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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
ロッカテルナ湖を攻略したい
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168.雪原の探索

 最初はエリーが降っている雪のせいで、飛びにくいかと心配だった。でも探索と戦闘を繰り返しているうちに、それが杞憂だと言うことがわかる。


 全く気にしていないようで、ウピピィと機嫌が良さそうに飛んでいた。

 

 相変わらず風の音と雪を踏みしめる足音だけが聞こえる世界を、僕らは慎重に進んでいく。最初の場所から離れていくにつれ、なんとなく太陽が陰り、心なしか降る雪が激しくなっているような気がした。

 

 もう少し離れたらはっきりするだろうと考えていた時、雪原に驚くものを見つけた。

 

「ルード止まって。足跡がある!」

 

 僕らがまだたどり着いていない場所に、誰かの足跡が残っていた。

 

 他にプレイヤーがいないとは限らないけれど、とても人とは思えないほど足跡が大きい。素足で歩いたような感じの足跡は、おそらく60センチはあるだろう。

 

「指は5本。形は人間と変わらないけれど、あまりにも大きすぎる」

「これは巨人の足跡ですの!」


 僕も同じ印象を持った。さまようように残った足跡は、僕らをどこかへ連れて行こうとしているのかもしれない。


「巨人か。たしかにそんな感じだね」

 

 足跡を追えば、巨人に会えるかもしれない。足跡を逆に進めば、巨人の家があるかもしれない。

 

 どちらも面白そうだけど、今回は巨人を追いかけてみよう。

 

「ルード、足跡を辿って追いかけるよ」

「ガモォ」


 ルードが足跡を追いかけるようにして歩きはじめた。


--------------------------


 3分ほど進んでいると、同じような大きな足跡を、複数発見してしまった。並んで歩くというよりは、適当に交錯して見えるので、徒党を組んでいるという感じはしない。

 

 どれがどの足跡かは、向かっている方向でなんとなくわかるけれど、視界が悪くなってきたのもあって、少しづつ不安になってくる。

 

 気がついていないだけで、もしかしたらすぐそばにいるかも知れない。あるいは囲まれているかもと、周囲を何度も確認した。

 

 でも視界が悪いだけで、暗くて見えないとかではない。僕の夜目はこういう場合では効果を発揮しないし、気配がわかるとか器用な事もできない。

 

 余計な事は考えずに、警戒しながら進むしかないのだ。


「ルード。最初の足跡を追っていこう」

「ガモォ」


 僕らは足跡をたどりながら、慎重に進んでいく。

 

 そうやって歩いていると、確実に視界が悪くなってきた。やはり最初の場所から離れるほどに、天気が崩れていっている。

 

 穏やかに降っていた雪も完全な吹雪に変わり、静かな風の音までも、ゴーゴーと威嚇するほどに変化していた。

 

 浴衣で雪原とか、普通ならば無謀な話だけれど、寒いは寒いけれど耐えられない感じはしない。おそらくは寒さも調整されていて、僕のような装備でも大丈夫なようにできているのだろう。

 

「マスター。寒すぎて動けないですの」

「えっ」


 僕はプレイヤーだから、緩和されているのだろう。でも召喚獣は環境によって活動できないことがある。

 

 もしかするとラビィは、寒いところが苦手な召喚獣なのかもしれない。

 

 そう言えば装備のない初期状態のラビィは、胸と股間にだけ服のように毛が生えているだけだった。全身を毛で覆っているわけではないので、寒さに弱いというのも理解できる。

 

「ごめん。気がつかなかった。温かいところに行くまで、送還するね」

「マスター、ごめんなさいですの」


 ラビィを慌てて送還した。でもその瞬間、探索は無理になったことに気がついた。

 

 珍しくルードがダメージを受けるこのゾーンで、ヒーラーなしで探検するなど愚かにも程がある。

 

 僕はヒールはできないし、ラビィ以外に回復魔法を持っている召喚獣もいない。


 折角のチャンスではあるけれど、巨人の調査は諦めて、余計なトラブルに遭わないうちに、転移魔法陣のところへ戻っておこう。


「ルード。転移魔法陣のところへ戻ろう」

「ガモォ」


ラズベリー:こんにちはー。

ラル:こんにちは


 メッセージが来たけれど、巨人にであうのも怖いので、僕は転移魔法陣に向かいながら返事をした。

 

ラズベリー:いきなりですけど、そこはどこですか?


 フレンドにはどこにいるのか表示される。おそらく聞いたこともない『ベルネット雪原』にいたことで、気になってメッセージしてきたのだろう。

 

ラル:探索していたら、新しいゾーンを発見したんだ。

ラズベリー:すごいですね。私も行きたいです。

 

 移動できるルールはだいたい解明されている。それを確定するためにも、ラズベリーに協力してもらうのも良いかもしれない。

 

ラル:ここに移動するための方法が、まだ完全に確定していないんだ。それでもいい?

ラズベリー:はい。教えてください。


 僕はロッカテルナ湖から冒険者ギルド。そして転移魔法陣の説明をした。

 

ラズベリー:ロッカテルナ湖に秘密があったんですね。行ってみます。

ラル:気をつけてね。

ラズベリー:あっ、クランハウスにパンクさんとかいるんですけど、一緒に行ってもいいですか?

ラル:いいよ。情報規制をする気もないし、来たい人がいたら一緒にどうぞ。

ラズベリー:ありがとうございます。それではあとでー。


 パンクも休憩から戻ってきたらしい。そう言えばマーミンもログインになっている。ちょっと探索するつもりで、僕は意外とがっつり探索していたようだ。


 みんなが来る前に、転移魔法陣の所に戻っていよう。

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