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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第三章 巻き込んだ男と巻き込まれた少女
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<C24> アリスを狙う理由

††


 現実の殺し合いとゲームは違うなんて、わかってた事なのにそこまで気が回らなかった。何年も戦ってきてるのに、情けない。


 と適度な反省をしつつ、作戦会議ですぐに動けず、ちょっとイライラしていると、レヴィがルミを連れてやって来た。


「ジュンヤ……」


 ルミがしょぼくれた顔をして俺を呼び、俺に抱き着いてきた。

 

「どうした、ルミ。」

「お腹ダイジョブ?」


 俺を見上げて悲しそうな顔をしている。目にはうっすらと涙さえ溜めて。


 俺は優しく頭を撫でてやり、こくりと頷いた。


「ああ、だいぶ治ってきてるよ。」

「そう、良かった」


 ほっとしたように俺を力強く抱きしめてくる。


 可愛すぎだろ!


 それはそれとして、レヴィがなにか眉を顰めている。


「──どうした?」


 俺が顔を上げると、レヴィは重い口を開く。

 

「この子さ、やばくないかな。」

「………」


 俺は言い返せなかった。

 

 ルミは記憶が戻り始めているのかもしれない。ゼクスフェスは事故がどうのとか言っていたが。

 

 今は俺に懐いてくれているルミが、いずれ完全に記憶を戻し俺に牙を向ける日が来るのかもしれない。


 まあ毎日一回は牙むいてるけどな……


「気になるのは、さっき使ってた能力がさ、うちらと戦った時と違うかな、ってさ。」

「ああ、そういえば」

「なんだろう、すごく気になってるんだ。」


 レヴィが心配そうに言うが、それは俺も同感だ。

 

 俺達と戦った時は爪だったのに、今回は赤い剣を出してきた。あれはおそらく、あまり考えたくないが……血の剣だったのかもしれない。


 うーん、吸血鬼《バンパイア》っぽいなぁ。

 

 ゼクスフェスと剣を交わらせた時だって、6本の剣を相手に対等に戦っていた。あんなの俺だって無理なのに。まあ俺はそれほど強いわけじゃないけどな。


「最悪の時は俺が差し違えても責任はとるよ。」


 抑えられる自信なんてないけど、ルミの頭を撫でると、レヴィは納得いかない顔をする。解ってるんだろうなぁ、ルミが俺より強いって。

 

 それでも不承不承に頷ていくれる。


「わかった。責任とりなさいよ。」


 そういって納得いかない顔のまま、踵を返してニトロの方へと向かう。その入れ替わりにアリスがやってきた。


 俺ににっこり笑いかけ、そしてルミを見ると優しく頭を撫でる。

 

「ルミちゃん、さっきはすごかったね。」

「ジュンヤを守るの~。」


 いやそれどうかな。幼女に守られるってどうなの?嬉しいけどあまり嬉しく無いぞ。


 俺の気持ちを知ってか知らずか、ルミが笑みを浮かべて応えるのに、アリスも優しく笑いかけてる。


「話は終わったのかい。」


 俺の問いかけにアリスは顔を上げると、こくりと頷いた。

 

「すっかり暗くなっているけど、流石に死体の近くで野営はまずいから、少し移動するわ。」

「そうか。」


 辺りには亜人と魔族どもの死体がごろごろして、血の匂いで蔓延している。


 こんな場所で野営なんて、いくら何でもごめんだからな。それに死肉を求めて魔獣や獣が寄ってくるしな。


「それよりジュンヤはゼクスフェスとかいう魔族に、ずいぶん気に入られていたわね。魔族になるの?」


 アリスが笑みを浮かべていう。

 

 途端に俺の顔つきが変わる。おふざけだろうが、冗談でも言って欲しくない言葉だ。あいつらは仇、俺の村と両親の仇なんだ。なんで奴らの仲間になどならなきゃいけない。

 

