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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
ロッカテルナ湖を攻略したい
165/176

165.予想外の施設

 大通りに並行して進んで行けているかは、地図を確認すればなんとかわかる。ただ平面の地図なので、家屋の中などが詳細に表示されることはない。

 

 そうやって迷わないように進んでいると、家屋の窓から広場のようなものが見えた。よく見ると泥に埋まった屋根があるので、周りの建物に比べて低かったために、泥に埋まって広場のようになってたようだ。

 

 なぜか開けた場所なのに、数匹の魔魚が泳いでいる。まるでその屋根を守護するかのように、周囲を囲むようにしている。

 

 魔魚と戦わないために迂回しようとしていると、飛び出た屋根になにか見覚えのある何かがあった。

 

 ただ大半が泥に埋まっているため、見えている部分は僅かだった。でも紋章のような形には、どこか見覚えがあったのだ。

 

「あっ、冒険者ギルドだ」


 エリーと二人しかいないのに、思わず声に出してしまう。見えている部分は冒険者ギルドのマークの一部で間違いないだろう。

 

 とすると、昔の北の街に冒険者ギルドが存在し、今は泥の中に埋まっているということだ。

 

 紋章の上にある丸っこい穴から中に入れそうだけれど、その場合には魔魚との戦闘は避けられない気がした。

 

「魔魚が3体だ。エリー、よろしく」

「ウッピィ」


 窓からファイアショットが飛んでいく。2発命中した魔魚は倒しきれたけれど、残った1体がこっちへ向かってきた。

 

「ムーンボール」


 窓から狙うという感じなので、なんとなく安心感があった。結構なスピードで魔魚は向かってきたけれど、僕は冷静に魔法を叩き込む。

 

 もともとダメージを受けていた魔魚は、きらびやかにダメージエフェクトを飛ばしながら消えていく。

 

 残念ながら卵はドロップしていないけれど、別に狙っていた訳でもない。せっかくドロップ可能性があるのだから、出たらいいなくらいの気持ちだ。


 窓から上を見ると、相変わらず巨大魔魚が泳いでいる。近くに魔物はいなさそうなので、僕は冒険者ギルドへと近づいた。

 

 紋章の部分を掘って見ると、やっぱり見慣れた形が現れる。やっぱりこの建物は、冒険者ギルドで間違いないようだ。


 どこの建物でも一緒だけど、窓はガラスもなく空洞になっている。昔は丸いガラスがハマっていたであろう窓から、僕は冒険者ギルドの内部へと侵入した。

 

 大半が埋まっているせいで、かなり部屋の中は暗い。でも夜目がある僕には、特に問題なく見えている。

 

 ただエリーは暗いのが苦手なので、窓から離れようとはしていなかった。

 

 意外に部屋の中はきれいで、なぜか泥は堆積していない。木製の床が丸見えで、他の部屋につながるような扉もなかった。

 

 というか、調度品が何もない。ぱっと見て屋根裏部屋って印象があるから、床のどこかに扉があるはずだ。

 

 床の切れ目を探して、丁寧に探索をしていく。隠し扉になっているはずもなさそうなので、きっとすぐに見つかるだろう。

 

「んっ。アクアブリーズ」


 探索に集中していたら、魔法の更新を忘れていた。


「ウピィ」


 どことなく呆れたようなエリーの声を聞きながら、再び床へと集中する。

 

 ほどなくして、長方形の切れ目のようなものが見つかった。木の板に凹みが有り、そこに指がかかるようになっている。

 

 それを持ち上げて扉を開けると、僕は姿を見せないようにして、下の方を覗き込んだ。

 

 貝が張りついた古そうなテーブルと、よくわからない感じで薄汚れた椅子などが目に入った。ただ装飾が豪華な気がするので、もしかするとギルドマスターの部屋かもしれない。

 

 そこで突然、夜目のレベルが10になった。

 

 更に見やすくなった上に、このスキルは進化できるらしい。スキルポイントは余っているけれど、暗い中で見えるという必要な機能をもっているので、今は進化させなくてもいいだろう。

 

 僕はインベントリからランプを取り出すと、スイッチを入れる。予想した通り、魔道具だけに水の中でも使えるようだ。

 

 僕の周りが明るくなると、エリーがスーッと近づいてきた。

 

「降りるよ」

「ウピィ」


 魔物がいないのを確認してから、僕は下の部屋へと移動する。ただ下の部屋とは言っても、泥の中でなければ、おそらく2階になる部屋だ。

 

 何かがあるわけでもないので、僕は部屋にある扉を開く。わずかにゴミが舞うけれど、特に問題なく扉は開いた。

 

 廊下にも魔物の姿はない。左に行けば下へ続く階段があるけれど、逆側の方は部屋があるようだ。僕の予想では2階になにかあるとは思えないけれど、調べておくのは大事なことだ。

 

 他の部屋を調べて戻ってくると、思わずふぅっとため息が出る。予想通りではあったけれど、大きなテーブルがある会議室のような部屋と、空っぽの本棚が並ぶ部屋があるだけで、なんの収穫もなかった。

 

 でも面白そうなのは1階だ。

 

 僕は気を取り直して、降りの階段へと向かった。

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