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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
戦力が足りない
46/176

46.初めての罠解除

 迷宮に入ると、やはり魔物の数が増えていた。


 以前はミニタウロスが1体に邪妖精が3体だった。でもパーティを組んだ影響で、ミニタウロスが2体に、邪妖精は4体になっている。

 

「あら、可愛い牛ちゃんね」 

  

 マーミンがミニタウロスを可愛いと言っている。見ようによっては可愛くも思えるが、顔はやっぱり魔物だけに、ちょっと怖い気がする。

 

 もしかするとマーミンは、いつでも倒せるという余裕から、可愛く思えているのかもしれない。

 

「あの斧、痛そうですね……」 

「そうだよね」

 

 小さいとは言え両刃の斧は、考えただけでも痛そうだ。それを可愛いと言えてしまうマーミンは、豪胆なのか本当にああいうセンスなのか、よくわからないところだ。

 

「作戦は?」

「前衛がミニタウロスを足止めしている間に、遠距離で後ろの邪妖精を討伐。その間にミニタウロスを倒すもよし、倒せぬもよしで、残っていたらみんなで倒すって感じでどうかな?」

「はい」

「オーケー」


 作戦が決まると、スッと前にキンちゃんが出てきた。

 

「前衛は我に任せてもらおう」


 タタッとキンちゃんがミニタウロスへと近づいていく。それに気がついたミニタウロスが、雄叫びを上げながら向かってきた。

 

「ムーン……」

「ファイアショット!」 


 僕が魔法名を言っている途中で、マーミンの魔法が先に発動した。

 

 5つの火の塊は、4つが後ろの邪妖精へ、残りが前衛のミニタウロスへと飛んでいく。

 パパパパンって感じで着弾すると、びっくりすることにミニタウロス一体しか残っていなかった。

 

「ウオォォォォン!」


 キンちゃんの咆哮からの突撃で、ミニタウロスは多角形の板になって消えた。

 

「瞬殺だ……」 


 思わずつぶやいた僕の言葉に、マーミンが当然だわって言う感じで言葉をかぶせてくる。

 

「伝説の魔女に不可能はない」 


 一撃で倒せるならば、被弾することもない。最も安全な攻略こそが、プレイヤーの理想だろう。

 

「すごいです。キンちゃんもすごい!」 


 ラズベリーは戻ってきたキンちゃんの顔をなでている。ラビィも喜んでいるし、サクラは……って角こすりをしていた。

 

(余裕だけど興味なさすぎだろう。やっぱり何かあるのかな) 


「もしかしたら余裕かもしれないけれど、気を引き締めていこう」

「オーケー」

「はい」


 でもマーミンの範囲魔法のおかげで、危険らしい危険もなく、迷宮を進むことができた。

 

--------------------------


 ノーマルでは3階に宝箱があったけれど、ハードでは4階の部屋だった。

 

 宝箱の装飾に変わりはないけれど、初めて識別で罠が確認できた。

 

「罠があるみたいだ」 

「へー、開けとく?」

「止めておきましょうよ」


 識別では罠があることはわかっても、なんの罠なのかまではわからない。多分、罠解除もミニゲームだと思うけれど、失敗を考えたら放置が無難だろう。

 

「危ないから無視して行こうよ」 

「無視ですって? 宝箱を目の前にしながら、レアハンターが無視? はんっ、どうやら大したことのない男のようね」


 マーミンは確実に僕を煽っている。だがその程度の挑発に乗るほど、僕は短絡的じゃない。むしろ慎重派の僕は、絶対にそんな誘いに乗りはしない。

 

「いいから行こうよ」 

「そうですよ。無用の危険は避けたほうが良いです」


 さすがラズベリーだ。宝の中身はなんだろうという欲望よりも、安全を選ぶところが素晴らしい。

 

「危険は避けるですって!? お宝は危険の先にこそあるわ。危険を避けるということは、お宝から逃げるのと同じこと。それでレアハンターなんてよく言えたものね!」 

 

 危険を避けると言ったのはラズベリーだけど、なんだかちょっと燃えてきた。

 

「自己紹介で言ってたわよね。『僕はあらゆるものを手に入れるレアハンター』ですって? こんなんじゃ道端の雑草しか手に入らない、コモンハンターよ」

 

 僕はレアハンターだ。レアのための行動で、引くという選択肢など無い。

 

「確かに何の罠かもわからないのに、解除するなんて危険すぎる。でもその危険から逃げてたら、永遠にレアなんて手に入らないのよ!」 

 

 マーミンの言うとおりだ。僕はレアハンター。あらゆるものを手に入れる。

 

「マーミンの言うとおりだ。僕はこの罠を解除して、必ずレアアイテムを手に入れる!」

「えっ、ちょっとラルさん……」 


 突然の僕の変わりように、ラズベリーは戸惑っているようだ。

 

