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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第二章 運がなかった私は皇女になったけど、戦闘系で行きますっ
58/109

<K18> お父様

第一試合第一組はアリス様です


※ 4/23 ジュンヤ編(第一章)とアリス編(第二章)を再構成しています


††


 私はアリス。

 

 グランダム王国の第三皇女にして、イグリース学園の生徒です。

 

 学園の中に不穏な空気が漂う中、ジレンマを抱えつつも大したこともせず、自分の周囲だけを見ていた。平和というぬるま湯の中に浸かり、見ない振りをしていたのかもしれない。もちろん動こうとしたけど、結果的になにもしなかった。

 

 その結果がザックという悪魔を野放しにしてしまった。それが何れ悲劇となって自分と自分の回りに帰ってくるというのに。


 私は最終学年5年生になった。5年生になるとイグリース学園最大のイベントが、魔闘大会が開催されます。


 私ももちろん出ます。


 そして魔闘大会が実施されるのは、学園中央部にある練武場コロシアム

 

 練武場は第1から第4まであります。

 

 このうちの武器術が2つ、魔術が2つを使って、試合が行われます。

 

 武器術の第1回戦は、第1練武場で20人10試合、第2練武場で16人8試合が行われます。

 

 魔術は第7回戦、60試合以上が行われるので、午前中に第1回戦。午後から第2回戦以降が行われますが、果たして1日で終わるのでしょうか。

 

 例年夜遅くまでやるそうですが、流石に1日では終わらないのが通例だそうです。試合の制限時間はないけど、10分以上になるようだと、ストップがかかります。


 結構ハードですが、人数が多いので仕方のないところです。


 さて今日は早朝から続々と馬車が駆けつけてきます。もちろん生徒のご両親や親戚縁者の皆様。お近くの方は当日にいらっしゃいますが、遠方の方はすでに前日に到着し、ご縁者用の客室でゆっくりされているようです。

 

 そんな貴族や大商人の方々がいらっしゃってるので、練武場を囲む観客席はそれはもう綺羅びやか。さらに1年生から4年生までの生徒たち、加えて彼らの父兄までやってくるのです。

 

 来る必要など無いのに、とは言いつつも貴族が集まるわけだから、関わりのある方達が大挙して押し寄せるわけです。

 

 ウチラが試合している裏では、大人たちが必死にネゴネゴしてるわけですね。

 

 でもちょっと羨ましい。

 

 私なんて……お父様に──国王陛下にそんな暇など無いのです。私は所詮第3皇女ですしね。

 

 私は此処の世界の11年を入れれば、28歳、30近いんだぞ。身体は幼くても精神はおば……げほん。

 

 寂しくなんて無いもん。

 

 というわけで、エリーザとマリアに見守られて、武器術大会開始。

 

 私は第1試合第1組。

 

 つまり初っ端です。恥ずかし~~~っ!

 

 皇女様だからとかなんとか、センセ、あとでぶっとばす。

 

 というわけで、私はセンセに呼ばれ、練武場に上がっていくのです。センセをぶっとばしにじゃないですよ。

 

 相手はバーナード君。平民クラスの人です。

 

 11歳なのに中々筋肉質、鍛えてるなぁ。身長は150センチぐらいで、私よりちょっと高いかな。

 

 全身に厚めの防具をつけて、先に練武場に上がってます。ですが、なんかもう最初からビビってます。だってまさかねぇ、初戦の相手が皇女だとか、思ってなかったんだろうな。

 

 皇女をぶん殴るとか、そんな恐れ多いこと、普通の神経じゃできませんものね。

 

 だいたい今まで王太子とか皇女が、この練武場に上がる事なんて、数えるほどしか無かったそうです。私の兄や姉達ももちろんこの学園を卒業しております。兄たちは武器術をとり、姉たちはみてるだけ~だったそうです。ヘタレめ。

 

 そんなわけで兄上達以来数年ぶりのことに、先生方も慌ててたようです。色々ご迷惑おかけしますね。

 

「せ、せんせ~~」


 バーナード君が半べそかいて先生に救いを求めてます。

 

