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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
戦力が足りない
54/176

54.モルギットの隠れた特技

 思ったよりもパンクのタンクが安定し、トラブルが起こることもなく迷宮を進んでいけた。

 

「よし、扉まで来たな」 


 ノーマルにもあった、レアな魔物がポップすることがあるという広間へつながる扉だ。

 

「がんばります」 

「えっ、モルギットって解錠できるの?」 

 

 まさかの展開に、僕の声も大きくなる。

 

「職業は魔法使いなので、斥候ほどではないですが、解錠を鍛えてるんです。でもこの扉で成功するのは1割くらいでしょうか……」 

 

 1割が大きく感じる。少なくとも僕には無理だ。


「よろしく」 

「がんばります」 

 

 モルギットはそう言うと、扉の前に移動した。前に見たことがある間違い探しが、今回の鍵開けのゲームだった。

 

(僕の時と絵が違う。それに本人以外では正解できないように、比較する絵を見せてくれないんだ) 

 

「空の色、右手の人差し指……」 

 

 モルギットは次々と正解をしていく。いくつ正解すればいいのかわからないけれど、僕のときよりも遥かに早い。

 

「ねずみのしっぽの長さ、首のスカーフの長さ。あと一つ……」


 残り時間10秒と表示されている。

 

 頑張れと声をかけたいけれど、パンクは静かに見守っている。声を出せば集中を乱す気がしたので、僕は心の中で応援した。

 

(がーんばれ、がーんばれ、モルギット、モルギット、がーんばれ!)  

 

「目の色が違う!」


『解錠に成功しました』


「やった!」

「おめでとうモルギット、そしてありがとう」 

 

 扉はスッと消えてしまった。その先には坑道が続いている。

 

「扉ごと消えるんだ」 

「場所によるみたいです」

「あとは魔物がいればいいな。あっ、でもいないほうが良いのか?」


 パンクが不思議な事を言い出した。レアな魔物なのだから、ポップしている方が良いに決まっている。

 

「ああ、どうでしょうか」 


 モルギットも心配しているようだ。と言うことは、答えは一つしかない。

 

「そんなに強いの?」 

「強いというか、硬いんだ。ポップしていなければ、岩石人形祭りになるけれど、ポップしているとそれ1体になる」


 どうやらレアがポップしていなければ、岩石人形のウェーブらしい。でもポップしていれば、それ1体だけを相手にすれば良いようだ。

 

 ただその魔物はかなり硬いらしい。

 

「まっ、行けばわかる。行くぞ」 

「了解」

「はい」


 僕はレアポップを願いながら、新たな坑道を進んでいった。


--------------------------


 僕らが坑道を進んでいくと、パンクが先頭で立ち止まる。

 

「そこを曲がった先が広間になってるんだ。ポップを確認してくるよ」


 そう言うと一人で進み、ちらっと奥を見て戻ってきた。

 

「どうですか?」 

「当たりだ。レアポップだよ」

 

 パンクがモルギットの問いに、複雑そうな感じで答える。

 

「定番の戦法はあるの?」 


 すでに知られた魔物だから、いわゆる定番の戦い方があるだろう。パンクはそういうのに詳しそうだから、僕は素直に聞いてみた。

 

「最前線の連中の定番は、爆裂魔法を主体に戦うやり方だ。でも爆裂魔法を取得している人は少ないし、俺達の中にもいないだろう」 

「爆裂魔法?」


 聞いたことのない魔法に、僕はオウム返しをしてしまう。

 

「ああ。決まっている複数の属性魔法のレベルを最大にしてスキル進化すると、爆裂魔法の選択肢がでるらしい。でも生憎だが爆裂魔法の存在は明かされているが、どの属性のレベルを上げるかは情報が独占されている」


 とすると爆裂魔法に限らず、何かしら複数レベルを最大にすると、スキル進化の選択肢が増える可能性がある。

 

(無魔法を進化させたのは、早まったかもしれないな) 


 とは言え、同じ魔法を取得しても魔法使いに敵うわけもないし、深刻になるほどでもないだろう。

 

「爆裂魔法を使用しない方法は?」 

「地道に殴る。風属性は無効、その他の火、水、土は半減だからな。このメンバーではきつい感じがするだろ?」


 打撃系の武器を持っているのはパンクだけ。サクラは刀で僕は剣。ラビィは素手か魔法で、水属性だから威力は半減。モルギットは回復専門で攻撃には期待できないとなれば、長期戦になるのはある意味で当たり前だ。

 

(攻撃の主力がタンクって終わってるよな) 

 

 ただ僕の無属性は、幸いにも魔法防御力以外では減衰はしない。だからきっとなんとかなるはずだ。

 

「了解。せっかくだから戦おうよ」 

「まあな。でもあまりにもダメージがいかないなら、撤退するからな」 

「はい」


 僕らは気合を入れ直すと、パンクを先頭にして広間に突撃した。

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