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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
小鬼を仲間にしよう
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02.魔法の使い方

 上半身だけの人形から、木の棒が伸びて地面に刺さっていた。てっきりゲームが始まると思ったのに、まだ何かあるようだ。

 

『ようこそ練習の間へ。ここでは戦闘スキルの使い方を説明します』 

「よろしく」


 いわゆるチュートリアル部屋らしい。その姿は見えないけれど、声だけが聞こえてくる。

 

『ラルさんは無魔法の練習が必要です。無魔法のレベル1にはムーンブラストの魔法が存在します。これは魔法力をエネルギー弾にして、目標にぶつける魔法です』


 無魔法の基本的な攻撃魔法だ。魔力のエネルギー弾が、青白い円形だからムーンブラストという名前らしい。

 

『言葉でムーンブラストというか、頭のなかで使うぞって思ってくれれば発動します。あの木人形に向けて使用してください』 


 僕は木人形を目標にして、頭のなかでムーンブラストを使うぞって思った。すると僕の正面から、青白い弾が現れて、木人形へ飛んでいく。

 

 パァン!


 僕の作成した魔法の弾は、木人形に当たって消えた。

 

「あれ?」 


 自分のステータスを確認すると、消費魔法力は1のようだ。でもちょっと、威力のなさに不安になる。

 

(木人形に傷がつかないって、威力的にやばいよね) 

 

 ちょっと恥ずかしいから躊躇したけれど、僕は魔法名を口に出してみた。

 

「ムーンブラストぉ!」 


 ついでに木人形に向けて、パンチをするように拳を突き出した。すると体の正面ではなく、拳の先からエネルギー弾が飛んで行く。

 

「さっきより輝いてるかも?」 


 バキャア!


 木人形の胸にヒビが入り、砕けて粉々になった。

 

「やったぁ!」

『すごいです!』


 消費魔法力を見たら、3も減っていた。つまりさっきは消費が1だったけど、今回は3の消費をすることで、威力が上昇したようだ。

 

「えっ?」


 粉々になった木人形が消えると、さっきの三倍くらい大きい木人形が現れた。

 

『砕けます?』


 最初のときとは違って、挑発的な言葉だった。でもきっと何かしら方法はあるのだろう。二度目の魔法の時は、僕は思い切り叫んで気合を入れた。だから魔法の威力が上がったんだ……なんてことはないはずだ。

 

(気合で威力が上がるなんて、そんな意味不明なことはしないはず) 

 

 あくまで威力が上がったのは、消費魔法力が増えたからだ。だとすれば、魔法にもっと魔法力を使えばいい。そしてその方法は、おそらくは魔力制御だ。効率的に魔法を使うという説明の通り、消費魔力を減らすことができるならば、増やすことだってできるだろう。

 

「んっ」


 僕は今度は頭のなかで魔法名を叫ぶ。

 

(ムーン……ブラストぉ!)


 魔法に魔力を込めやすいように、じっくりと溜めを作った。そのおかげなのか、体の中から何かがすぅっと抜けていく感覚があった。

 

 拳の先から飛び出た魔法の塊は、さっきよりも強く輝き、さらに大きくなっているように思えた。青白く光る球が、一直線に木人形へ飛んでいく。

 

 ヴォキャア!

 

 木人形の胸辺りに当たった瞬間、激しい音とともに木片が弾け飛んでいった。

 

『すごーい!』


 ばらばらになった木人形が、カランカランと床へと散らばった。

 

 消費魔法力は10だった。これができるならば、しばらくは安心して戦えそうだ。でも消費魔法力に注意しなければ、すぐにでも空になりそうな勢いだ。

 

>>>>>>>

シークレットクエスト『クレアの練習』をクリアしました。

称号:『クレアの注目』を取得しました。

スキルポイント:1を取得しました。

<<<<<<<

 

 予想外だった。どうやらこの大きな木人形を壊したことで、クエストクリアになったらしい。

 

『本当にすごいね。ご褒美にスキルポイントを上げる。これからも私はラルに注目するよ』 


 隠されたクエストがあるのは、公式にものっていた。でもまさかこんな場所で見つかるとは思ってもいなかった。僕は内心の興奮を抑えながら、努めて冷静に言葉を返す。

 

「ありがとう」

『そろそろお別れね。街に行ったら、冒険者登録を忘れないで』

「わかった」


 再び部屋が真っ白に輝いていく。そして光がおさまると、僕はポータルのそばに立っていた。

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