89.新メンバーでの戦い
冒険者ギルドでクエストを受け、始まりの街の門前へとやってきた。相変わらず人が少なく、バトルラビットがたくさんいる。
「それじゃサクラ。ルードとエリーのレベルを上げる間、送還させてもらうよ」
「はっ」
「私じゃないんですの?」
なぜかラビィが不思議そうに聞いてきた。
「後衛という意味で、ラビィとエリーは被っているけれど、決定的に違うのは、ラビィは回復ができるということなんだ」
ラビィはコクリと頷きながら、僕の話を聞いている。
「レベルは上がりやすくなったけれど、その分スキルレベルは上がりにくい。サクラが一緒だと、どんどんレベルは上がるけれど、ルードとエリーのスキルレベルは上がらなくなる。だからセーフティとしてラビィを残し、サクラには休んでもらうんだよ」
「わかったですの。回復がんばるですの」
ラビィが理解してくれたところで、僕はサクラを送還した。
「ルード召喚!」
地面に魔法陣が浮かび上がる。すると万歳をしながら、ルードが現れた。
「ガモォ!」
「ルード、よろしくね」
僕はルードへと、作成した装備を手渡した。すると全身が鉄の鎧に包まれ、痛そうなバトルアックスを構えた姿に変化する。
「バトルアックスの威圧感がすごいね」
「ガモォ!」
ルードは気に入ったのか、バトルアックスを頭の上に掲げた。
「それじゃ戦ってみよう。ラビィはヒールよろしくね」
「はいですの」
「ガモォ」
「ウッピィ」
ルードはガシャガシャと鎧が擦れる音を響かせながら、バトルラビットへと近づいていく。
「ガァァァモォォォ!」
どうやらそれが雄叫びらしい。一気に6体のバトルラビットが、キッとルードに視線を向けた。
「いけるのか?」
「ウピピィ」
ルードへ近づいていく1体へ、火の矢が飛んで行く。
(ウピピィはファイアアローなのかな)
その魔法は着弾したが、その一撃では倒せなかった。
でも注目はエリーへは向かない。血走ったような眼をしながら、バトルラビットはルードを狙っている。
立ち止まって待ち受けるルードへと、バトルラビットが次々と突進していく。
だがルードは微動だにしない。突進を受けながらも、飛ばされることも倒れることもなく、しっかりと姿勢を保っていた。
「ガモォ」
そしてバトルアックスの一撃。左からきたバトルラビットは、激しく多角形の板を撒き散らしながら、そのまま姿を消していった。
(強化した武器だけあって、さすがに一撃みたいだ。でもエリーの方は、一撃とはいかないらしい)
「ウピィピィ」
エリーがそう言うと、キラキラとした水の塊が飛んで行く。
「アクアショットか」
それはファイアローを受けたバトルラビットへと着弾し、やっと倒すことができた。
「エリー。今みたいに、両方の魔法を平均的に使って欲しい。耐性がある時はいいけれど、できるだけ両方を育てるんだ」
「ウッピィ」
そう言っている間にも、ルードはバトルラビットから攻撃を受け、バトルラビットへと攻撃していた。
でもラビィはヒールをしないから、おそらくダメージになっていないのだろう。
(硬さはタンクの生命線。雄叫びもいい感じだし、ルードは思った以上にすごいかもしれない)
「ウピピィ」
「ガモォ」
そうやっている内に、6体全てを倒しきった。
「おつかれ。いい感じの戦闘だ」
「ルードもエリーもすごいですの!」
「ガモォ」
「ウピィ」
初戦闘がいい感じなら、これからもいい感じに戦うことができる。くだらないジンクスみたいなものだけど、最初で苦労すると、ずっと苦労する気がしてしまう。
「よし。それじゃ3レベルになるまでは、ここでクエストをしながらバトルラビット討伐だ!」
僕の掛け声に、みんなが元気に返事をしてくれた。
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バトルラビット討伐のクエストをクリアしながら戦っていると、いつのまにかルードとエリーはレベルが3になっていた。
「よし。ポータルから移動して小鬼の森へ行こう」
「ウッピピピィ」
「ガモモォ」
普段は聞いたことのない声だった。なんだか拒絶された感じがしたけれど、ラビィが翻訳してくれる。
「夜になると戦えないって言ってますの」
そう言えばバトルラビットを狩り続けて、空が赤くなっていた。
今から小鬼の村へ行けば、時間的に夜になってしまうだろう。
「ああ。ルードもエリーも暗闇が苦手なんだね」
「ウピィ」
「ガモォ」
今にして思えば、こういう所も、召喚獣が召喚師と同じ場所へは行けないという、示唆だったのかもしれない。
(どうしようかな)
道具屋に行ってランプを買うというのも良いかもしれない。このメンバーでは間違いなく暗いと戦闘できないし、この機会に手に入れてしまおう。
「よし。道具屋へ行って、ランプを買うことにしよう」
「はいですの」
僕らはちょうど街にいたので、マップを確認しながら道具屋を目指した。
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首尾よくランプを手に入れて、僕らはポータルで小鬼の村へと向かった。ランプを買ってみて驚いたのは、燃料がオイルではなく、魔力石という物を使っていることだった。
今まで戦闘をしてきて、魔力石というドロップはないから、魔物から手に入れものではないのが予想できる。
仕入れについては教えてくれなかったけれど、定期的に魔力石を買わなければ、ランプは燃料切れになるだろう。
「ラビィにエリーにルードのためなら、忘れたりしないけどね」
「ありがとですの」
「ウピィ」
「ガモォ」
僕は赤い空が黒くなる前に、ランプの灯りを点ける。ぱぁっと周囲が明るくなるのを確認すると、僕はそれを腰にくくりつけた。
「灯りの魔法もあるはずだけど、どんな魔法なんだろうね。と言うか、この仕組もある意味で魔法なのかな」
「わかりませんですの!」
ラビィが元気に笑顔で答えてくれる。答えは得られなかったけれど、笑顔が得られたからそれでよかった。
「さて、夜の森は危険だから、危ないやつがいたら僕が倒すよ」
「おまかせですの」
「ウピィ」
「ガモォ」
僕らは暗い森の中を、ランプの灯りで安全に進んでいった。




