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召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
ロッカテルナ湖を攻略したい
132/176

132.新たな鍛冶レシピ

 あれから何周かしてみるけれど、新しい魔物はポップしない。ジュエルズモンキーを例にみれば、コモンドロップの代わりに、レアポップなのが予想できる。

 

 無言で戦い続けていると、どんどん辛くなっていくので、前に思い出した宝石のことを、モルギットに聞いてみることにした。

 

「そういえば前にさ、烈火のルビーって見つけたよね」 

「はい。クランクエストで手に入った宝石ですね」 

 

 モルギットはルードたちに注意を向けながら、僕の質問に返答する。

 

「あれって装飾で何ができるの?」

「装飾で加工しようと思ったのですが、扱えない宝石でした」

 

 鉱石で鍛冶をするように、宝石で装飾品が作成できる。扱えない宝石となると、いくつか理由が考えられそうだ。

 

「レベル不足? それともレシピがないとか?」

「対象外みたいなんですよね」 

 

 どうやら烈火のルビーは宝石だけれど、装飾では使えないってことらしい。とすると、むしろ何に使えるのか興味が沸いてくる。

 

「今のところ、使いみちがわかりません。烈火のルビーという名前しかわからないですし、確定しているのは装飾では加工できないってことだけです」 

 

 てっきり火魔法が強化とか、炎耐性がとか、そういうアクセサリにできるのだと思っていた。入手するのが難しいし、何か特別な意味があるのかもしれない。

 

「烈火のルビーは無理ですが、さっきドロップしたムーンストーンで、無魔法の強化ができる装飾品が作成できますよ」

「えっ、そうなんだ。ぜひ作って欲しい」 

 

 モルギットは顔を僕の方に向けると、ニコリと微笑んだ。

 

「はい。ネックレスかイヤリングかリングで作成できますけど、どれが良いですか?」


 イヤリングでも気にしないけれど、積極的にそれが良いとは思えない。リングは鬼の指輪を装備しているけれど、全部で4つまでという制限を守るならば、指輪を4つでもネックレスとイヤリングで4つでも影響はない。

 

 それ以上装備することも可能だけれど、4つ以上は性能を発揮しないので、見た目だけの変化になる。

 

「リングでお願い。価格はどれくらい?」 

「わかりました。価格は……物々交換でどうですか?」 


 僕の勝手なイメージから、物々交換を言われるとは思っていなかった。でもモルギットが欲しいアイテムって考えても、なんの予想も浮かばない。

 

「もちろん。僕が持っているアイテム?」 

「鍛冶レベル8で習得できる魔導シリーズの武器、魔導メイスが欲しいんです」

 

 結構前に普段使いの装備とかを作成している時に、鍛冶レベル8にはなっている。ただ僕の製作可能制作リストには、魔導シリーズは載っていない。

 

「鍛冶レベル8だけど、魔導シリーズのレシピはないよ」 

「魔導シリーズの作成には、ギゼノというインゴットが必要になります。『鍛冶レシピ:鉱石1』で取得できるので、なんとかなりませんか?」 

 

 僕の背中に電流が走る。クランハウスで落ち着いて検証しようと思っていて、いまだに何もしていなかったあのレシピは、思った以上に有用だったらしい。

 

「やった。ちょうど手に入れたばかりなんだ。取得してみるね」 

 

 僕は持っていた『鍛冶レシピ:鉱石1』を使用する。作成リストにギゼノのインゴットが追加された。それと同時に、剣や斧の魔導シリーズが解放された。

 

(んっ? 防具に魔導シリーズはないのか。それとももっと先なのかな) 

 

 魔導メイスのレシピも追加されたので、物々交換もできそうだ。

 

「ありがとう。魔導メイスのレシピが追加されたよ。ところでソケットってなにかわかる?」 

「魔導シリーズには、一つだけ宝石を嵌め込むソケットがあるんです。私の装飾で加工した宝石を嵌め込むことで、アクセサリでしか得られない効果を、武器にも追加できるんです」 

