表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第三章 巻き込んだ男と巻き込まれた少女
75/109

<C08> 旧友との懇親会

格差は覆らないほどに大きいのです。(´;ω;`)ブワッ



††



 まだ陽は高い。時間にすればオヤツの時間ぐらいだろうか。宿に入るには少し早めの到着だけど、まずは宿泊先の確保が第一だ。


 宿代はアリスが出してくれるとのことで、街で一番高い宿、もちろんアリスは一番高い部屋。クリフはハブられてましたが。


 俺たちは一般の部屋だけど、それでも十分過ぎる設備で、これ以上何を望む状態。格差を思い知らされるってもんだ。


 ニトロが「格差社会万歳!」とか戯けていたな。気持ちはよく分かる。


 その後ちょっと飯にも早いから、少し街でもうろつくかとなったので、アリスとクリフもさそって、やたらと豪華な一階フロアで待っていた。


 少ししてからアリスとクリフが、やってきた。でもその姿にちょっと驚いた。


 アリスは白いドレスを着て、さらにあれこれと装飾品を付けてる。階段をクリフに手を取られて、優雅に降りてくる姿は、後光すら見えそうだ。


 まさにTHEお姫様だ。


 クリフもクリフで、白を基調とした礼服を着てらっしゃる。腰には細身の剣を二振り帯刀している。実戦用というより装飾用とか護身用っぽいな。


 まるでこれから2人でお城にでも行くような、そんな恰好なのだが……


 俺たちが驚き目を見開いていると、マリアがちょこちょこと寄ってくる。マリアもきちんとした侍女としての制服になっている。つまりメイド服だ。


「恐れいります、これからロレッツオ辺境伯にご挨拶に行ってまいります。夜には戻るかと思いますので。」


 といってペコリと頭を下げた。


 辺境伯にご挨拶……ですか。


「さっき知らないって言ってなかった?」


 俺が突っ込むとアリスがにこっと笑う。


「辺境伯様とは面識はありませんよ?」

「うん、僕も話したことはない。」


 アリスとクリフが顔を見合わせて微笑んでる。


「アリス様とクリフ様は、ロレッツオ辺境伯のご子息、ツェザーリ様とご学友ですので。」


 マリアがはにかんで言った。


「学友?」


 驚く俺にアリスが「あはは、そういうこと」と笑った。


 ああ、そうですかそうですか、ご学友様にご挨拶はするのですね。勝手に行ってこいや~。

 

 でもたしか辺境伯のお城まで結構あるぞ……

 

 お城は城塞都市の真ん中にあって、ここから歩いて2時間ほどだろう。2人の体力なら懸念も無いけど、その格好でいくんすか?町中を?場違い過ぎませんか?


 その姿で歩きだと、町中じゃ悪目立ちしすぎるだろ。だいたい馬車はもう預けちまったぞ。


 と思っていたら、宿の前にどーんと馬車が停まった。


 白馬に引かれた白い馬車、まるでガラスの靴を履いたお姫様をお城に送る馬車みたいだ。


 白い豪華な馬車の御者台から、黒い燕尾服を着た白髪の老人が降りてくると、恭しく2人に一礼する。

 

「アリス様、クリフ様、ロレッツオ辺境伯の命により、お迎えに参上いたしました。」

「お迎えご苦労様です。」


 マリアが一礼し、アリスとクリフがコクリと頷いた。


 はぁ、2人は舞踏会にでも行くのでしょうか。カボチャの馬車が?化した白馬車に乗って王子様と楽しくやるのですか。


 なんだかな。


 俺、あの女神にもっと逆らっとけばよかった?


 せめて貴族に生まれ変わらせろって、言えばよかったかなぁぁ?


 なんか自分の運命がわけわからなくなってくる。


 いんや、そんなことはない。俺には俺のやることが有るんだ。


 等と思っていると、2人は「少々留守を致します。」といってさっさと馬車に乗って行ってしまった。

 

「ジュンヤ~。」


 アリスを見送ると、ニトロが話しかけてきた。情けない声出してるなよ。


「格差ってすげーな。」


 もうね、その気持ちよっくわかるわ。

 

 俺もがっくりと項垂れてしまった。



◇◇




 お城のような屋敷のなか、1階にある部屋。


 綺羅びやかで年代を感じさせる品のある調度品、洗練されたインテリアが飾られた広い来客用の部屋で、ふかふかのソファにアリス=ルイーズとクリフ=ラザロはゆったりと座っていた。


 彼等の前に置かれた大理石造りの天板のテーブルの前には、品の良いティーセットが置かれ、温かい紅茶が注がれていた。


 アリスがティカップを摘み上げ、香りを嗅いでうっとりとすると、一口飲み込んだ。


 紅茶の葉はなかなか手に入らない、遠く南方の小国で採れる高級茶葉が使われている。心が洗われるような、心地よさを醸し出す茶葉だ。


 味にうっとりとし、一頻り余韻を楽しんでからティカップを置いた。


「ツェザーリ様、大変美味しい紅茶です。」

 

 アリスはテーブルの向かいに座る金髪の青年、ツェザーリ=ロレッツオに視線を向けた。

 

「お口に召したようで、ほっと致しました。」

「あれから1年ですか。ツェザーリ様もすっかり……」


 アリスは懐かしそうにツェザーリを見た。

 イグリーズ学園で過ごした日々。そして練武場で剣を交えた事が思い起こされる。


 あの頃でもイケメンでカッコ良かった少年が、この一年ですっかり子供っぽさが抜けて、大人の魅力が垣間見える男になっていた。それはもちろん隣に座るクリフも同じなのだが、なにしろツェザーリとは1年ぶりに会うのだ。


 そうあの惨劇の日以来の再会なのだから。


「ふん、俺より劣るけどな。」

「お黙りなさい、クリフ。」


 クリフがぼそっと言って、アリスに叱られた。


 そんな仲睦まじい2人に、ツェザーリは目を細くして微笑んだ。


「アリス様こそ、素晴らしくお綺麗になられました。クリフ様が羨ましいですよ。」

「まあ、仮面を着けているのに、判るのかしら?」


 ツェザーリの言葉に、アリスはぽっと頬を染め、くすっと笑った。


「ツェザーリ、俺のヨメを口説くんじゃないぞ。」

「お黙り、クリフ。」

「だってっ。」

「いいから黙りなさい。」


 またアリスに叱られ、クリフはしゅんとなってしまった。これで婚姻を結んだとしたら、完全に尻に敷かれることは、まず間違いないだろう。


「ははは、でもクリフ様、覚えてらっしゃいますか?あの時のクリフ様はカッコ良かったですよ。あんな修羅場であんな事を……」


 ツェザーリが言いながら、クスッと笑みを浮かべた。


「ば、そんな昔のこと、やめろっての、恥ずかしいだろ。」

「……何を……私の方が恥ずかしかったです……ほんとに。」


 アリスはあの日のことを思い起こし、頬を赤らめそして悲惨な出来事を思い起こした。

 

 忘れることはない、忘れようとしても、絶対に忘れられないあの日の事を。



††

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