな組織のこと私はよくわかりませんが、カイト王子がそこの長なんですよね?

 私は違うので、手で掴んだらもちろん体力が減りますよ。当たり前です。


 ……えーと――。

 この王子、落とそうかな……?

 城壁の内側じゃなくて外に。

 カイト王子の横からパッと障壁を出して、スッと城壁の外側に押すだけ。あ、胸壁を乗り越えやすいように若干上向きに押し上げないとね。うんうん。

 簡単だ。


 よしっ――。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コミカライズ5巻は4月5日発売!

コミカライズ5巻&書籍情報

コミカライズ4巻は6月3日発売!

コミカライズ4巻&書籍情報

お店で本を探す際、こちらの画像をご参考くださいませ。

――・――・――

コミカライズ1巻発売中!

書下ろしマンガも入ってますよ!

コミカライズ1巻&書籍情報

お店で本を探す際、こちらの画像をご参考くださいませ。

↓こちらは2~3巻

コミカライズ2巻&書籍情報

コミカライズ3巻&書籍情報

☆☆

コミックは、ただいま連載中です。

お手数ですが、↓下記のアドレスをコピペして、スマホでご覧ください。

https://www.yomonga.com/title/883

☆☆

↓下の画像は小説1~2巻の情報です。

カバーイラスト&書籍情報

2巻のカバーイラスト帯付き&書籍情報

お店で本を探す際、こちらの画像をご参考くださいませ。

◆◆

↓ランキングに参加中です。

押していただければ幸いです。


小説家になろう 勝手にランキング

◆◆

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