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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
ロッカテルナ湖を攻略したい
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91.問題のない経験値稼ぎ

 それからしばらくして、戦闘が落ち着くと、僕は鬼の指輪をルードへと渡し、一応ハイズへ確認をする。

 

「レベルも5になったから、小鬼の村へ行くけど、ハイズも一緒に来る?」

「行くわよ。ついに村長ファームの開始ね」


 ハイズの言葉に、僕の説明が足りなかったことに気がついた。

 

「あっ、小鬼の村に行ったことはある?」 

「ないわよ。レベルを少し上げてから、行こうと思っていたから」


 どうやら大丈夫だったらしい。僕は内心で安堵しながらも、邪妖精の迷宮の説明をした。

 

「へぇ、そんなシークレットダンジョンがあったんだ。もちろん行くわよ」 

「ん。なら早速行こう」


 僕らは小鬼の森を進み、小鬼の村へと向かった。


--------------------------


 全員が無事に小鬼の村に入れたので、僕らは邪妖精の迷宮のノーマルへと挑戦する。出現する数が数ないので、もともとスキル上げには適していない。

 

 でも経験値が入りやすいので、10周するうちに7レベル、最低でも6レベルにはなるはずだ。

 

(そうすれば次は芋虫かな。いきなり森狼でも良いけど、森狼王がポップしたらやっかい……でもないか)


 そんな風に考えていたら、ハイズがいきなり大きな声を出した。

 

「あっ! ラルの召喚獣と一緒じゃない?」 

 

 邪妖精を見て、エリーと似ていることに気がついたらしい。でも怖い顔の邪妖精と、可愛い顔のエリーが同じに見えるとは、なんだか複雑な気持ちになる。

 

「邪妖精の卵から、僕のエリーは生まれたんだ」 

「どうりで似ているわけね」


 わかってはいたけれど、同じ種族って意味だったらしい。

 

 ここで足踏みしていても仕方がないので、僕は戦闘開始の合図を出す。

 

「エリー。よろしく」 

「ウピピィ」


 火の矢が美しく飛行し、邪妖精へ着弾する。でも一撃では倒せない。するとルードとハイズが、すぐに邪妖精へと向けて走りだした。

 

「ウキャニャニャキャニャ」


 懐かしい声だった。一撃で倒せない時には、邪妖精はこう言いながら反撃してくる。

 

 見えにくい風の魔法が、ルードへ命中したらしい。一瞬だけルードが歩みを止めると、僅かに後ろを走っていたハイズが、その脇を駆けていく。

 

 ルードもすぐに追いかけるが、ハイズはすでに邪妖精へとたどり着いていた。

 

「シャッ」 

 

 掛け声とともに振るわれる長剣。その一撃で邪妖精は、多角形の板を撒き散らしながら消えていく。

 

(強くもないけど弱くもない。はぐれ鬼の時も思ったけれど、やっぱりあの長剣は、初期装備ってやつなのかもしれないな)


 ハイズがぐっと拳を握って振り返る。

 

「どう?」 

「良い攻撃だね。さすが近接アタッカーだ」


 特に問題はないし、武器が弱そうだねなんて言う必要もない。やはり迷宮でも問題はなさそうだし、次々とクリアしていこう。


--------------------------


 邪妖精の迷宮を最大まで周回したけれど、大した収穫は得られなかった。ただレベルは7に到達したので、次は芋虫あたりがちょうどいいだろう。

 

 ハイズは森狼の側の村のポータルに行ったことがなかったので、僕らは一緒に馬車で移動した。久しぶりにゆっくりとのどかな風景を見ていると、なんだか爽やかな気持ちになってくる。

 

「嘘みたいな光景よね」 


 隣りに座ったハイズが、そんな事を言ってくる。ゲームだから嘘の光景ではあるのだけれど、リアルを売りにしているだけあって、違和感なく世界を堪能できる。

 

「そうだね」 

 

 草原をバトルラビットが目的などないように飛び跳ねたり、あるいはうずくまったりしている。馬車の窓から入り込んでくる風が、僕の頬を凪いでいくたびに、火照った熱を奪っていった。

 

 いつの間にか太陽がのぼり、暑くなっているけれど、逆にそれが心地よく感じられる。


 もちろん馬車自体が良くできているというのが大きい。道がガタガタでクッションもないとか、劣悪な環境ではなく、そもそも揺れたりもしなかった。

 

 車内も広くてゆったりだし、高級な乗り物で快適に旅をしている気分になれる。

 

(なんだかお茶でも飲みながら、ずっと眺めていたいようなのどかさだ) 

 

 でもハイズは、しばらく窓の外を見ていると、飽きてきたのかエリーにちょっかいをだしはじめた。

 

 ハイズが突っつこうと指を伸ばすが、エリーはウピピッと言いながら、ひらひらとよけている。エリーからも嫌そうな感情は伝わってこないので、意外と楽しんでいるのかもしれない。

