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お兄様

前の家族を想って泣いていたら、いつの間にか寝ていたらしい。起きたら喉が痛くなっているし、目も腫れぼったくなっていた。


ーこれじゃあ、泣いたのがバレちゃうや。


目を冷やしたいけど、水もなければタオルもない。


ー仕方がない。大人しくバレておこう。


しばらくベッドに寝転がったままゴロゴロ過ごしていると、ミーアがやって来た。ミーアは、私が寝てれば起こすし、起きてる時は朝の支度を手伝ってくれる。

そんなミーアだけど、今日は私を見た途端、動きを止めて固まってしまった。


「その目、どうなされました!?もしかして、頭が痛むのですか?」

「いや、痛みはもうないわ。大丈夫よ」


なんと、痛みのあまり泣いたのではないかと思われたらしい。いや、痛みはそんなにひどくないからね?


「では、何かありましたか?」

「う…ん。ちょっと夢見が悪かったの。どんな夢かは覚えてないけど、悲しい夢を見たのよ。悲しい夢だって事は覚えてるんだけど」

「左様でございましたか。睡眠不足ではないか心配ですが」

「ああっ、いや、それは大丈夫!と思う。もし眠くなったら、お昼寝するわ」

「かしこまりました。それで、体調はいかがでしょうか?」

「頭の痛みもなくなったし、立ちくらみを起こすなんて事もないし、気持ちも悪くないわ。体調は良好よ!」

「それは、良うございました」


ミーアの確認が終わった後、顔を洗って、濡らしたタオルで目元を冷やした。ひんやりと気持ちが良い。

タオルで冷やしたおかげで、何とか目元もマシになった。見られる顔にはなったと思う。

その後、着替えたり髪を整えて貰ったりと支度をして、朝食に向かう。


朝食の席には、私(と学院に行っているお兄様)以外の全員が揃っていた。つまり、お父様とお母様とカティアの3人だ。


「おはようございます」

「おはよう、シフィル。具合はどうだ?」


お父様が尋ねてくる。他の2人も心配そうに私を見ている。


「大丈夫ですわ。痛みも治まりましたし、立ちくらみを起こす事もありませんでした」

「そうか、それは良かった」

「記憶の方はどうなの?」

「そうですねぇ。何か思い出せない事がないか調べてみないと確かな事は言えませんが、恐らくは大丈夫だと思うわ。少なくとも学院の事は思い出せましたもの」

「そうなの。それを聞いて安心したわ」


お母様がほっとした笑顔を見せてくれた。安心して貰えて良かったし、私もほっとした。

寝て起きたら、記憶の混乱がなくなっていたのだ。いや、なくなったと言うのは言い過ぎかもだけど。ちょこちょこは思い出せない事もあるかもしれない。けど、普段生活する上で大切な事は思い出せている。

この国はどこがとか、この家はどこにあるかだとか、お兄様が行っている学院の事だとか。


「そういえば、アルドに手紙を送ったぞ。シフィルの事を伝えてある」


お兄様は今、王都にある学院(正式名称は最初から覚えてないみたい)に在籍している。この学院は全寮制だから、長期休暇期間にならない限り、帰って来られないのだ。もちろん、特別な事がある時には帰れるけど。


「そうですか。心配をかけてしまったでしょうね。私が無事な事も伝えてありますよね?」

「ああ、伝えてある。最初の手紙に、木から落ちて気を失った旨を書き、次の手紙に無事目覚めた旨を書いた」

「なら、大丈夫ですね」


良かった。ちゃんと伝わってるなら、お兄様も安心してくれた事でしょう。あまり心配をかけて、お兄様の勉学の妨げになる訳にはいかないもの。

お兄様は私より2歳年上の10歳。学院は10歳〜15歳の5年制なので、お兄様は今年入学したばかりなのだ。入学から3ヶ月が経ち、ようやく学院に慣れてきたくらいかなというところでお兄様に心労をかける訳にはいかないわ。

これからは色々気をつけよう。


そう心に決めた時、執事のオーブリーがある報せを告げに来た。アルドお兄様の帰宅の報せを。

すみません。アルドお兄様の名前を間違えていた箇所があり、訂正しました。

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