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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
戦力が足りない
40/176

40.初級魔導クエスト

 ラズベリーと別れた後、僕は『鬼の村』で魔導書を確認してみた。

 

 でも残念ながら、こっちの方もダメだった。

 

 その後チェルナーレへと戻り、レンタル生産所で僕の武器を作成した。バスタードソードは初級で作成できるけれど、素材をフォレンチノにしたせいか、ミニゲームをやらされた。

 

 でも難易度は刀に比べれば簡単で、いい感じにスロットもできた。

 

 キーンソード+1、攻撃力89、耐久度29、必要筋力40、キーン4、シャープネス4、ストレングス1。小鬼小刀以上の性能だった。

 

 フォレンチノで作成したときの付与のスロット数の最大値は3で、付与した魔法力値がスロット自体の最大値になる。

 

 とは言え100で付与して、100のスロットができることはほぼ無いし、ほとんどが半分以下になってしまう。それに必ずスロットが3つできるわけでもない。

 

 その中でも、このバスタードソードは大成功といえるだろう。

 

 というわけで、僕はこのまま調子に乗って図書館へと向かった。

 

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「こんにちは」 

「図書館へようこそ」 


 前と同じ大人っぽい女性が、僕を迎えてくれた。

 

 まだ中級魔導クエストをクリアしていないのに、わざわざ図書館まで来た理由は、初級魔導クエストを受けるためだ。

 

(クエストは別枠だし、僕の欲しいムーンスピアは、よく考えれば5レベルだし、早めに気がついてよかった)


「初級魔導クエストを受けに来ました」


 そう言って近づくと、クエストメニューが浮かんだ。そのまま僕は初級魔導クエストを受諾する。

 

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初級魔導書クエスト:小鬼の角を収集せよ

小鬼の角×10

報酬:初級魔導書からランダム

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 このアイテムはサクラの進化に使うけれど、僕の持っている数は普通じゃない。余裕の気持ちでクエストを完了する。

 

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火魔法:炎の魔導書×1 を手に入れました

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 まさかの付与魔法シリーズだ。だけど火魔法だから、またしても僕らは使えない。

 

「まだまだいくぜ」 


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初級魔導書クエスト:虫エッセンスを収集せよ

虫エッセンス×30

報酬:初級魔導書からランダム

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 エッセンスのクエストもあるらしい。でもクエストクリア前に不安になる。バッタの足を要求されたら、今の僕は一本しか持っていない。

 

「そのことは忘れてクリアだ」 


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火魔法:ファイアボールの魔導書×1 を手に入れました

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 火魔法レベル3が必要な、着弾時に爆発する範囲魔法だ。前もそうだったけれど、属性が偏っている気がしないでもない。

 

 でもランダムのはずなので、何も考えずにどんどん行こう。

 

 ムーンボム、アクアランスと持っている魔法が続く。クエストで収集するアイテムは、運良く持っているものばかりだけれど、手に入る魔法まで持っているやつでなくてもいいのに。

 

 特にアクアランスなんて、レベル5が必要なレア魔導書だ。それが出るなら、ムーンスピアが出てくれよと思う。 


「ウィンドアロー……」


 そして今度は風魔法のレベル5だ。レアが出るのは良いけれど、なんだか僕は思っているよりも運が悪い気がしてきた。

 

 計算が苦手だけど、ちょっと考えてみよう。初級魔導クエストでは5レベルまでが出現するということは、3レベルから5レベルまでが手に入るということだ。

 

 4属性と無属性で5×3で15種類。それに付与系の魔法を含めると、大体20くらいになるはずだ。

 

 で、僕が欲しい魔法は、そのうちの1つ。

 

「5%ってことか!」 

 

 でも5レベルはレアのはずだから、単純に5%ではないはずだ。軽く考えていたけれど、本当にレアドロップ並なのかもしれない。


 しかも計算に入れ忘れたけれど、回復魔法だって手に入るはずだ。それを加味したら、なおさら狙いの魔法は出ない。


 考えなければよかったと思いながら、僕は初級魔導クエストをクリアする。

 

