お父様を説得しよう!
お父様は、私の渾身のお願いを前に、ちょっと揺らぎ出した。
ーよし、今だ!行け、カティア!お父様にダイレクトォー・アタァーック!!!
私の心の声が通じたのか、カティアは席を立って、お父様の元に行った。
「お父様、お願いです!わたくし、良い子にしますから!」
両手を組んで、上目遣いでお父様を見上げる。そのお目々は潤んでいる。
ーすごい、カティア!!
「お父様、お願いします」
「うっ……」
ーよし、手応えあり!
お父様がたじろいでいる。ここで、私も援護射撃しなくては!
私も席を立って、カティアの横に並ぶ。
「お父様、お願い〜」
間近で娘2人のお願い攻撃を受けて、お父様は撃沈した。
「わ、分かった。行っても良い」
私とカティアは顔を見合わせて喜びを表した。
「「やったぁーーー!!!」」
お互いの両手を握り合いながら、ピョンピョンジャンプする。お行儀の良い行動じゃないけど、お父様もお母様も見逃してくれた。
「「ありがとうございます、お父様」」
「お母様やお姉様の言うことをちゃんと聞くんだぞ、カティア」
「はい!!」
カティアは元気良くお父様に返事をすると、再び私と向き合った。
「お姉様、ありがとうございます。お姉様が味方をしてくれて、わたくし、とっても嬉しかったです!!」
カティアは満面の笑みを浮かべて、私にお礼を言ってきた。
おおおおお!!!その笑顔のなんと可愛い事か!
その笑顔が見たいが為に頑張ったと言っても過言ではない!
あああああ!!!カティアは私の妖精だ!天使だ!女神様だ!
私はカティアをぎゅっと抱き締めた。
「もう!カティア、可愛すぎ!!一緒に旅を楽しもうね!!」
「はい!お姉様!!」
「コホン」
盛り上がりをみせていた私達だが、そこで『待った』がかかった。
「貴女達、せっかくのご飯が冷めてしまいますよ」
「「そうでした。すみませんでしたー」」
お母様の一言により、私達は再び席に着く事にした。素早く、迅速かつ優雅に。
ーうぅ。優雅に素早く動くのは難しいよぅ。
でも、お母様からダメ出しされなかったから、一応合格だったようだ。良かった。
席に着いたら、ご飯再開だ。
私達が席に着くのを待って、お父様がお母様に問い掛けた。
「それで、シフィルとカティアは行くとして、アルドはどうする?連れて行くのか?」
「それは、アルドに意見を聞きたいと思います」
「そうか。分かった。もし行きたいと言ったら、連れて行ってあげると良い」
「良いのですか?」
「もちろんだ。その場合は、1人で寂しく留守番をする事にするよ」
その一言を聞いて、お父様に申し訳なくなった。けど、カティアを見ていると宣言した手前、『わたくしも残ってお留守番しましょうか?』とは言えない。
ーごめんなさい、お父様。
「シフィル、カティア。大丈夫だ。留守番くらい1人でもできるし、それにオーブリー達がいてくれるからな。本当に1人な訳ではないぞ」
「そっかぁ」
「そうですわね」
私とカティアは、ほっとした声を出した。オーブリー達がいてくれるから、お父様は大丈夫だ。良かった。
「ありがとうございます、お父様」
お父様はきっと私達が申し訳なく、後ろめたく感じたのを察してくれて、『大丈夫だ』と言って安心させてくれたのに違いない。
もちろん、1人(実際には1人じゃないけど)でお留守番出来るのは間違いないけどね。
「いやいや、どう致しまして」
お父様は優しい顔で笑っていた。
その顔を見て、何だか心の中がほっこりした。
「それで、アルドにはいつ聞くんだい?」
「お兄様達へのお礼を考えた後にでも、手紙を書きますわ。でもその前に、お兄様に学院が夏休みの時にお邪魔しても良いか尋ねてみますね」
「そうか。頼んだよ」
おお、お兄様への手紙ですって!私も送りたい!
「お兄様へのお手紙でしたら、わたくしも送りたいです!同封して下さいませ」
「良いですよ」
お母様が微笑みながら、請け負ってくれた。
「ありがとうございます。お母様」
「お母様、わたくしもー。わたくしもお兄様にお手紙を書きたいです」
「もちろんカティアも良いですよ」
「ありがとうございます。お母様」
こうして私とカティアは、お兄様に手紙を書く事になった。