「わかってるよ、そんな怖い顔しないの。」

「二度というな。」


 ふざけすぎたかと頭をぽりぽりしているアリスに向けて、念を押した。


「でもさ、そんなに魔族が憎いなら、なんで魔族を連れてるの。」


 切り返された。やっぱわかってたか。まああんな戦い方を見せられちゃ、嫌でもわかるよな。だがルミの前でそれを話すのはどうなのか。


「ルミ、ちょっとアリスと話しがあるから、ニトロ達のところにいっててくれるか?」

「はーい。」


 ルミはちらっとアリスを見ると、元気に手を上げ、コッペルを連れてニトロの方へと向かった。


「ふ~ん、ほんと良く懐いてるね。」

「まあな、ルミはお前の言う通り、元は吸血鬼《バンパイア》だ。俺達を襲ってきたんで、倒した。」

「倒しても復活か、吸血鬼らしいね……で安全なの?」

「多分……」


 アリスは複雑そうな顔をして俺を見ている。やっぱ聞いただけじゃ懐疑的なのも無理は無いよな。


「ゼクスフェス(三面女)もルミネスとか呼んでいたし、元はあいつの仲間ってところじゃないの?」

「奴の言葉を取れば、そんな感じだったな。」

「それがなんでジュンヤを守っているの?」


 もっともな質問だ。


「ぶっちゃけ、俺にもよくわからん。復活したら記憶を失ったらしい。名前はおろか、魔族としての記憶も何もかもな。」

「ふ~ん……記憶障害か、魔族にもそんなの有るんだ。で、ああいう子が趣味なの?」


 ちょまてぇぇぇ!


 それを今ここで言うか、言うのか?いや言い方を考えろよな。あらぬ誤解が生じるだろうがぁ。

 

「何考えてんだ、ルミは俺が探してる幼馴染のアマンダに、そっくりなんだ」


 途端にアリスが目を見開いて一歩下がった。


「髪の色も顔立ちも、違うところは目の色くらいか。それを抜かせば、アマンダそのものなんだよ。」

「アマンダってあんな幼女なの?……まさか貴方、やっぱ真正ロリ──」「ちがぁぁぁぁ!アマンダが『小さかった時』だ、アマンダは俺と同じ年だ、判るか、アマンダが小さかった時だ、小さかった時にそっくりなんだ!」

「解ったわよ、しつこく云わなくても解ったから。」


 食って掛かる俺にアリスは若干引いている。いやしかしだな、くれぐれも間違えないでくれ。絶対にだ。


「なるほどね。じゃああの子を毎晩抱き枕にしてるとか……いくらこの世界に青少年保護条例が無いからって……ないよね?」


 アリスの仮面の向こうの目が、悍ましいモノを見るような目つきで見てくる。


「ないっ!」


 いやそれは嘘かな。いやいや俺が望んでるわけじゃないぞ。ルミがコッペと一緒になって抱き着いてくるんだからな。


 俺は断じて自分から抱き枕にしてないからな。


「まあいいか。それなら多少安心できるし。」

「安心?」

「ん~、性犯罪者が近くにいると嫌でしょ?」

「あほぉぉぉっ!」


 思わず刀に手をかけてしまったぞ。


 今の声が聞こえたのか、ツェザーリとクリフが俺をみて睨んでいる。皇女に対して無礼な言葉を、なんて思ってんだろなぁ……


 マリアはなんか「我関せず」と素知らぬ顔をしているし、この毒舌皇女を何とかしてくれぇ。


 ルミやニトロも俺の大声に驚いたように見ている。


 悪いが見ないでくれ。


「ねぇ、ルミちゃん?」


 アリスが手を振ってルミを呼び寄せてる。余計なこと言うんじゃないぞ。


「んぁに?」


 アリスがちょこちょこと走ってくる。ん~可愛いなぁ。頭の上のコッペルが揺れて更に可愛いぞ。


「これからもロリなジュンヤの味方でいてくれるかな?」

「うんっ!」

「まて、ロリはいらん。」


 アリスの問いかけに、ルミはすごくいい顔で返事をしてくれる。俺の味方がいた!いや、なんか違う。


「そっか。ありがとうね。」


 アリスが再びルミの頭を撫でると、ルミがますます可愛らしい顔になる。


 可愛いなぁ……


「そういえば、ゼクスフェスはアリスを狙ってるみたいだけど、あいつと会ったことがあるのか?」

「ううん、アイツの事は知らないし、王都を出てから何度か襲われたけど、アイツに会うのも初めてかな。」


 なるほどね。こないだも翼の有る魔族だけだったし、今までは幹部みたいな奴は出てこなかったわけか。


「私をザックに会わさない為に必死なのかもね。あとは私の称号かな~。」

「天臨王か。」

「うん。わからないけどね。」


 アリスが大したことじゃないみたいな顔してるが、ぶっちゃけ同行する俺たちにとっては疫病神だぞ。


††

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