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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
ロッカテルナ湖を攻略したい
153/176

153.異界迷宮

 異界迷宮の場所を確認すると、僕はすぐに湖に潜った。小屋の前からまっすぐに潜りながら進めば、魔物にあわずに入り口までいけるらしい。

 

 言われたとおりに行ってみると、湖の底まで安全に来ることができた。思ったよりも深いせいで、かなり暗くなっている。

 

 僕には夜目があるので、暗くても問題はない。ガメールの言葉を信じて、僕は一人で湖の底まできた。

 

「不気味だな」


 青白く縁取りされた黒い闇が、人間を飲み込めるくらいの大きさで、ゆらゆらとしていた。間違いなくここが、異界迷宮への入り口だろう。

 

 僕が近づいていくと、他の迷宮と同じようにメニューが開いた。最初からハードやナイトメアは無理なので、僕はノーマルを選択する。

 

 不意に視界が明るくなると、そこは見渡す限りの平原だった。所々に大きな草が茂り、地面に大きめの穴が確認できる。

 

 でも僕はさっきまで、湖の底にいたはずだ。迷宮らしからぬ姿に戸惑ったけれど、やっとのことでピンときた。

 

「異界だからこれなのか」

 

 名前に迷宮とついているけれど、狭い道で迷わせなくちゃいけないというルールはない。まさしくあの入り口は異界へつながっていて、便宜上迷宮と呼んでいるのだろう。

 

 その証拠に後ろにはさっきと同じ黒いモヤの出口はあるし、その周りも平原に見えるのに、触ると壁が存在した。

 

 いわゆる見えない壁って言うやつで、見た目とは違って、無限に広がっているというわけではないようだ。

 

 しかも普通の草原のようにそよ風が吹き、暖かな日差しが感じられる。風に乗ってくるのは、若葉のような、なんだか癒やされるような、そんなかおりだった。

 

 思い切り深呼吸すると、なんだか体中がすっきるとするような気がする。頭の中までシャッキリとして、僕の体は絶好調になっていた。

 

 水中になることはなさそうなので、ラビィとルードとエリーを召喚する。

 

「探索開始するよ!」

「おまかせですの」


 一番近くに生えている草が怪しくみえるので、僕はそれを目標にした。

 

--------------------------


 草に向かって歩いていくと、近くの穴から黒い何かが飛び出してきた。ルードが横から体当りされたけれど、ふらつくこともなく、ダメージも少なかったようだ。


 飛び出してきたのを確認すると、それは黒いうさぎだった。名前はブラックラビットで、バトルラビットが黒くなっただけに見える。

 

 残念なことに、ドロップリストにはなにも載っていなかった。兎の心臓はおそらくこの魔物のはずなので、異界ではドロップリストが表示されないのかもしれない。

 

「ウピィ」



 エリーが空中をひらりと舞いながら、ファイアランスの魔法を発動した。今更思うことだけど、エリーは水魔法よりも火魔法が好きなのかもしれない。

 

 体当りして動きを止めているブラックラビットへと、ルードが槍を突き出した。そのタイミングで魔法も着弾し、激しく多角形の板が飛ぶ。

 

 ロッカテルナ湖が35レベル以上推奨だったので、この迷宮にも不安があった。でもこの戦いを見る限り、どうやら問題なく戦えそうだ。

 

「ムーンスピア」

 

 ブラックラビットはルードの槍と魔法を受けながらも、元気に突進していた。だけどルードの防御は硬く、ダメージを与えられないらしい。

 

 そこへ僕の魔法が着弾し、ブラックラビットは消えていく。

 

 素早さ特化で、柔くて攻撃力がない魔物だと予想した。

 

「穴に注意しながら、おそらくは人食草っぽい、あの大きめの草へ近づこう」

「ガモォ」

「おまかせですの」


 エリーは疲れたのか、僕の肩に乗ってきた。肩に召喚獣を乗せて冒険するのに憧れて、色猫やホワイトウルフに期待していたけれど、僕にはすでにエリーがいた。

 

「よし、行くよ」

 

 なんとなく嬉しくなって、ご機嫌で僕は草原を歩いた。

 

--------------------------


 周りの穴に注意しながら、草を確認してみた。するとやっぱりこれは魔物で、人食草だと判明した。

 

 さっきと同じようにドロップリストは表示されないので、この迷宮では確認できない可能性が高い。

 

「ルードよろしく」

「ガモォ」


 ブレイクで一気に近づいて槍を突き刺した。

 

「ウピィ」

 

 僕の肩から、ファイアランスが飛んで行く。

 

「ムーンボール」


 ルードがダメージを受けないので、ラビィは様子を見ていた。僕らの先制攻撃に、人食草は全体を震わせながら、ダメージエフェクトをきらめかせていた。

 

「っと、ムーンシールド!」


 人食草は、体のどこからか黒い種のようなものを周りに撒き散らした。ダメージエフェクトで見えにくかったけれど、僕はラビィをかばうようにしてから、ムーンシールドを展開する。

 

 たいしたダメージがないようで、僕のムーンシールドに当たって種は跳ね返っていた。その間にもルードは人食草へと、槍を突き刺している。

 

「ウピィ」


 エリーは火の矢を飛ばした。見るからにではあるけれど、この魔物は火に弱いようだ。

 

 火の矢が直撃したとたん、あっさりと人食草は消えていく。

 

 ブラックラビットよりも耐久度はあったけれど、僕らを追い詰めるほどではない。

 

「むしろ弱く感じるよ。なんだか敵は、このマップの広さかもしれないね」

「そうかもしれないですの」


 ちょっと格好良く言ってみたけれど、特に反応はなかった。ある意味いつも通りなので、気にせずこのまま戦っていこう。

 

 なにより種を飛ばしてきたはずなのに、ドロップもしていなければ、地面に落ちてもいない。アイテムの入手方法がわからなければ、ポイントを稼ぐことができないのだ。

 

「とにかく見える魔物をどんどん倒していくよ」

「はいですの!」


 ここに何体の魔物がいるかはわからないけれど、手に入るまで倒すのだ。

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