13.そしてついに
正直に言えば、あまりのドロップのしなささに、気分が暗くなっていた。もしもラビィがいなかったら、諦めていたかもしれない。
様々なゲームでレアと言われるアイテムを手にしてきたこの僕が、初めて挫折していたかもしれないのだ。今思えば、もういいかと言う考えがよぎったことだけでもゾットしてしまう。レアハンターのこの僕が、負けるわけにはいかないのだ。
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小鬼の角×1
人エッセンス×2
鬼エッセンス×2 を手に入れました
小鬼の角×1
人エッセンス×4
鬼エッセンス×2 を手に入れました
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そういえばラビィの種族はラビットチャイルドとなっていた。無限の可能性の中から別の進化を遂げているらしい。
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小鬼の角×1
人エッセンス×4
鬼エッセンス×5 を手に入れました
小鬼の角×1
人エッセンス×5
鬼エッセンス×1 を手に入れました
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召喚獣でもスキルレベルは上がってくれる。それによって『アクアボディ』という火属性を軽減する魔法も覚えていた。
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人エッセンス×1
鬼エッセンス×2 を手に入れました
小鬼の角×1
人エッセンス×3
鬼エッセンス×5 を手に入れました
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あれっきり『Tシャツの小鬼』も出ないし『はぐれ鬼』もいない。おそらくは倒した数が影響するのだろう。もしもプレイヤーがこの森で乱獲していたら、もっと出現しているのではないだろうか。
「突進! アクアショットナァ!」
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小鬼の角×1
人エッセンス×3
鬼エッセンス×4 を手に入れました
人エッセンス×2
鬼エッセンス×1 を手に入れました
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ふと考えに没頭してしまい、僕はいつのまにか戦闘をやめていた。そのままなんとなくラビィの戦いを眺めてしまう。
(突進して他の小鬼へアクアショット。なんて華麗なんだろう)
アクアショットの魔法は、森に僅かに差し込む光を反射して、キラキラと飛んでいく。おそらくはキラキラの嫌いな人間なんていないはずだ。
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小鬼の角×1
小鬼の卵×1
人エッセンス×3
鬼エッセンス×4 を手に入れました
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「綺麗だ……」
その動きに見とれていると、ラビィが向きを変えて僕に突進してくる。
「やったナァ! おめでとナァ!」
「えっ?」
特にレベルアップもしていないし、今はラビィを見ていただけだ。僕の腰にしがみついて、くるくると回るラビィを見て、鈍い僕でもピンときた。
「あれっ」
てっきりラビィがレベルアップしたのかと思ったが、はぐれ鬼で6レベルになってから変わっていない。
「ラビィ?」
「もう。ログを見るナァ!」
ログと言われて、ドロップログに目をやった。
「おっ、嘘でしょ。いや、嘘なわけがない。やった。ついにやったよ!」
「マスターは遅いナァ! でもおめでとナァ!」
僕らは両手をつかみ合い、ぐるぐると回転する。そして二人でフォークダンス状態になった。
そのうち僕は興奮しすぎたのか、自分でもよくわからないダンスになっていた。無意味にジャンプして、聞いたこともないような奇声を上げる。なのに全然落ち着かない。僕は両手をブルンブルンと回しながら、ジャンプとダッシュを繰り返す。
「何日目だ。ついにやったぞ。ラビィ。ありがとう」
「マスターの頑張りだナァ! でもうれしいナァ!」