 

「北海道にでも行けば、こういう風景も見られそうな気がするよね」 

「あっ、私は行ったことあるけど、この景色で言うなら牛よね」 


 まあ僕だってこんなに大きなうさぎが、北海道で草原に出現しているとは思っていない。牧歌的なイメージだったので、なんとなく北海道が浮かんだだけだ。

 

「ソフトクリームが最高なのよ。あとね……」


 ハイズの北海道旅行話が続いている。ゲームとは関係ないけれど、僕は別に嫌いではないので、村へ着くまでのちょうどいい感じの会話になった。


--------------------------


 ポータルがないので気をつけてと言いながら、僕らは村の北へと向かった。危なくなったらサポートすると説明していたけれど、ハイズは全然心配している様子がない。

 

 このあたりなら大丈夫という自信があるのか、僕らがいるからかはわからないけれど、無茶をしないならば大丈夫だろう。

 

 そんなハイズを連れながら、芋虫狩りを行っていると。やっと8レベルに到達した。

 

 キリもよかったので僕らは村へと戻り、次のポータルを目指した。意外と遠いねなどと会話をしながら森の道を進んでいくと、やがて何事もなく、ポータルへとたどり着く。

 

「おつかれ。ハイズと一緒で楽しかったよ」 

「そう? 外道召喚師にしては、私も楽しかったわ」


 不思議とハイズの冗談が、理解できた気がした。

 

「外道じゃないよ」 

「ふふっ、わかってるわ。あ、フレンドをお願いしても良い?」 

「もちろん」


 僕はハイズとフレンド登録した。


「ねぇ、ルードちゃんやエリーちゃんともレベルが近いし、よかったら次回も一緒にお願いしてもいいかな?」


 僕は一瞬、スキルがと迷ったけれど、それを優先するよりも、一緒にいて楽しい人とプレイしたほうが良い気がした。

 

(今はレア狙いってこともないし、特に問題はないよね) 

 

 僕はそう考えると、コクリと一つ頷いた。

 

「いいよ」

「なら待ち合わせ時間は……」


 僕は次にログインする時間を、ハイズと合わせることにした。

 

「わかった。それじゃまたね」

「またよろしく」

 

 ポータルの前で手を振りながら、ハイズはログアウトしていった。

 

 僕はログアウト前に、ルードとエリーがどれくらい強くなったかなと、スキルレベルなどを確認した。


 するとルードの斧スキルに、見慣れない技を見つけた。

 

「ブレイク? これってもしかして秘伝なの?」

「ガモォ」

「斧の技を、自然に身につけるって言ってますの!」 

 

 文字数が合わなくて笑いそうになったけれど、その内容に顔が引き締まる。

 

(プレイヤーは秘伝書が必要だけれど、召喚獣はいらないってことか。でもサクラには技がなかったし、そのあたりは召喚獣で違うのかもしれない) 

 

 とりあえずブレイクという技自体を知らないので、どんな技なのか聞いてみる。

 

「ガモモォ」 

「バトルラビットが使う突進みたいに、斧を持って突進する技だって言ってますの」


 本当に言ってるのかって思わなくもないけれど、きっとラビィがわかりやすく言葉を追加してくれているのだ。

 

「ガモォ」

「詠唱キャンセル効果もあるって言ってますの」


 天才翻訳師のラビィの言うことに、間違いがあるはずもない。

 

 つまりまとめると、パンクのキックとバトルラビットの突進が合わさったような技なのだろう。

 

「それはすごいね。いざという時はよろしく」 

「ガモォ」


 言葉はずっとガモォだけれど、僕に伝わってくる感情が変化していた。すごいねって言った事で、喜びの感情が流れ込んでくる。

 

「っと、エリーは火魔法が5レベルで水魔法が4なんだね。ならファイアボールの魔導書とファイアランスの魔導書、炎の魔導書をプレゼントするよ」 


 ファイアボールはレベル3の魔法で、下手に使えば仲間を巻き込むけれど、広範囲でそこそこの威力があるから、初撃には有効な魔法だ。

 

 僕のムーンボムの火魔法版と言えそうだけれど、効果範囲はファイアボールのほうが広い。

 

 ファイアランスはマーミンも使っていた定番だから、普通に役に立ってくれるはずだ。


 付与の魔法である炎も覚えることができていた。これで燃える剣とかも作成できそうだけれど、後の楽しみに取っておこう。

 

 ただ僕は水魔法の魔導書を持っていないから、このままだと水魔法のレベルの上がりが遅くなるかもしれない。

 

 たまに図書館へ行って魔導書クエストをこなしていたけれど、持っている魔法スキルの魔導書は出にくくなっているんじゃないかって言うくらい、手に入らなかったせいだ。

 

(図書館にも行こうかな。でもその前にクランハウスへ戻ってログアウトしよう)


 僕はポータルに手を触れて、クランハウスへ戻ることにした。

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