<K17> 将来の旦那様?
アリスの将来の旦那様候補は……
※ 4/23 ジュンヤ編(第一章)とアリス編(第二章)を再構成しています
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クリフ君は、この学園で私の次に家格の高い貴族の子息様です。嫡男ではありません。
でもお陰でかどうか、取り巻きも私と同じというか、クラスの男子の半分以上は彼の下に付いてます。
ですよね~。将来は最低でも伯爵以上の爵位を頂けるはずですからね。
いや余り良い考えではありませんが、お兄様のアドレアル様が死んだら、大公様ですね。
クリフ君はお兄様の予備ですから、でもなんか悲しいね。
それに何故か私の旦那様候補、なんて話まで出ています。
多分剣術の稽古を通じて、私と共にいる時間が多いからかも知れません。
ええ、エリーザに叱られてから、夜にひっそりと稽古に付き合っておりました。毎日ではありませんが、それをどなたかに見られたのか、『大公様と皇女様の夜の密会』なんていう噂が……
何処のセン●ンス●プリングだよっ!
しかしクリフ様もいい男になられている。
これ年齢が12歳とかじゃなければ、惚れてるかも。うん壁ドンされたら確実に落ちる。
でもやはり皇女を娶るのなら、最低でも侯爵になっていただけないといけませんが、可能性は十分にありますから。頑張っていただかないといけません。
「大会でトップになるのは、僕だからな。」
ドヤ顔でいうクリフ君。ドヤ顔の割には目が燃えています。
「左様でございますか。私も応援しております。」
私がさらっと微笑で返すと、あ、顔つき変わった。頬を真っ赤にして、プルプル震えて、あ、ちょっと目が潤んでいる。
悔しいのか小僧っ!
と言うわけもなく、私はニコニコと笑うだけ。
「第3皇女なんかに、負けないからな~」
あ、涙目で走って逃げた。こりゃ負ける気がしないなぁ。
クリフ君の悪い癖、泣き虫なんだよな~、もうちょっとこう、なんというんだろ。男なら泣くなっ!
私に対して負けん気が強いのは、やっぱ将来を考えてらっしゃるのかな。
嫁になるかもしれない皇女に、尻に敷かれるわけには行かないってこと?本気なの?
彼の家って典型的な男尊女卑の家なんですよね。女は剣など持たず男子に傅くべしと教えられてきたらしく
「男として女に遅れを取るなど、許さることではない。」
なんていって絡んでくるのです。
たぶん「夜の密会」の噂とか、稽古とかを通じて、私を本気で嫁にしたいとか、思ってらっしゃるのかもしれません。
実際クラス内ではクリフ様は、私の将来の旦那様候補になっておりますから。
でも、あのイケメンが更に成長したら……
むふ~。ちょっと良いかも。
そんなわけで無闇矢鱈と私に対抗心燃やしてます。そりゃもうメラメラと。
3年生の時にクリス様の剣戟を、ぽーっとして尽く受け止め、疲れるまで放置してたのがまずかったかな~。
あの時はエリーザにこっぴどくお尻叩かれたな~。
殿方の心を砕くような真似をしては、いけないそうです。日本だと当たり前なのにな~。
だから次は疲れてヘロヘロになった打撃をわざと受けてあげて、「まいった~」と言ったら、余計にこっ酷く叱られた。
誂うつもりなんて無かったってば~~。
というわけでそれ以来の因縁?の対決なのです。
で、イグリーズ学園5年生になった私のステータス。
アリス=ルイーザ
【種族】人種
【年齢】12歳
【状態】普通
【Lv】10
【HP】1642
【MP】1459
【SP】1921
【最大攻撃力】1451
【最大防御力】3276
【最大魔法攻撃力】989
【最大魔法防御力】1231
【最大回避】2981
めでたくレベルが上がりました。
これは野外授業で魔獣を倒したからですね。
魔獣といってもそれほど強くはなくて、最初は最弱のスライムやらホーンラビットとかをそれぞれ得意な攻撃で倒すことからはじまって、夏前にはイノシシのような魔獣を倒していました。
まあ上がったといってもほんのすこしですが、【天臨王】の効果でHPとMPとSP等のステータスが、めっちゃ上がりました。
HPとかMPとかはレベルの上昇以外にも、歳を追うごとに増えるんだけど、増える量が半端ないです。
他にもスキルはかなり伸びています。
剣術と回避のスキルレベルが50になって、新しい称号【剣聖】【陽炎】が加わりました。
これも偏にマリアとの戦闘のお陰でしょうか。
称号【剣聖】:剣術スキルが達人の領域に達した証。称号によって付与されるスキル:【縮地】Lv.10、【闘気法】Lv.10
称号【陽炎】:回避スキルが達人の領域に達した証。称号によって付与されるスキル:【予見】Lv.1
この2つのスキルは結構使えます。闘気法は1分間攻撃力が爆発的に高まるんだよね。レベルが上がるごとに使える時間が長くなるみたい。いまはレベル12だから1分20秒ってところ。なかなか上がらないのがネック。
縮地は高速移動みたいなもので、一瞬で相手の懐に入れたりする。なかなか使えるんだけど、スキルレベルが上がり難い。
多分どっちも何かの上位スキルかなんかで、普通以上に熟練しないとダメなのかな。
予見はもうそのまま。相手の次の動きを高確率で予測する感じ。
超速再生がレベル7まで上がってるのは、エリーザのお陰だな。もっと悪さしてお仕置き受けたら……やだやだやだ。痛みとかより恐怖が……
完全にトラウマになってる~~。
覚醒する前からの記憶だもん、これ一生モンだよね~。
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【補足】《レベルとスキルレベルとステータスの関係について》
この世界の生物を構成する値に、基本レベル、スキルレベル、そしてステータス値(HP,MP,SP,ATK.DEF等)が存在します。
基本レベルは魔獣や魔族、また人を殺すことで、上昇します。
端的に言えば、生物を殺し魂の欠片を奪い取ることで、自分のレベルが上昇します。強い相手、よりレベルの高い相手を殺すことで、より多くの魂の欠片が手に入ります。
スキルレベルは日々の鍛錬によって上昇します。
より多くの鍛錬、修行などにより熟練度を上昇させていくことで、スキルの熟練度がマックスに達すると、レベルが上昇します。
これは繰り返し作業を実施したり、またより強い相手と戦うことで上昇します。弱い相手と戦っても上昇しますが、効率は非常にわるいのでお勧めしません。
ステータスはレベルの上昇やスキルの上昇、またある年齢までは年齢によって変化します。
ある一定年齢までは何もせずとも種族属性による修正値で上昇し、銜えてある種のステータスに影響をもたらすスキルの上昇によって、さらに修正値で上昇します。またレベルが上がる時にも、修正値によって上昇します。
これら種族、レベル、スキル、年齢、その他の複雑な修正値の絡み合いによって、上昇します。
ただしステータスには肉体的限界値があります。何もせずとも上昇する肉体限界値は、第1期が10歳、第2期が15歳、第3期が20歳となり、それ以上の年齢になると、全く上昇しないどころか僅かづつ下降に転じます。
逆に脳筋……常に鍛えている場合、肉体的限界値に関わらず、ステータスは上昇し、また高齢となっても下降に転ずる年齢が遅くなっていきます。
これらは過去の事例からも明らかであり、特に脳筋……ロレッツオ辺境伯においては、肉体を鍛えることが誉とばかりに、常に体を鍛えているので、いつまでも衰えることは無いとのことです。
本人はまだ若いのですけどね。
以上、グランダム王国肉体改造研究班資料より抜粋