喜び疲れて地面に座り込んでしまったけれど、こういう時は空気を読んだかのように、小鬼たちは襲ってこない。周りを見渡しても姿がないので、僕はインベントリから卵を取り出した。
「少し形が違うんだ」
ラビィのは白くてツルンとした感じだったけれど、これは灰色ががってざらついていた。
「仲間が増えるナァ!」
ラビィも期待している。僕は卵に向けて、契約を開始した。でもエッセンスの使用で動きが止まる。僕が欲しいのは鬼姫だ。エッセンスを使うことで、別の進化に向かったら、鬼姫には出会えないんじゃないだろうか。
ゴクリと喉が鳴る。これだけ苦労した卵なのだ。絶対に失敗は許されない。
(どうする? エッセンスのドロップから考えれば、おそらく人と鬼から同程度の影響を受けているのだろう。いっそエッセンスを使わないか? いや。それはダメだと、僕の中の何かが警告している気がする)
使うのなら、きっとこれがベストだ。召喚師として頭に浮かんだ直感が、僕を後押ししてくれた。人と鬼を50づつ。それが僕の結論だった。
「契約!」
卵がまばゆく光りだす。そして二種類の光の玉が、卵の中へと吸い込まれていく。もう眩しいなんて言わない。目が潰れるくらいに光るなんて、すでに僕には予想済みなのだ。
やがて光が落ち着いていくと、そこには間違いなく小鬼がいた。運がいいことに、小鬼の胸を黄色くてちょっと汚れの付いた布が覆っている。間違いなく雌。小鬼の雌を仲間にしたのだ。でも他の小鬼に比べ、肌の色が青みがかっていた。
「ウガガァ、ガァ」
「えっ、言葉がわからないよ」
「名前をつけてって言ってるナァ!」
いつの間にか3レベルになっている魔物言語でも、小鬼の言葉が理解できなかった。いや、言葉とも思わなかったけれど、ラビィにはわかるようだから、おそらく言葉なのだろう。
「名前だね。それは決めてるんだ。サクラ。名前はサクラだ」
「サクラ、ウガァ」
そう言うとサクラはぴかっと光って消えてしまった。
「えっ、なに。気に入らなかったとか?」
「大丈夫ナァ。気に入ったって言ってたナァ。消えたのは、召喚制限だナァ」
ラビィの言葉で安心した。公式の鬼姫のイラストを見た時、サクラと言う名前が思い浮かんだ。薄桃色の着物で、刀を構えていたせいだと思うけれど、それ以外にふさわしい名前なんて考えられない。いきなり消えたのはびっくりしたけれど、10レベルにならないと二体同時召喚はできない。でも僕はこの前の『はぐれ鬼』で6レベルになったばかりだ。
もう僕がこのゾーンでやり残しているのは、『小鬼の村』で仲良くなれるのか確かめることくらだろう。
「よし。この後は小鬼の村に行くよ。僕の予想通りなら、きっと仲良くなれるはずだ」
「わかったナァ」
僕らはこうして、初めて森の深部へと進んでいった。
小鬼を仲間にしよう 完
現在のステータス
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名前:ラル
職業:召喚師6
魔法力:64+5
物攻:48+21
物防:43+7
魔攻:51
魔防:38
体力:36
筋力:38+2
魔力:43
敏捷:37
反応:38
幸運:15
技能:剣5
:魔力制御8
:魔力の雫8
:魔物言語3
:識別6
:運動3
:夜目8
魔技:無魔法8
:R1.ムーンブラスト
:R2.ムーンシールド
固有:召喚
称号:クレアの注目
装備:バスタードソード 攻21
:小鬼のTシャツ 防6
:茶色いズボン 防1
:鬼の指輪 筋力+2
SP:60
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名前:ラビィ
職業:ラビットチャイルド6
魔法力:69
物攻:43
物防:46+2
魔攻:56
魔防:42
体力:39
筋力:37
魔力:46
敏捷:52
反応:51
幸運:15
魔技:水魔法6
:R1.アクアショット
:R2.アクアボディ
:癒魔法3
:R1.ヒール
:R2.キュアポイズン
装備:ワンピース 防1
固有:突進
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名前:サクラ
職業:小鬼1
魔法力:25
物攻:42
物防:32
魔攻:17
魔防:22
体力:27
筋力:28
魔力:17
敏捷:21
反応:24
幸運:10
技能:刀1
固有:暗視
:金属防具不可
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