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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
ロッカテルナ湖を攻略したい
169/176

169.再び探索開始

 14時の5分前くらいにラズベリーから転移魔法陣の前に着いたと連絡が来た。予想通りに作動はせず、Bランクが必要とメッセージが流れたそうだ。

 

 すでに手順は説明しているので、建物の側でラズベリーたちが来るのを待つ。

 

 やがて14時になると、転移魔法陣の近くへふわっとラズベリーが現れた。そして次々とメンバーが転送されてくる。

 

「うぉっ、すげーな。初の雪だぜ」

「キラキラでゴンス」


 転送してきたのは、ラズベリーにパンク、ゴリとマーミンにモルギットだった。特にモルギットは久しぶりにログインしている気がする。

 

「こんにちは。ラルさん。お久しぶりですね」

「こんにちは。そうだね。なんだか何年も会っていない気がするよ」

「それは言いすぎです」


 フフッとモルギットが笑った。なんだか懐かしくなってきて、気持ちがホカホカとしてくる。

 

「ラルさん。パーティを組みましょう」

 

 ラズベリーに誘われ、パーティに参加した。そういえばプレイヤーだけで6人だ。召喚獣を喚ぶ隙間はない。

 

「ラル。探索は進んでいるの?」

「来たばかりだから、それほどでもないよ。ラビィが寒さに弱くて、奥に進めないトラブルもあったし」

「ヒーラーがいないんじゃ、きついだろうな」


 パンクの言う通りで、僕のパーティの要のラビィがいなければ、まともに探索なんてできそうもない。

 

「あっ、でも面白そうなものは見つけたんだ。よかったら見に行かない?」

「いいじゃない。案内よろしくね」

「おう。このメンバーならよほどのことがない限り、全滅はないだろう。ダブルヒーラーだからな」


 そういえばモルギットもゴリも、ヒーラーよりの魔法使いだ。パンクの硬さも知っているし、予想通りに巨人がいても、なんとかなりそうな気がする。

 

「召喚師としては役に立てそうにないけど、僕も頑張るよ」

「それもそのうち解消されるでしょ。いまテスト中らしいわよ」


 マーミンの言葉に、いろいろと疑問が浮かぶ。

 

「最初の召喚師の仕様では、6人全員が召喚師だと、それぞれ3体召喚したとして、24人で1パーティとか訳のわからないことになるでしょ。それを防ぐために、大型アップデートで変更されたの」


 もちろん召喚獣をパーティメンバーとして数えるという変更があったのは知っている。でも経験値問題だけだと思っていたけど、そういう事情もあったらしい。


「それで今度はプレイヤーでパーティを組むと、召喚師が力を発揮できないとか文句が出て、1体までなら召喚できるように修正予定でテストしてるみたい」


 悪くない気がする。召喚師6人でパーティを組んでも、最大で12名だし、これなら運営的にもバランスの範囲内でおさめられそうだ。


「その場合の経験値とかも考えなきゃならないけど、大型アップデートってほどでもないし、そのうち適用されるんじゃない?」

「そうなるといいね」


 どちらにせよ、今すぐ召喚できるわけではないし、今回はこのままだろう。

 

「それじゃ、私は別パーティで行きますね」


 そう言うとラズベリーがパーティを抜け、キンちゃんやらポンちゃんを召喚しはじめた。

 

「ラルさんも1体召喚して、2パーティで行きましょう」

「良いんじゃないですか」

「ナイスアイディアでゴンス」


 みんなも雪原の探索がメインみたいだし、いつかのようにレイドでも良さそうだ。

 

「ありがとう。それならサクラ召喚!」


 最近は構成上、喚びにくいサクラを召喚した。

 

 相変わらずのメイド装備に、攻撃力の上がるピアス。すっかりこの姿が僕には馴染んでいるけれど、いつか必ず和風の剣士に育て上げたい。

 

「そろそろ行こうぜ」

「面白いものの方角はあっちだよ。少しづつ吹雪いていくけれど、周りに注意して進んでね」

「ワクワクでゴンス」


 パンクを先頭に、僕らは足跡へ向けて歩き出した。


--------------------------


 歩きだしてから気がついたけれど、例の足跡は雪で埋まっているかもしれない。でもすぐに気にしても仕方がないことだと、僕は気持ちを切り替えた。

 

「我が名はパーフェクトタンク!」


 ホワイトラビットの突進を、パンクが盾で受け止めていた。僕は油断して奇襲されたけれど、パンクはしっかりと受け止めていた。

 

「あらよっ、ほらさ」

「ファイアショット」


 マーミンの放つ5つの炎が、きらびやかに空中を舞って着弾する。

 

 全てが命中した時に、ホワイトラビットは光を残して消えていった。

 

「えっ?」


 僕が戦った時には、もっと魔法を撃ち込まなければ倒せなかった。エリーの魔法とマーミンの魔法では、そこまで差があるのかと寂しくなる。

 

「どうかしたの?」

「威力が凄いなって思ったんだ」

 

 そんなことかって言う感じで、マーミンがニコリと微笑んだ。

 

「火魔法だけだけど、この杖で威力をブーストできるのよ。プレイヤーメイドの装備だけど、こういうので地力を上げているの」

 

 そう言えばその手の装備は、エリーには渡していない。もともと持っていないというのもあるけれど、魔法系の装備はあまり重要視していなかった。

 

 でもここまで差を見せつけられたら、この先は考えたほうが良さそうだ。

 

「しかし雪原のせいでうさぎが見えにくいな」

「足跡でなんとかなりそうです」

「細かいことは良いでしょ。どーんと魔法でぶっ飛ばせばいいのよ」

 

 モルギットの感の良さは相変わらずのようだ。パンクも見えにくいとかいいながら、しっかりと対処しているし、何かと安心できるパーティだ。

 

「雪が激しくなると、もっと見えにくくなるから注意していこう」

「了解」


 ふとラズベリーを見ると、キンちゃんに潜り込みながら、楽しそうにしていた。5体召喚をしているから、それぞれ能力値は落ちているはずだから、無理しないようにと心配になってくる。

 

 でも今のラズベリーは僕よりもレベルが高いし、フル召喚での戦闘も経験がありそうだ。

 

 いざとなればモルギットとゴリのヒーラーコンビもいるし、きっと大丈夫だろう。


 少しづつ強くなる風の中を、僕らは足跡を探して進んでいった。

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