「安心してくれラズベリー。レアハンターは、必ずレアを手に入れるんだ」 


 僕は躊躇なく宝箱の前に立ち、罠解除にチャレンジする。

 

『罠難度3を開始します』


 難度3ならば解錠の時に経験している。あの時はギリギリだったけれど、今の僕は気合が違う。


 どんなミニゲームかと思っていたら、両側が壁になっている細い通路が浮かんできた。その通路の真中に、針のようなものが浮かんでいる。

 

『自動で動く道を、針を操作して壁に当たらずにゴールしてください』


 ようは左右にしか動けない車で、切り立った崖の間を走り抜けるミニゲームみたいだ。

 

『移動時間30秒。ピッピッピッ、スタート!』 


 最初から曲道があるので、僕は急いで左に避ける。

 

(動きが悪い。これは早めの判断が大事になるぞ……) 

 

 ただ道の速さはそれなりだ。針の動きも悪いけれど、なんとか対応できそうだ。

 

「って、道の上に!」 

 

 思わず声が出てしまったけれど、道に岩が落ちていた。もちろんこれにあたっても、失敗になるのは確実だ。

 

(罠を解除するために、狭いところに針を通していくミニゲームなんだろうけれど、おじゃま岩まであるのか)

 

 僕は岩をなんとかよける。すると今度は、どんどん道が狭くなっていく。

 

(しかも針が震えて勝手に左右に動く……。これを調整しながら、この狭い道を進むのか) 


 ぷるっと振るえると、右か左に勝手に動き出すのが分かったので、ぎりぎり対処はできていた。

 

『残り15秒です』

 

 そのお知らせと同時に、今度は道がスピードアップした。なんとか針を操るが、道のスクロールが早くなって、かなりギリギリの状況だ。

 

(スキルとかあれば、なにかできるんだろうな。でもなんとかしてみせる!) 

 

 左右に曲がる道を、ギリギリのラインで針を進ませていく。

 

『残り10秒です』

 

 岩が落ちてのジグザグコース。でもこういうのは逆に、クリアできるラインは一つしか思いつかない。

 

 だから躊躇なく、針を動かすことができた。

 

『残り5秒です』

 

 もうすぐゴールだ。ここまできたら、なんとかゴールしてやろう。

 

「ラル、がんばって」 

「すごいです。ラルさん」 

 

 美女たちの声援を受けながら、僕の針は軽快に道を進んでいく。だが道が広くなったと思ったら、道を二つに仕切るかのような岩が、中央に並んでいた。

 

(まずい! 右か左の道を選ばないと、中央の岩に当たる。でもこの時点で先が見えない。何をどう考えたって、答えがみつからないやつだ)

 

「ラル。右よ!」 

「ラルさん。左です!」 

 

 しかも同時に応援が飛んできた。

 

 なんとなくマーミンかラズベリー、どっちを信じるみたいな気持ちになるが、冷静にフラットに考えるのだ。

 

「左だ! レアハンターの第六感が、左だと告げている!」 

 

 僕は針を左へと移動する。

 

『残り2秒です』

 

 やがて道の先が見えてきたが、予想とは違って左右どちらにも壁はなかった。

 

 難なくゴールまでたどり着いた僕は、そこにあった罠の心臓へと針を突撃させる。

 

 パーンと気持ちのよい音が響くと、『罠解除に成功しました』とアナウンスが見えた。


「やった!」 

「ラルさん、おめでとうございます」 

「やるじゃない」

 

 そういったマーミンは、なぜか腕を組んで僕を見つめている。

 

「で、なんで左に行ったのか、改めて聞かせてほしいわね」


 僕がマーミンの言った右へ行かなかったことが、ちょっと納得いかないらしい。確かに左右どちらへ行っても、なにもないからゴールできただろう。

 

 でもそれならば、あんな分かれ道を作らないでくれと思ってしまう。

 

「レアハンターとしての勘だよ。それよりも鍵もかかってないし、宝箱を開けようよ」

「そうですよ。宝箱を開けましょう」

「いいでしょう。私が開けてあげるわ!」 

 

 マーミンはさっと宝箱に近づくと、パカっと蓋を持ち上げた。

 

>>>>>>>

無魔法:マナアップの魔導書×1 を手に入れました

<<<<<<< 

 

 マナアップの魔導書は無魔法レベル6が必要な、付与タイプの魔法だった。

 

「ファイアショットの魔導書だわ。魔導書は嬉しいけれど被りね」

「私は精霊のチュニックのレシピでした」

 

 おそらく魔導書が当たりで、レシピはノーマルでも手に入るから外れだろう。でもノーマルをそれほどファームしていないなら、ノーマルのアイテムが手に入るのは救済とも言える。

 

「悪くないね。宝箱の部屋はノーマルと違う階層だったし、もしかするとボスフロアも深いかもしれない」 

「そうね。どんどん進んでいきましょう」

「はい」 

 

 僕らは宝箱の部屋を出て、さらに奥へと進んでいった。

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