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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
ロッカテルナ湖を攻略したい
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85.ラズベリーと約束

 北の草原でバトルラビットを狩りながら、今日で何日目かと思い出す。

 

 ハードの『邪妖精の迷宮』に潜って、冒険者ギルドでクエストをこなし、空いた時間でラズベリーとバトルラビットを狩る。

 

 そんな風に同じ毎日を過ごしていたら、何日経ったのか、ちょっとよくわからなくなってきた。

 

「アクアランスですの」 

「いまです!」 


 ラビィとサクラも慣れてきたのか、かなり効率的な狩りになっている。

 

 ラズベリーとキンちゃんのコンビは、トルネードを使っての範囲狩りをしていた。でもいまだにうさぎの卵はドロップしていないようだ。

 

(数だけはかなり倒しているはずだ。レベルが上っているのも、それを証明している)


 だと言うのに、うさぎの卵はドロップしない。初めて卵を手に入れた時、最初の1体でドロップしたのが嘘のようだ。


「アッドです」

「ムーンボール!」


 リポップも早く、リンクにアッドしてくるので、ほとんど定位置で狩りを続けられる。ラズベリーの方もリキャストタイムとタイミングが合うのか、場所をあまり移動していなかった。

 

「ムーンボムでは倒しきれないから、僕らはこのパターンを続けるよ」 

「はいですの」

「はっ」


 多分、前にも口にしている気がするけれど、範囲狩りが出来ないことを、ラビィとサクラへと伝えた。

 

 このことを話したかなって思うくらい、あまり何も考えずに、僕はひたすらバトルラビットを狩っている。

 

「ウォーターランスですの」 

「マスター!」


 ガキンッとサクラが武器で突進を防いでくれた。

 

「あっ、ありがとう」 

「マスターを守るのが務めです」 


 魔法を使う僕に突進してくるから、注意はしているつもりだったけれど、毎回サクラに助けられてしまう。

 

(意外と遠距離から突進が来るんだよな) 

 

 戦闘に集中しているはずなのに、ちょっとぼーっとしている所もあるかもしれない。

 

 僕はグッと気合を入れ直した。

 

「よし行くぞ」 

「はいですの」

「はっ」


 っと、気合を入れた途端、近くにウォーラビットがポップする。

 

 反応早く、ウォーラビットは頭の角を、僕の方へと向けた。

 

「くぅ!」 

 

 僕は念のため装備していたバスタードソードを横へと振るう。

 

 ウォーラビットは躱すことなく、僕の攻撃を角で受け止めた。

 

「ここです!」 

 

 サクラがウォーラビットの背後から飛び込んで、思い切り刀を振り下ろした。

 

 その一撃は多角形の板を撒き散らし、いつものように一撃でウォーラビットを倒しきった。

  

>>>>>>>

うさぎの卵×1 を手に入れました

<<<<<<<


「マスター、やりましたですの!」

「おっ、出たー!」 

「おめでとうございます」


 僕らの騒ぎに気がついたのか、ラズベリーがこっちへ駆けてくる。

 

「もしかしてドロップしたのですか?」 

「そうなんだ。ウルトラレアをドロップしたよ」


 僕は思わずラズベリーの手を取り、そしてラビィの手を取った。するとサクラが僕の正面で、ラビィとラズベリーと手をつなぐ。

 

「ターラララーララー」 

「たらららですの」


 そうやって踊りながら回っていたら、ラズベリーの顔がちょっと赤くなっていた。

 

「あっと、ごめん。つい……」 

「い、いえ、楽しかったです」 

 

 手を離したラズベリーが、うつむきながらもそう答えてくれた。

 

「これでは我が入れぬではないか」 

 

 キンちゃんが文句を言っているが、さすがに手を繋いで踊るのは難しいだろう。

 

 そんな感じで気持ちが落ち着いてくると、レアドロップの嬉しさと同時に、どうしようかという悩みが湧き上がってくる。

 

 前にも考えていたけれど、同じ魔物を育てるのは苦行でしかない。うさぎを通常進化で育てようとも思わないし、仮に属性を与えて契約できたとしても、僕にはラビィがいるので、なんだか微妙な気がしてしまう。

 

(レアだけに、死蔵が一番もったいない)


 僕は考えた末に、ラズベリーにプレゼントすることにした。

 

「ラズベリー。このうさぎの卵はプレゼントするよ」 

「えっ?」 

 

 さすがにそんな展開は予想していなかったのか、ラズベリーが驚きで目を丸くする。

 

「僕にはラビィがいるから、うさぎの卵は必要ではないんだ」 

 

 と言ってみたけれど、卵のレア度を知っているだけに、ラズベリーも素直にありがとうとは言わなかった。

 

「せっかくのドロップなんだ。僕はラズベリーに使って欲しい」 

「もちろん欲しいですけど……」


 ラズベリーは悩んでいるようだ。最初の頃は諦めが早かった気がするけれど、今では僕と一緒にレアドロップ狙いで戦ってきた。

 

 そうして卵ドロップの苦労を知ったからこそ、欲しいという気持ちはあれど、なかなかうんとは言えないみたいだ。


「あっ、ラルさんはミニタウロスの卵狙いで、邪妖精の迷宮にこもってるんですよね」

「そうだね。まあ全然ドロップしないけど、そのうちドロップしてみせるよ」


 僕の言葉に、なぜかラズベリーが笑顔になる。

 

「なら私がミニタウロスの卵を手に入れたら、うさぎの卵と交換しませんか?」 


 これは僕にとって意外な提案だった。そういうことをして欲しくて、うさぎの卵をプレゼントしようというつもりはない。

 

 それにレアハントは、時折辛くなることもあるけれど、僕にとっては楽しみでしかない。無理にラズベリーにミニタウロスの卵をドロップしてもらわなくても、そのうち自力でドロップできるはずだ。

 

(うーん。でも、これを了承しないと、ラズベリーは受け取らないだろうな) 

 

 レアハントは楽しいけれど、必ず自力でドロップしなくちゃというこだわりがあるわけではない。

 

 だからといって、誰かから無償でレアアイテムをプレゼントされたら、僕だって確実に断るだろう。

 

(卵の交換か……意外に悪くないかも) 

 

 僕はいろいろと考えた末に、ラズベリーの提案を了承した。

 

「ありがとう。お互いに必要な卵を交換できたら、ウルトラレアだけに最高だね」

「召喚師同士でしかできないですから。私はこれから迷宮に行ってきます」 

 

 早速ラズベリーは、キンちゃんの毛の中へとズボッと埋まる。

 

「我には容易いことだ」 

 

 いつものフレーズを残しながら、キンちゃんが駆け出した。毛の中からラズベリーが手を振っているので、見えないとわかっていても、僕は手を振りかえした。

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