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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
アロイ・ガライの謎を解け
23/176

23.面白そうな話

 一度『芋虫の森』からでて、入り直したりしてみたが、あのウェーブが発生する気配はなかった。仕方がないので芋虫狩りを続行しながら、時々『芋虫の森』へ入って確認する。

 

 でも全然ウェーブが発生しない。芋虫からは特にめぼしいアイテムもドロップしない。欲しいわけでもないけれど、芋虫の卵もドロップしなかった。

 

「休憩を挟みながら、時間を確認していこう」 

「わかったナァ」

「ウガガァ」


 二人はいつでも明るく返事をしてくれる。僕はそんな感じでログアウトしたりしながら、いつウェーブが発生するようになるのか、こまめにチェックしていった。


--------------------------


 『芋虫の森』に入ると、ついにウェーブが始まった。


「大体リアル世界で二十四時間か……。いわゆる一日リポップってことだ」

 

 でもこの手のリポップで良いドロップをする魔物は、大抵プレイヤーが張り付いていたりするだろう。他にプレイヤーがいないということは、この場所が知られていないか、思うほどいいアイテムが出ないってことかもしれない。

 

「うーん。ドロップ率上昇は神レベルの効果だけどな……」 


 価値観の違いかもしれない。でもライバルがいないなら、それはそれで僕にはプラスなのだ。

 

「っと、来たぞ。みんな、ウェーブ開始だ!」 

「まかせるナァ」

「ウガガガァ」


 種がわかったウェーブは、全然苦労したりもしない。出現パターンは変わらないみたいなので、なおさらトラブルなくクリアできる。

 

「さてさてイモキンのご機嫌はどうかな」 


 軽く地面が揺れて、大きな芋虫が登場する。だが頭に王冠がない。名前が『芋虫の騎士』になっていた。

 

「まさかの外れポップ!?」 


 王冠の代わりにごつい感じのヘルメットを被っているが、強さ的にも期待はずれだった。

 

「しかもかなり弱い」 


 僕の魔法とラビィの魔法、そしてサクラの近接で、あっさりと『芋虫の騎士』は多角形の板になって消えた。

 

>>>>>>>

芋騎士の兜×1

魔糸×6

虫エッセンス×6 を手に入れました

<<<<<<< 


 一応装備はドロップした。名前からしてさっき被っていた兜だろう。

 

「ぐぐっ、微妙だ……」 

 

 防御力5で必要筋力が50だった。デザインも無骨な感じだし、あまりいいところが見つからない。

 

「マスター、なんか元気ないナァ」 


 ラビィやサクラに心配をかけてはならない。

 

「いや。元気だよ。さぁ、もう一度ウェーブにチャレンジしてみよう。それが終わったら、次の村へ移動だ」

「わかったナァ」

「ウガァ」


 次に出現したウェーブでも、イモキンはあらわれなかった。同じ『芋虫の騎士』で、装備のドロップも変わらない。おそらくはイモキンはレアポップで、『芋虫の騎士』がコモンなのだろう。

 

 もしかすると最初に芋虫の王が出現したのは、あのリスのイベントつながりだったのかもしれない。とすれば最初の一回しか出現せず、二度と出ない可能性もありそうだ。

 

 そう結論づけた僕は、予定通りに先へ進むことにした。僕らは歩いて次の村に向かった。村から馬車もでているのだが、あいにく出発時間があわなかった。今から出発しておけば、馬車よりも早く到着するだろう。

 

--------------------------


 次の村に到着すると、嬉しいことにポータルが存在した。僕はすぐにポータルに登録し、これで多少の無茶もできそうだと安堵する。


 でも別に全滅するほど攻めた攻略をするわけではない。


 僕は良いとしても、ラビィやサクラが倒されることなど、想像もしたくなかった。


 村の中を歩いてみると、雰囲気は最初の村と似たような感じだった。幸いにも活動している村人もいる。僕は村人から情報を得るため、近くのおじさんに話しかけた。

 

「この村のことについて教えてくれますか?」 

「ここから街へは四時間くらい歩けば着くぞ。がんばれよ」


 このおじさんからは、それ以上の情報は出てこない。誰しもが情報に詳しいわけでもないので、僕は気にせず他の村人へと声をかけていく。

 

 そうやって話しかけた四人目の村人が、とても貴重な情報を教えてくれた。

 

「この村の南には『鬼の村』が存在する。別にこっちに攻めてくるわけでもないし、こちらから手を出さなければ襲われることもないだろう。まあその村へ行くまでには、たくさんの森狼がいるからな。用がないなら行く必要はない」 

「ふむふむ」 

 

 何の気なしに相槌をしてみた。『鬼の村』と聞けば、『小鬼の村』と同じように、なんらかの会話ができそうだ。『小鬼の村』でファームしていた人たちは、おそらくここでも似たようなことをしているはずだ。

 

 以前に小鬼の鍛冶師が教えてくれた『鬼の村』というのは、きっとこの場所のことだろう。魔導書が販売されている可能性があるし、一度は行っておきたい。

 

「そして北の森だな。そこは『常闇の森』と言われている。何しろずっと夜なんだ。冒険者の話によると、幽霊がたくさん出るらしい。おそらく原因は『アロイ・ガライ』だろうな」 

「アロイ・ガライ?」


 聞きなれない言葉に、僕は思わずオウム返しをしてしまう。

 

「昔は普通の森だった。だがアロイ・ガライという人間が、森に入ってから変わったと言われている。だけどアロイ・ガライが森に入ったのは、もう何年前だかわかりもしない。とっくに死んでいるだろうね」


 どうやら『常闇の森』というのがあって、そこには幽霊が出るらしい。そしてその原因は、アロイ・ガライらしいと言うことだ。

 

(なぜ森が変わってしまったのか、その謎を解けって感じかな) 


 そう考えていたら、村人が話を続けていた。

 

「あの森にはアロイ・ガライの館があると言われている。だが調査した冒険者のほとんどは、館を見つけることはできなかった。だが一人。パーティが全滅状態になりながらも帰ってきた一人がこう言っていた。『普通ならあり得なかった。でも偶然に僕らは館を見つけてしまった。あんなの見つかるわけはない! 見つけるべきじゃなかったんだ』、そう言い残して村からいなくなったそうだ」 


 ワクワクしてきた。ここまで言われたら、その館を見つけてやろうとしか思えない。この村にはポータルもあるし、失敗してもすぐに戻ってこられる。

 

「面白い話ですね」 

「まあな。だが無意味に北にも南の森にも近づくな。森狼や幽霊の餌食になるぞ」

「はい。気をつけます」


 僕はそのまま村人から離れた。

 

 聞いた話をまとめると、南には『鬼の村』、北には『アロイ・ガライの館』がある。どっちから先に行こうか、それを考えるだけでも楽しくなってきた。

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