 規則として一切手加減抜き、身分の差はここではない、とかいってもそうは行かないときも有るわけです。


 大人的なというか政治的なアレですね。


 でもそんなの私には関係ない。

 

「バーナードとやら、其方は妾を愚弄するかっ!」


 いつまでもビビってるので、ちょっと芝居がかった口調で大声出してみました。

 

 バーナード君、顔を真赤にして顔ふりふり、ちょっとかわゆす。

 

「妾はこの練武場に戦士として立っておる。妾と貴公はこの場においては、生徒ではなく敵同士。其方は敵が皇女であれば、剣を引くのか。自ら相手に殺されるのを望むかっ!」


 ちょっと芝居がかった古臭い口調で強めに言うと、バーナード君びくっとした。

 

「皆の者も聴くがよい。

 妾は第三皇女アリス=ルイーザ。皇女ではあるが、ここ練武場に於いては、唯の戦士である。

 戦場において、戦士同士の戦いに於いて、身分の上下などは関係ない。唯生き残る為に全力で戦うのみと心得る。

 相手が貴族で在ろうが皇族で在ろうが関係はない。

 そう心得、全力で妾に掛かって来るがよい。妾もまた貴公らを全力で叩き潰してあげよう。」


 長剣を振り上げ言うと、会場はシーンと静まっている。


 わーい、いっちまった~~い。

 

 会場は静かだし、これって痛かったかも~~。ちょっと顔が赤いかも。恥ずかし~~。

 

 一応観客席には全学年がいるんだよ~。全学年にこっぱずかしいことしてしまったぁぁぁ。

 

「「「「「わぁぁぁぁぁっ!!」」」」」


 あれ、なんか生徒たちが湧いてる。

 

「アリス様、申し訳ございません。戦場に於ける戦士の矜持を失念しておりました。」


 バーナード君が私の前で膝をついて頭を垂れた。

 

「アリス様のお言葉、しかと胸に刻み、今日は存分に戦わせて頂きます。」

「うん、私も全力にてお相手を致します。」


 私はほっとしたように、顔を綻ばせて笑顔を向けた。

 

 よかった~、なんか受けてくれたよ~。あ~恥ずかしかった。

 

「いざ参れっ!」

「はいっ!」


 私が剣を構えると、バーナード君もい~顔で剣を構えた。く~ショタだったらやっべ。

 

 まあ勝負は一瞬で決まってしまったんだけどね。

 

 だってぇ、いい顔で闘気放って思いきり大上段からくるんだもの、胴がガラ空きです。

 

 ずっばーーーんっ、ていい音させたら、向かってきたバーナード君がふっとんじゃった。

 

「そ、そこまでーーーっ!」


 センセは慌てて終了をつげると、バーナード君の方へ走るし、バーナード君泡吹いてるし、直ぐに治癒師呼ばれるしで、また会場が騒然としました。

 

 ちらっと振り向くと、エリーザが不敵な笑みを浮かべて、闘気撒き散らしてるし~~。マリアは胸に手を組んで俯いてるし~。

 

 だって手加減したら校則違反なんだからね。

 

 私は悪くない。

 

 多分。

 

 

「アリス様っ!!!」


 わーー、エリーザが怒鳴ってる、やっばー、やり過ぎた?え、でも手加減したらアレっしょ?それに防具の上からだから、多分ちょっと痛いだけ、うん、ちょっとね。

 

 私はエリーザに背を向けて肩を縮こませているわけですが、なんか会場がざわざわと煩い。そしてついに「おおおおおっ」と叫びだした。

 

 なんじゃろか?と振り向いたそこには、エリーザが……なんか焦った顔してる。

 

 となりのマリアもわたわたしてる。2人の間には、ダンデイなヒゲを生やした男性と、優しそうに微笑む女性。

 

 頭に王冠つけていらっしゃる。

 

「お父様っ!お母様っ!」


 見知った顔に度肝を抜いて、叫んでしまった。

 

 貴賓席には国王陛下がいらっしゃってました。

 

††

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