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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
レジェンドクエストをクリアしたい
62/176

62.ラビィの進化

 あっという間に狼の村のポータルへ到着した。

 

「これは便利だねぇ」 

「そうですね。トツゲキング召喚」


 地面に魔法陣が浮き出し、そこからキンちゃんが現れる。

 

「ウワォォォォン。久しぶりだな」

「キンちゃん、こんにちは」


 そう言うとラズベリーは、ズボッとキンちゃんの中へと埋まる。そしてひょっこりと上半身だけを突き出した。

 

(正式名称はトツゲキングだったんだ……) 

 

「キンちゃん、久しぶりナァ」 

「ウガァ」

「ふむ。ラビィもサクラも元気そうで何よりだ」


 僕らは魔物言語を持っているので、召喚獣の会話も弾んでいる。村の方へと向かうと、森狼を発見したので、軽く攻撃してみた。

 

「ムーンボール!」 


 問題なくこの一撃で、森狼が消えていく。

 

「おっ、経験値がすごいね」 

「えっ、あっ、前より一杯入ってます」 

 

 明らかに経験値バーが伸びていた。レベルアップ寸前だったので、しばらく狩っていればレベルが上がりそうだ。

 

 僕らはそのまま南下して、森狼を倒して行く。すると10体倒したところで、クランポイントを1手に入れた。

 

「おっ、10体で1ポイントみたいだね」 

「しかも私はレベルが上がっています」 

 

 ラズベリーはレベルアップしたようだ。僕も確認してみると、ついに15レベルになっている。

 

「やった。15レベルだ。ラビィも15レベルになったよ!」 

「えっ、おめでとうございます」 

「進化レベルだ。ラズベリー、悪いけど鬼の村に行くよ。そこなら誰にも見られず進化できる」 

「私も行きます。進化を見たいです」 

「やっと進化だナァ。きっと強くなるナァ」 

「ウガァ」

 

 そうして僕らは、鬼の村へと向かった。

 

--------------------------


 鬼の村の広場で、ラビィに装備を全部外してもらう。

 

 久しぶりに無防備になったラビィは、相変わらずチューブトップとショートパンツの形に、真っ白な毛が生えていた。

 

「さて、進化するよ」 

「準備はいいナァ」 

「どんな風になるのか、すっごくドキドキします」


 ラズベリーの召喚獣じゃないにしても、やっぱり進化は気になるみたいだ。

 

 僕は高揚した気持ちを落ち着けるように、息をふぅっと吐くと、ラビィに進化を試してみる。

 

『進化先を選んでください』 

 

 予想外のメッセージが出た。表示された進化先は『ウォーラビット』と『ラビットガール』の2つだった。

 

(ウォーラビットはバトルラビットの通常進化系だ。進化するならば『ラビットガール』だろう) 


 進化を繰り返したら強くなるのかなと思ったけれど、ウォーラビットからラビットチャイルドに戻れる保証はないし、余計な事を試す気にもならない。

 

 それよりも『ラビットガール』という名前にドキドキする。いわばバニーガールに名前が近い、僕の理想の進化かもしれない。

 

 そう考えて『ラビットガール』を選択すると、『うさぎのしっぽ』を100と妖エッセンスを100。さらに獣エッセンスを300と人エッセンスを500要求された。

 

 『よろしいですか?』と出ているが、僕の選択は決まっている。

 

(数はある。もちろん進化だ!) 


 進化を選択すると、ラビィの体が輝いていく。まるで光そのものになったかのように、輪郭だけがシルエットのようにして残っていた。

 

 そしてその光の中へ、うさぎのしっぽやエッセンスが、こちらも綺羅びやかな光となって吸い込まれていく。

 

 やがて光が弾けた時、そこには成長したラビィがいた。

 

「おまたせですの。新生ラビィをよろしくですの!」  

 

 以前のラビィよりも、間違いなく成長していた。背は高くなり、顔もちょっとおとなになっている。でも前のラビィが小学生とするのなら、今度のラビィは高校生くらいだろう。

 

 胸も少し大きくなって、前よりもスタイルが良くなった気はするけれど、まだ僕の望む大人のバニーガールではなかった。

 

(今回はレオタードっぽく白い毛が生えている。それでもお腹のところだけ生えてなくて、おへそが見えるのがチャームポイントかな)


「よろしくラビィ」

「ウガァ」

「ふん。小娘も成長したか」

「うわぁ、よろしくおねがいします」


 ちょっと気になることと言えば、言葉使いが変わっていることだ。ナァの語尾に慣れたせいか、ですのますの系に少し戸惑ってしまう。


 でもついに進化ができたのだ。なんだかじんわりと感動してきた。


 僕は外してもらった装備をラビィに渡す。サイズの問題はないようで、しっかりと装備できていた。

 

(少しおとなになったラビィか。悪くはないな) 

 

 そう言えばどれくらい強くなったのかと、ステータスを確認してみた。

 

 種族はラビットガールに変更で、1レベルからはじまるようだ。水魔法が流水魔法に進化して、新たに『ウォーターランス』を覚えている。

 

 さらに癒魔法も進化して、治癒魔法になっていた。『レタヒール』と言うのは、きっとヒールの上位魔法なのだろう。

 

「んっ、魔導?」

「そうですの。私は魔法を自動的に強化する魔導を持っていますの」


 固有技能から突進が消えた代わりに、魔導というスキルが増えていた。プレイヤーの魔法使いで言うところの、魔術に相当する技能みたいだ。

 

 そう言えばラズベリーがラビィをモフりたかったみたいだけれど、毛の生えている部位を見て自重したようだ。

 

「戦ってみましょうか?」 

「そうだね。よろしく」 

「頑張るですの」

「ウガァ」

「ふん。我に遅れぬようにな」


 僕らは狼の村を出て、再び森へと向かった。

 

--------------------------


 戦う前にラビィのステータスをもう一度確認したが、ちゃんと今まで覚えていた魔法も残っているし、ステータスも減少してはいなかった。

 

 魔導という技能を覚えたことで、後衛としてさらに活躍してくれそうだ。

 

 そんなことを考えながら歩いていたら、不意に森狼が現れる。すると真っ先にラビィが反応した。

 

「ウォーターランスですの!」


 槍の形をした水が、キラキラと輝きながら飛んでいく。森狼に当たって弾け、ダメージエフェクトとともに、きれいな水しぶきが飛んだ。

 

「余裕だね」 

「余裕ですの」 

 

 ただクランメニューを見ていたら、僕の討伐カウントが上がっていなかった。

 

「ラズベリー。もしかして今のカウントされていない?」

「あっ、倒したのに、クランポイントの討伐に加算されていないみたいです」


 ラズベリーの言葉で確信する。どうやらこのゾーンは15で適正を超えるようだ。

 

「仕方がないから、僕はロードラクル狩りに変更するよ」 

「そうですね。私は森狼狩りを続けてみます」 

「ごめんね。それじゃまたね」

「またー」


 僕はパーティを解消し、ポータルへと向かった。

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