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火魔法:ファイアボールの魔導書×1 を手に入れました

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 欲しい魔法は出ないくせに、いらない魔法は被りまくる。

 

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初級魔導書クエスト:鬼エッセンスを収集せよ

鬼エッセンス×30

報酬:初級魔導書からランダム

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 次に出たクエストは、鬼エッセンスの収集だった。

 

「鬼エッセンス? 僕を誰だと思ってるんだ」 


 小鬼の卵を得るために、何日も戦い続けたレアハンターだ。ある意味余って仕方がない。

 

 それに今日の僕は絶好調だ。さっきの鍛冶で最高のバスタードソードを手に入れた。魔法の武器だから名前を変更して、キーンソードにしたけれど、調子に乗ったからこそ、僕は図書館にやってきたのだ。

 

「レアハンターの血が騒ぐ!」 


 なんだか盛り上がってきた。この僕に手に入れられないレアドロップなど存在しない。


 すでにムーンスピアを手に入れた気分で、僕はクエストを完了させる。


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火魔法:ファイアランスの魔導書×1 を手に入れました

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 レベル5が必要なレア魔導書。だがそれじゃない。僕が欲しいのはそれじゃないんだ。


 膝から崩れそうになる寸前に、図書館の扉が開いた。

 

「あら、ラルじゃない。奇遇ね」 


 そこに現れたのはマーミンだった。

 

「マーミン。なんだか久しぶりな気がする」 

「本当? ってことは、あれからいろいろあったんでしょ」

 

 森狼の卵チャレンジ、鬼の村のお店確認、武器が折れる。そして武器生産、さらに魔導書クエストチャレンジ。

 

 この中でうまくいったのは、武器生産だけだ。

 

 失敗続きの状況に、僕は少し疲れたのかもしれない。

 

「それともあれかな。狙った魔導書が出なくて、がっくりしてるとか?」 

「そうなんだ。ムーンスピアが出ないんだよ……」


 わかるわかるというように、マーミンはなんども頷いた。

 

「欲しいものほど出ないよね。私もファイアランスが出なくてさ。ムーンスピアなら結構かぶってるし……」


 僕はマーミンと顔を見合わせる。きっと同じことを思いついたのだろう。

 

「ムーンスピアが余ってるの?」

「ファイアランスを持っているとか?」


 まさしく渡りに船だった。マーミンの言葉と表情を見て、所持していることを確信する。

 

「交換しよう!」


 僕らの声が重なり合う。そしてついに、僕はムーンスピアを手に入れたのだ。

 

「上位の魔法がないから、戦力不足だったんだ」 

「私は上位はあるけれど、そこだけ抜けてて気になっていたのよ」


 僕らはがっしりと握手をする。

 

 これで単体攻撃のバリエーションが増えるし、一撃で倒せなかった魔物も、倒せるようになるだろう。


 一つ解決したので、マーミンのことが気になった。


「そういえばさ、小鬼のほうはどうしてるの?」

「村に行ったら襲われちゃう感じね。すぐに逃げて森の小鬼を倒しているけど、気分転換に図書館に来たのよ。本当に来てよかったわ」


 マーミンは魔物言語が無いようだから、ラビィたちも会話をしない。おそらく村の小鬼とも、会話ができないのだろう。

 

 でも話せなくても、友好度が上昇すれば、襲われなくなるはずだ。


「仲良くなれば、素通りできるはずだから、それまではチェックと討伐だね」

「うん。それじゃ気分転換もできたし、森に行くね」

「魔導書ありがとう、またね」

「またね」


 マーミンは図書館から出ていった。僕はこれからロードラクル狩りだ。

 

 戦力も増強したし、ロードラクルの肝なんて、瞬く間にドロップしてみせる。

 

 でもその前に、ログアウトして休憩しておこう。

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