 

 思った以上に有用なシステムだった。これを利用すれば、アクセサリの効果を5種類受けることができる。

 

「それならこの魔導ソードって言うのに、ムーンストーンを入れたりできる?」 

「できますけど、ラルさんは止めたほうがいいと思います。ギゼノはフォレンチノ以上に耐久力がありません。壊れると効果がなくなりますし、武器を入れ替えて戦うスタイルだと、難しいと思います」


 僕は気分でも頻繁に武器を変えている。ボス用の剣と、普段使いの剣を数本。たしかにこれでは、宝石を嵌めても安定しないかもしれない。

 

「やっぱりリングでいいや。お互い作成できたら、その時に交換しよう」

「はい」


 っと、話している間に、再び目の前にファニーモンキーがポップした。

 

「あらっ、これは全部リポップしてるよね」 

「戦う時間を調整して、もう一度やり直しましょう」 

「了解。まずはこいつからだ!」 

 

 ルードが勢いよく槍を突き出す。ラビィとエリーが魔法を打ち込み、再びルードが攻撃して倒し切る。

 

「弱いけど硬いから、油断しないでいこう」 

「はい」 

 

 僕らは再び周回を開始する。

 

--------------------------


 運がいいのか悪いのか、次にポップしたのはリーダーモンキーだった。


 あの大きな家で出現したので、おそらくこいつを倒せば、ネズミの村に戻るのだろう。

 

「他のレアモンキーも見たかったけれど、せっかくだから倒してしまおうか」

「そうですね」


 とか話している内に、リーダーモンキーはルードへ攻撃を仕掛けてきた。

 

「っと、ムーンスピア!」 

「ゴッデスヒール」


 リーダーの取り巻きがいるけれど、ファニーモンキーで変わりはない。どうせならレアモンキーが護衛に来てくれればいいのにと、欲張りな事を考えてしまう。

 

「鬼リンクか……」 

「ガァァァモォォォ!」


 たくさん来るのに気がつくと、すかさずルードが雄叫びをあげる。


「頑張りましょう」


 モルギットもメイスでファニーモンキーと戦っている。少しでもダメージを与えることで、さっさと倒してしまいたい。

 

 新しく来たゾーンとは言え、対象レベルは低いせいか、全く苦戦にならなかった。順調にファニーモンキーを殲滅し、特に珍しい攻撃もしないままに、リーダーモンキーは消えていった。

 

 消える前に確認したドロップリストでは、コモンに『謎の頭蓋骨』という、嫌なアイテムがあった。

 

 インベントリを確認すると、譲渡不能のアイテムとして、しっかりとドロップしている。

 

「アロイ・ガライ以来の頭蓋骨だよ……」 

「真っ黒の頭蓋骨で、ちょっと滑ってますね」


 濡れた部分が少し光って見える。長く見ているのも嫌なので、僕はすぐにインベントリへしまった。

 

 なのにモルギットは、まだ頭蓋骨を見つめている。


「モルギット? 気持ち悪くないの」

「気持ち悪いです。けれどなんでこれがドロップしたのか、気になりませんか?」


 そういえばたしかに変だ。しかも譲渡不能になっているからには、何か大事な骨なのだろう。

 

「それって人間じゃなくて、なんとなくネズミっぽくない?」 

「あっ、そうですね。ということは、言い方は嫌ですが、ネズミの村を襲った戦利品でしょうか……」 

 

 そんなふうに話していたら、周りにどんどんネズミが集まってくる。

 

 リーダーモンキーを討伐したから、ネズミが帰ってきたのかもしれない。

 

「村って言うから、ネズミ人間だと思ったのに、普通のネズミだね」 

「前にクランクエストで出現したのと、同じネズミみたいです」 


 やがてネズミたちが定位置についたのか、その動きを止める。

 

「地面が揺れてる?」 


 少しづつ振動が強くなると、地面から大きなネズミが飛び出してきた。

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