97.レアっぽいドロップ
助けようと思って来たけれど、男が使ったアイテムのせいで、どうにもうまく行かなかった。同じレイドやパーティでないと、仲間に攻撃が当たらないのと同じように、回復もすることができない。
でも自分の召喚獣を犠牲にしても笑っていたような人だから、それほど心苦しくもなくなった。
トカゲの様子を確認すると、僕らを見逃すつもりもなさそうで、すでにルードへと視線を向けていた。
「戦闘開始だ!」
「ガァァァモォォォ!」
ルードの雄叫びが、森の中へ響いた。トカゲの後ろの方から、ロードラクルが2体やってくる。
(この方法でロードラクル狩りをすればよかった。探し回るより、ルードが集めた方が早いじゃないか)
ラビィは現れたロードラクルへ向け、少しだけ距離を縮めるように走る。
「ウォータランスですの!」
サクラもトカゲへと走り込んだと思うと、いきなりその姿を消した。
っと思ったらトカゲを飛び越して、奥のロードラクルの近くへと、短距離転移をしている。
現れた一体をウォーターランスで倒し、もう一体にサクラが斬りつけた。見事な二人の連携で、あっという間にロードラクルは処理された。
「ムーンボール!」
「ゲゲッ」
ストーンニードルがルードへと飛び、青白い玉がトカゲへと飛んでいく。
「ヒールですの」
僕の魔法は、いい感じにダメージエフェクトを飛ばした。無属性は弱点属性にならない代わりに、魔法耐性でしか軽減できない。
その優位性を大いに発揮してくれて、今までで一番多くのダメージエフェクトが飛んでいた。
「ガモォ!」
そこへ近接したルードが、上からバトルアックスを振り下ろす。見た目だけなら一刀両断にしそうだけれど、やはり物理には強いらしく、そこそこのダメージエフェクトだった。
「アクアランスですの」
ラビィの魔法は、僕のムーンボールよりもダメージが出ていない。魔法のランクが低いのも加味して考えれば、水魔法に強いわけでもなく、弱点でもなさそうだ。
そこへサクラが背後からトカゲに斬りかかる。地面をはうようにしているので、少し攻撃しにくそうだけれど、右、左としっかりと刀で斬りつけていた。
「いい感じだ」
トカゲは噛み付いてきたりもしないし、ダメージもしっかりと出せている。水トカゲのイメージがあったので、ちょっとやばいかもと思っていたけれど、ロッカテルナ湖の一般の魔物のほうが、このレアポップよりも強いかもしれない。
(あの時よりも、僕らのレベルが上っているというのもあるし、相性もありそうだ。やっぱり一概には言えないな)
「ゲゲゲゲゲッ」
トカゲが奇妙な声を上げる。するとトカゲの周囲から、石の棘が生えてきた。
「ストーンスパイク? 上位魔法か!」
見たことがないから予想だけれど、真っ先にその名前が浮かんだ。下から棘に刺されたサクラとルードは、弾かれるように1メートルほど飛ばされた。
「レタヒール、ゴッデスヒールですの」
ラビィの魔法の選択はうまかった。ルードとサクラのダメージ量を判断して、適切に魔法を使っている。
「ムーンスピア!」
タンクがダメージを受けるのは、役割的に許せるけれど、サクラが攻撃されたのには、なんだか怒りが湧いてきた。
僕が全力で撃ち込んだ魔法は、いい感じで多角形の板を飛び散らせる。
(弱点反応だ。羽に弱点マークが出ている!)
僕はサクラが立ち上がるのを見て、ほっと気持ちが落ち着いていく。
「きらきらした羽を狙うんだ!」
僕の言葉に、全員が素早く反応した。
「ウォータランスですの!」
「ここです!」
「ガモォ」
トカゲは羽をはためかせ、後ろへ飛び上がってルードとサクラの攻撃を躱した。でもラビィの魔法をかわすには、少し移動が遅すぎる。
「さすが弱点だ! ムーンブラスト!」
ウォーターランスが上位の魔法だと言うことを考えても、いい感じでダメージエフェクトが飛び散っていた。
なにより僕の最下級の魔法でも、しっかりとダメージを出せている。
「ゲゲッ」
ラビィが狙われるかもと思ったけれど、ルードが注目を維持できていたおかげで、ストーンニードルはルードへと向かった。
「ヒールですの」
ダメージ無効とまではいかなくても、ヒールで十分なほどのダメージ量みたいだ。
そこへ魔法の反撃のすきをついて、サクラがトカゲへと距離を縮めた。
ここぞとばかりに振りおろされる刀によって、きらめく羽から多くの多角形の板がほとばしる。
「おっ、羽が消えた」
「アクアランスですの」
そこへラビィの魔法が打ち込まれた。
さらにルードがバトルアックスを振り下ろす。
「ゲギャァ」
ほとばしるダメージエフェクトの中で、トカゲはスゥッと消えていった。
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煌めく羽×1 を手に入れました
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「よし。やったぞ」
「やりましたですの」
「マスターのために」
「ガモォ」
嬉しいけれど、輪になって踊るほどではなかった。みんながジャンプして喜んでいる中、僕はドロップが気になってくる。
(アクセサリだ。防御力が上がることも、魔力が上がることもない。なんだろう、これは)
特に効果はないみたいで、なんだか不思議に思ってしまう。でも性別も関係ないアクセサリなので、僕が装備してみた。
「マントから羽が生えてますの!」
首をひねって確認すると、イモキンマントを突き抜けて、僕の背中から羽が生えていた。しかもさっき見たのと同じような、蝶の羽をメルヘンチックにしたような、光を乱反射させるような羽だった。
(自分の姿を確認できるウィンドウとか欲しいけれど、微妙にアナログだな)
首をひねるのにも疲れたので、僕は煌めく羽を外した。
「羽が消えましたの!」
「僕には似合わなそうだからね」
効果は見た目だけだったけれど、レア物はやっぱり嬉しくなる。黒ローブの男のせいで、ちょっと危険な目にあったけれど、迷宮の挑戦回数がリセットされるまでは、ロードラクルを狩っていこう。
そういえば数が少なくても、狩りやすくなる方法にはさっき気がついた。
「ロードラクル狩りを再開しよう」
「頑張るですの」
「マスターのお心のままに」
っとその前に、エリーの召喚もしておこう。




