照れたレオ様
私が『うー、うううー』とうめきながら、『せめてハゲになる呪いをかけられたら〜』と言っていたら、レオ様が驚いた。
「ハゲになる呪い!?なぜ、ハゲなんだ?」
「ハゲになるのって、ダメージが大きそうではありませんか」
「なるほど、確かに。だが、呪いはかけなくても大丈夫だ。仕返しするなら私がするから」
レオ様にそう言われて、私は考えた。確かに、私がやるより直接の被害者であるレオ様がやった方が良いのかもしれない。
「分かりました。レオナール様にお任せ致します」
でも、1人でさせる訳にはいかないよ。
「ですが、お手伝いはさせて下さいませね?」
「分かった」
レオ様が頷いてくれたので、私はニヤリと笑って言った。
「これでわたくし達は共犯者であり、相棒ですわね」
「ああ、そうだな。宜しく。……ええと、その……名前を……。すまない」
そこまで言われ、私はレオ様が何を言いたいのか理解した。そして、笑って言った。
「フフっ。大丈夫ですよ。レオ様はわたくしの名前を覚えていらっしゃらないと思っておりましたから」
お姫様抱っこでシャルロ殿下のところへ連れて行かれた時に、私の名前を言ってなかったからね〜。それに、この部屋に来てからも『君』としか呼ばれてなかったからね〜。
「……すまない」
「いいえ〜。わたくしの名前は、シフィルと申します。シフィル・ミシェーレですわ。以後、お見知り置きを。宜しくお願い致しますね、レオナール様」
私は出来るだけ優雅に見えるように、丁寧にカーテシーをすると、ニッコリと笑った。
「……宜しく。あの、それで、だな」
「はい」
「先ほど言ってた事だが」
レオ様にそう言われたけれども、『先ほど言ってた事』に該当する言葉がどれなのか、さっぱり分からない。どれくらい先ほどなのかな?
「先ほど、ですか?どれくらい先ほどなのでしょう?」
「特例の辺りだ。…学院に入学してからの事を言っていただろう?」
「ああ、はい」
私は記憶を遡って、該当箇所付近を思い出そうと頑張ってみた。確か、『師匠』の後ら辺だったよね。ええと、確か……。
「それなんだが……。分からない事があったら、聞きに来て良いからな」
「!?」
レオ様が言ってくれた言葉で、記憶がちゃんと甦った。あの時、私は『では、学院に入学した後、魔術の授業で分からないところがあったら、教えて下さい』と言ったのだ。
それで、その発言に対してのレオ様の返事が、さっきの『分からない事があったら、聞きに来て良いからな』になるんですね!
「本当ですか!!嬉しい!!ありがとうございます、レオ様!!」
レオ様が言ってくれた事が嬉しくて、私はレオ様の両手を握ってぶんぶんと上下に動かして……。ハッとした。
ー今、私、何て言った?つい、うっかり、『レオ様』って呼んじゃったような……。ひいいいい!
「申し訳ございません、レオナール様。嬉しくて、つい…」
私が慌てて謝ると、レオ様はフイっと横を向いて言った。
「さっきの呼び方で構わない」
そう言ったレオ様のお耳が赤くなっていた。
ーわぁー、わぁー、わぁー!!!もしかして、照れてるの?えー!レオ様が照れてる!!!
お腹を抱えて笑うレオ様に続いて、とっても貴重なものが見られた。照れてるレオ様を見られただけでも良い事があったって言えるんだけど、更に良い事がありそう。ご利益ありそう。有り難や〜、有り難や〜。
私が心の中で両手をすり合わせて拝んでいると、こちらをチラッと見ていたレオ様と目が合ったから、微笑み返して言う。
「では、わたくしの事も『シフィ』もしくは『シフィル』とお呼び下さい」
「分かった。シ、シ…『コンコン』
その時、ノックの音が聞こえてきた。
「どうぞ」
「失礼致します」
現れたのは、ファビアンさんだった。
「お茶会なのですが、ハチ騒動でお茶会が出来る状態ではなくなってしまったので、終了する事になりました。最後に妃殿下とシャルロ殿下のご挨拶がありますので、一緒に来て頂けますか?」
「分かった」
「分かりました」




