表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚師で遊ぶVRMMOの話  作者: 北野十人
小鬼を仲間にしよう
10/176

10.ラビィは強い

 幸いにも服屋さんの場所はマップで確認できた。すでにプレイヤーのほとんどは次の街を拠点にしているようで、ラビィを連れていても目立つことはなかった。

 

「ここだね」 


 ファンシーな入り口の服屋さんの中へ入ると、意外と地味地味な店内だった。並んでいる服の色がまず地味で、初期装備と大差ない。でもレジにいる女の子は、ピンク系のドレスで目立っていた。

 

「いらっしゃあい。探し物?」 

「はい。ラビィの、この子の服を探してます」

「あらぁ、可愛い子ね」

 

 女の子はレジから出て、こっちへ近づいてくる。そしてラビィと視線を合わせるように、ドレスをふわりとさせて前にしゃがみ込んだ。

 

「名前は?」

「ラビィ」


 ちょっと怯えた感じで、ラビィが答えた。どうやらラビィは人見知りらしい。

 

「イメージにぴったりな可愛い名前ね」


 緊張をほぐすかのように、女の子がニコリとした。


「マスターにつけてもらったナァ」


 名前を褒めたのがよかったのか、ラビィも柔らかな表情になる。


「そうなんだ。ラビィちゃんはとても可愛いので、私が服を選んでもいいですか?」


 視線を僕へと変えて、女の子はそう尋ねてきた。女性の服を選んだことなんてないし、僕が選ぶよりは良いだろう。


「おねがい」


 僕がそう答えると、少しだけラビィが不安そうな顔になる。


「ラビィ。大丈夫だから、服を選んでもらってきて。あ、2000ウェドまででお願いします」

「おまかせぇ」


 女の子がラビィの手を引いて、店の奥へと消えていく。小さい店だと思ったけれど、服の陰に隠れて見えないだけで、意外と奥があるみたいだ。


 今のところ僕は『小鬼のTシャツ』があるので、服を買う予定はない。前衛でバリバリと防御役をやる予定もないので、防具的なものは後回しだ。

 

「おまたせナァ」 

 

 声に視線を向けると、そこにラビィが立っていた。薄いブルーのワンピースを着たラビィは、快活さよりも清楚感が増していた。

 

「似合うかナァ」

「うん。可愛いよ。ラビィ」


 白い肌のラビィの頬が、すぅっと赤く染まっていく。ちょっと俯いた瞬間、顔を上げて突進してきた。

 

「っとぉ」

「マスター。私、頑張るナァ」


 本気ではなかったらしく、なんとか受け止めることができた。僕は抱きしめながら、ラビィの頭を撫でてあげる。

 

「頑張ろうね」

 

 女の子のニコニコとした視線を浴びながら、お金を払って店を出た。

 

--------------------------


 ワンピースの値段は1500ウェドだった。お金稼ぎでクエストを考えていたけれど、そこでふっと気になった。

 

「ラビィ。バトルラビットの討伐をするけど、いいのかな?」 

「もちろんいいナァ」


 笑顔で返事をするラビィは、嘘をついているようには見えない。姿は違えど同族狩りになるので気になったのだけど、本当に問題ない感じがする。

 そんな僕の不安を感じ取ったのか、ラビィが口を開いた。

 

「同じ種族なのを気にしてるナァ? そんなの関係ないナァ。弱いのが負けるのは当然ナァ」 

 

 清楚で可愛い感じのラビィから、意外にバイオレンスな言葉が飛び出した。この思考は魔物特有な気がする。せっかく契約したのに戦えないとか言わないための、そういう措置なのかもしれない。

 

「よかった。ならどんどん狩って、お金を貯めようね」 

「はいナァ!」 


 僕らは意気揚々と、南の門へと歩いていった。


--------------------------


 相変わらずバトルラビット狩りをしている人はみあたらない。

 

「ラビィ。どれくらい戦えるか見せてくれるかい」 

「もちろんだナァ」


 そう言うとラビィは、一番近くにいたバトルラビットに視線を向ける。

 

「えっ?」


 ラビィが一瞬にして消えた。ゴッという音に顔を向けると、ラビィがバトルラビットにタックルをしていた。

 

(突進か? 五メートルくらいあったのに、一瞬で間合いを詰めている)


 タックルを受けて僅かに体を浮かせているバトルラビットへ、ラビィは追い打ちをかけた。

 

「アクアショットナァ!」


 その一撃でバトルラビットは多角形の板に変わって消えていく。

 

>>>>>>>

うさぎのしっぽ×1

うさぎの皮×1

獣エッセンス×3 を手に入れました

<<<<<<<

 

「すごいよ、ラビィ」

「やったナァ!」


 ラビィの初戦闘は圧倒的に終わった。ステータスも初期プレイヤーと遜色ないので、当然といえば当然の結果だった。でもワクワクする。これで召喚師としての本領が、これから発揮できるのだ。

 

「危なくないようだから、この調子でどんどん狩るよ」 

「まかせてナァ」

 

 僕らはお互いに獲物を探し、門前のバトルラビットを倒していく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