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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
ロッカテルナ湖を攻略したい
161/176

161.豪華な扉

 この通路にはデザートメイドがいっぱいいた。リフレクトで倒せることがわかった以上、サクサクと倒しながら進んでいける。

 

 しかもレシピはドロップするし、経験値もしっかり入る。料理の技能書は余りまくるけれど、なんの文句もあるはずがない。

 

 ただ料理スキルを取得したのは、少しだけはやまった気がする。どういう効果があるのかわからないし、このゲームには空腹システムなど存在しない。

 

 食べなければ能力低下とかもないから、必要かと言われれば、別にって感じになってしまう。

 

 とはいえ僕は、もともと必要だからとか有用だからでスキルは選んでいない。面白そうとか、楽しいかもで選択しているから、この迷宮をクリアしてからでもよかったかなって思っているレベルだった。

 

「っと、廊下の終わりだぜ」

 

 長い廊下をデザートメイドを倒しながら進んでいると、大きな扉までたどり着いた。

 

 アイコンタクトで準備ができたことを伝えると、パンクが扉を開いて中へと飛び込んだ。

 

 僕も一歩遅れて中に入ると、そこはどうやら食堂らしい。黒い靄をまとった人型の魔物が、整然と座っている。

 

 僕らが食堂へと入ると、それらは一斉に立ち上がり、僕らに向かってきた。

 

「我が名はパーフェクトタンク!」

 

 バラバラに向かってきた黒い影がくるっと向きを変え、パンクへと殺到する。

 

 そのすきに情報を確認すると、闇の住人という魔物だった。ドロップリストには闇の欠片がコモンで存在するけれど、それ以外にはなにもない。

 

 いわゆるポイントを稼ぎやすい、ボーナスみたいな魔物だろう。

 

 パンクのメイスの一撃で、ダメージエフェクトを撒き散らしながら、黒い霞となって消えていく。

 

 どうやら闇の住人は、思っている以上に柔いようだ。

 

「ファイアショット」

 

 5つの炎が一つづつ、闇の住人へと飛んでいく。この柔らかさを見れば、ファイアショットの一部だけでも、余裕で倒すことができるだろう。

 

 僕が手を出すまでもなく、食堂の魔物はほどなくして一掃できた。

 

「私達のレベルが高すぎると言うよりは、魔物の設定ミスな気がするわ」

「そうだな。これならナイトメアの方が難しいくらいだ」


 このダークワールドは、ナイトメアの上にある。難しさで言うならば、当然ナイトメア以上であるはずなのだ。

 

「うーん。例の闇の女王が強いのかも。でもクエストの討伐リストに載ってないんだよね」


 明らかに城を取り戻すためには、流れ上も闇の女王の討伐が必要だと思う。でも城を取り戻せの討伐リストには、闇の女王は載っていない。


「その辺りにこの難易度の謎があるってわけね。面白くなってきたわ」


 マーミンが楽しそうに笑っている。

 

「っで、その謎ってのはなんだ?」

「その謎ってなに?」

 

 マーミンがなにか説明すると思ったら、二人とも僕の方を向いて問いかけてきた。

 

「いや、そこはマーミンが説明するところでしょ」

「ラル。その大役はあなたにゆずるわ」


 ゆずるとか言いながら、考える気もないのだろう。そう言えばマーミンは、謎解きが苦手な感じはしないけれど、積極的に謎を解こうというタイプではない。

 

 確信があるわけではないけれど、思いついた事を話してみよう。

 

「えっと、クエストの魔物を倒す流れで、ついでに倒してしまうパターンと、隠しクエストの可能性があるよね」

「隠しクエスト?」


 パンクが聞いたこともないって顔をしていた。


「正確にはシークレットクエストって言うんだけど、普通では発生しないクエストなんだ。闇の女王を倒すクエストは、シークレットクエストの気がしない?」

「へー。そんなクエストがあるんだ」

「前はアロイ・ガライで発生したんだ。報酬が破格だし、ちょっと意識して狙ってみようよ」


 僕の提案に、二人は前のめりでのってくる。

 

「確定ではないにしろ、積極的に探していこうぜ」

「いいわね。経験者のラルに期待よ」


 何かしら条件を満たせば、勝手に発生するだろう。まだリストに載っている魔物も倒しきれていないし、慌てずに探索だ。


--------------------------


 あれからいろいろ探索すると、調理室で闇のシェフとか言う魔物がいたり、デザートメイド長とかも出現した。

 

 特にすごいドロップがあるわけではなかったけど、ポイントと交換できるアイテムは大分貯まってきた。ただ問題なのは、あまりにも広いということだ。

 

 最初は光の戦士で盛り上げようという意図が感じられたけれど、ちょっと気分的にも中だるみしてくる。

 

「ドロップは悪くないけど、ちょっとつまらないわね」

「そう言うなよ。俺は新しい迷宮ってだけで、結構ワクワクしてるぜ」

 

 未知なるものというのは、いつでも僕を楽しませてくれる。でも今回は、マーミンに同意したい。

 

「おっと、凄そうな扉だぜ」

 

 角を曲がった先に、豪華な黒い扉があった。黒光りするように装飾された扉は、いかにも何かありますよと、僕らに教えているようだ。

 

「最初の通路をまっすぐで玉座だと思ったが、こっちが正解だったようだな」

 

 食堂とか調理場とかを抜けて、細い通路を進んできた。その結果の豪華な扉なだけに、僕もなんだか期待してしまう。

 

「闇の門番は討伐したし、次は紫闇の騎士あたりかしら?」

「そろそろクエストも進んでほしいよね」

「よし。それじゃ行くぜ!」


 パンクが大きな扉に手を掛けた。

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