表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
戦力が足りない
57/176

57.森の小道で

 そんな感じで武器を作成していると、キーン小鬼刀、攻撃力26+64、必要筋力40、キーン4レベル、シャープネス5が完成した。


 鍛冶レベルも8になったし、とてもいい結果だった。


「サクラ、これからはキーン小鬼刀でよろしくね」

「ウガァ」

「おめでとナァ」


 ちょうど鍛冶も終わって外に出ると、マーミンからメッセージが飛んできた。


マーミン:こんにちは。時間大丈夫なら、イモキン狩りに行かない?

ラル:こんにちは


 フレンドリストを確認すると、ラズベリーもログインしていた。というか、僕のフレンドリストの人が全員ログインしている。


 こんなことは珍しいので、せっかくだから皆で行ってみたい。


ラル:時間は大丈夫。フレが何人かログインしているから、一緒に行ってもいいかな?

マーミン:いいよ。ラズベリーには連絡済みよ

ラル:了解。例のポータルで待ち合わせをしよう。イモキンの森まではちょっと歩くから

マーミン:オーケー。また後でね

ラル:後でね


 僕はログインしていた赤忍者、パンク、モルギットへ連絡した。幸いにも全員がオーケーだったので、森狼の村のポータルで待ち合わせした。


「新しいレアもでるかもね」

「楽しみだナァ」

「ウガァ」

 

 そんなことを話しながら、チェルナーレの街の中をポータルへ向けて歩いて行く。


--------------------------


 森狼の村のポータルへ到着すると、すでに集まっていた僕以外の人が、楽しそうに話していた。


「おまたせ」

「よぉ、鉱山迷宮ぶりだな」

「こんにちはー」

「こんにちはでござる」

「こんにちは」


 そんな感じでめいめい挨拶すると、僕らは東へと歩きだす。


「あっと、パーティ組まなきゃね」


 そうやってパーティを組みながら街道を歩いていると、やけにマーミンとパンク、モルギットの三人が仲良さそうな感じがした。


「もしかしてマーミンとパンクとモルギットは知り合いだった?」

「そうよ。結構初期のころからパーティを組んでたわ」

「いろいろあって別れたけど、あれはちょっと悪かったと思ってる」


 何があったのか知らないけれど、なぜかパンクが謝っていた。


「気にしてないわ。私の主義は頼られれば助け、敵対するものは無視だから。特に敵対していないパーフェクトタンクやモルギットには、嫌な気持ちもないわよ」

「そういってもらえると気が楽になるよ」

「私もです。あの時、何も言えなかったから」

「もういいのよ。また縁があってパーティを組むんだから、楽しくやりましょう」


 少しだけ何があったのかなって思うけれど、目の前で解決したものをほじくり返す気にはならない。


「そうだ。赤さんは小鬼の調子はどう?」


 赤忍者って言う呼び方が、なんだかフレっぽくない気がして、思い切って赤さんって呼んでみた。


「赤さんでござるか、いい呼ばれ方でござるな。よかったらみんなも赤さんでよろしくでござる」


 ちょっと緊張したけれど、なんとか気にってくれたみたいだ。


 ひとしきり『よろしく赤さん』で盛り上がる。それが落ち着いた後で、あらためて赤さんが口を開いた。


「小鬼は今のところ700くらいでござろうか。あと少しでござるな」

「そっか。頑張ってくれたんだね」

「ねぇ、もしかしてあの迷宮に一緒に行ってくれるの?」

「その予定でござる」

「あの迷宮?」

 

 パンクがあの迷宮が気になったらしい。


「小鬼の村に迷宮があるんだ。ただ小鬼と仲良くならないと、入れない迷宮なんだよね」


 パンクとモルギットが驚いていた。誰かが小鬼の村ファームを推奨したせいで、やっぱり知られていないらしい。


「そうなのか。ということは俺らも入れないな」

「森で小鬼を狩れば入れるけれど、モチベーションが必要よね」


 マーミンの言うとおりだった。ただ行ったことがないと言うだけで、小鬼を1000体はヘビーなのだ。


 BOTみたいなのも存在しないし、目的なしでは疲れてしまう。


「なんだかポカポカと気持ちいいでござるな」


 話を変えるかのように、赤さんがポツリと呟いた。


 森の中を流れる風が、暑くなりそうな中で安らぎを与えてくれる。自然に調整された空気が気持ちよく、赤さんの感想もよく分かる。


「ちょっと横になりたくなるよね」

「油断しちゃだめよ。魔物が襲ってくるかもよ」


 街道で魔物にあったことはないから、おそらく出現しないのだろう。それでも一応油断せず、久しぶりの森の小道を楽しんだ。


「すでに気持ちよくなっているでござる」


 赤さんが近くを歩くキンちゃんを見て言った。


 そこには下半身を毛の中に埋め、うつらうつらと船を漕ぐラズベリーがいた。


「静かだと思ったら、居眠りしてたんだ」

「もふもふに包まれて、気持ちよさそうですね」


 魔物退治だレベル上げだと、最近頑張っていたけれど、こういうまったりとした時間が、なんだか楽しくなってくる。


 最近の頑張りのおかげで、15レベルは目前だ。なんレベルかの時に、やけに経験値バーが硬く感じるのがあった気がするけれど、スキルのレベルも8になってからは、いきなり上がりにくくなっていた。


 おそらくは一定なのではなく、そういう地獄みたいな経験値バーの時があるのだろう。


(バーガーを食べて乗り切るべきだったのかな。まあ高レベルで最前線をってわけじゃないから、そこまで急ぐことでもないよね)


 そんなふうに歩いていると、村の入口が見えてきた。


「あの村にある北の森の奥に、イモキンがいるはずさ」

「ポータルがないから、ちょっと面倒よね」


 ここに用事があるとすれば、布装備の素材となる魔糸くらいだろう。僕は今のところ芋虫ドロップしか知らない。それでも前に来た時には、人が少なかったから、他にも入手方法があるのかもしれない。


 もしそうだとするならば、人が来ない理由はよく分かる。


「そのおかげで空き空きで狩れるわけだし、良いことしかないよ」

「そうね。イモキン目指して頑張りましょう」


 僕らは村からすぐに出て、北の森の奥へと進んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