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これからの事

屋敷までの帰り道、お兄様は何も言わずに手を繋いで歩いてくれた。繋いだ手の暖かさが、私の心を慰めてくれた。


屋敷に帰って来たら、丁度昼食の時間だった。だけど、私は食べる気がせず、そのまま部屋に戻った。

昼食に向かうお兄様と別れ際、お兄様がぎゅっと抱きしめてくれた。


「大丈夫だよ」


何が大丈夫なのかよく分からないけど、ちょっと落ち着いた。


「ありがとう、お兄様」


☆☆☆☆☆


その後、私の顔を見たミーアによって再び目を冷やされた。何回も申し訳ない。

ミーアは、私が泣いた事と昼食をとらない事にヤキモキしていたが、泣いた理由を聞く事なくそっとしておいてくれた。それが有り難かった。


しばらくベッドの上で枕に顔を埋めていたら、お兄様が部屋にやって来た。おやつの時間だから、一緒に食べようとの事だった。

ミーアが手早く準備していくと、テーブルの上にはクッキーと昼食をとらなかった私の為にサンドウィッチが用意された。

最後に紅茶を入れてくれたら、準備完了。


「ミーア、すまないが、2人にして貰えるかな」

「かしこまりました」


パタンとドアが閉まってミーアがいなくなると、2人で食べ始めた。


「「頂きます」」


食べてる間、お兄様がポツリポツリと学院の事を話してくれた。泣いた事に触れない辺り、心配はしているけど、気を遣ってくれたんだと思う。


一通り食べ終わって片付けて貰った後、カティアがノワールを連れてやって来た。お兄様が来るように言ってくれたみたい。お兄様、グッジョブですわ!

カティアがお兄様に学院の話をねだり、私も興味深く聞いた。ノワールを撫でながら。

入学式に授業、部活に行事。寮の部屋に学生食堂。

クラスメイトに寮の同室の友人。


カティアも色々な話をした。カティア自身の事やノワールが鳥を捕まえて来て大変だった話などを。

久しぶりに兄妹揃ってのおしゃべりはとても楽しかった。

後悔の気持ちはまだあるし、この先も消える事はないと思う。悲しいし、胸が痛い。

けどこの楽しいおしゃべりで、いつまでも後悔を心の表に出しているわけにはいかないという気持ちが湧き上がった。後悔をそっと心の奥底に沈めた。


きっとこの先も後悔を表に出して悔やんでは、また奥底に沈めるのだろう。生きてる限り、私はこれを繰り返す事だろう。でも、それで良いんだと思える。

この先、2度と同じ間違いを繰り返さない為に。


☆☆☆☆☆


おしゃべりは夕食まで続いた。3人と1匹でダイニングルームに行って、夕食をとった。ここでの話題も学院の事だった。何でも、これから期末試験があるとの事。

そんな大事な時期に迷惑をかけてごめんなさいと謝ると、お兄様は「迷惑なんて1つもかけられてないよ。妹の心配をする事は迷惑なんかではないし。それに、私が勝手に心配しただけだから、気にしないで」と言ってくれた。

お兄様、大好き!!


カティアも「そうよ。心配をかける事と迷惑をかける事は違うのよ」とお兄様に同意してくれた。もう〜、兄妹万歳!!


兄妹達のおかげで、私の気持ちは浮上した。ありがとう!!

そして、これからの事を考えようと思えた。ありがとう!!


夕食の後、部屋に戻ってこれからの事を考えた。

まず、もう友達とは以前のように気安くは接せない。子供達がオレンジ等の農作物の収穫するのを手伝っていたけど、それはもう止めよう。

そしたら、どうしようか。迷惑をかけちゃったから、お詫びに何が出来るか考えよう。

そこで、考えついた。


今、私が出来る事は勉強する事。貴族の令嬢としてのマナーやダンス、刺繍。国の歴史や地理、自国や他国の文化を学ぼう。

あとは、領にとって有益な事。農作物や土壌や肥料。剣や馬。剣や乗馬は、反対されるかもしれない。けど、何かあった時に出来てれば役に立てるだろう。それに、真衣子は中学の時には剣道部に入ってたし。


更には領を発展させる事が出来れば上出来。ラノベで読んだ異世界転生・転移した主人公達は元の記憶を活かしていたし、私も記憶を活かしたい。

確か、主人公達は料理やお菓子の食、服飾、美容、文化、玩具の分野で流行を作っていたような。そこら辺を攻めてみよう!消費について考えるなら、女性の心を掴むのが大事。服飾も美容も女性には重要な関心事だ。


あとは、私の中で特に活かしたいと思う記憶・知識は文化、特に小説についてだ。私の周りにある小説はバリエーションが少なすぎる。どれも似たようなお話ばかりなのだ。今まではその事をつまらなく思っていた

けど、これからは違う。ないなら、私が書けば良い!

私が大好きなBLは、流石に大っぴらには出せないかもしれないけど、大々的に男女のロマンス小説を書いて、裏でこそこそとBLを書いて広める事なら出来るかも!


これだ!!これこそ正に私のやりたい事だ!!

真衣子も密かに小説家になりたいと思ってたし、とっても良い案だ。


これからの事を考えると、とっても忙しくなりそうだ。でも、今はやる気に満ちている。


ーよーし、やるぞー!!まずは、お兄様に相談しようっと。


私は、お兄様の部屋に向かった。

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