表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第二章 運がなかった私は皇女になったけど、戦闘系で行きますっ
51/109

<K11> 手加減ってほんと難しい

授業はアクシデントの宝庫です。


※ 4/23 ジュンヤ編(第一章)とアリス編(第二章)を再構成しています


††

 

 この世界の学問のレベルの低さに、私ってば天才~とか前世の記憶さいこ~~、なんてちょっと気を良くして午後の授業。

 

 午後の最初の授業はお腹熟し(はらごなし)の魔術。

 

 お腹いっぱいで身体動かすと、ウップしちゃうからね。子供の内臓って割りと単純な構造だし、我慢できないしね。

 

 というわけで、魔術専用の教室へと移動します。

 

 今回というか今日の授業は基礎の基礎。つまり座学中心です。

 

 魔術実験室という、なんかオドロオドロしい名前の教室。

 

 広めの教室の中は、大学の教室を小さくした様なイメージかな。


 壁にはびっしりと本棚があって、魔術関係の本が並んでいる。


 ちなみに教壇に●ネイプ先生はいません。

 

 それでもいかにも魔法使いっぽいローブを着た、ゾエ先生。中年くらいかな、白い髪に白い顎鬚なんだけど、顔にひは皺がなくて、オジサンって感じ。

 でこのセンセも耳が横に尖ってて、エルフだって解る。


「さて、先日お話しました様に、今日から魔法学の基礎を担当しますゾエです。よろしくおねがいしますね。」


 声も優しい感じで、人当たりが良さそう。

 

 ゾエ先生は1年の時は座学を教えてくれる。より高度になると応用も教えてくれるらしい。

 

 応用魔法ってば、やっぱり風魔法と炎魔法を合わせて、火炎竜とか作るとかかな。または水と風で暴風雨とか地域災害起こしちゃうとかかな~。ちょっと楽しみです。

 

 

「さて今日は皆さんにご挨拶も兼ねて、皆さんの魔法適正を教えていただきます。」


 ゾエ先生はそう言って教壇の上に置いてある透明な球体をぽんぽんと叩いた。

 

 大きさはボーリングの球くらいかな。

 

「初めて見る方もいると思いますが、この透明な球体は魔石です。正確には、ドラゴンやヒュドラ等といった、魔法生物と言われる怪物から産出された、魔核を生成して造ったものです。」


 途端に生徒達がどよめいた。

 

 なるほど、この世界ドラゴンが居るのね。そういえば騎士団や魔術師たちから、魔法生物って話を聞いたことがある。

 

 出自は不明だけど、普通の魔獣とは違う、強力な魔獣が居るって言ってたな。そいつらを倒すと魔核が手にはいり、魔核を生成すれば強力な魔力がこもった魔石ができるとか。

 

 てか魔石は見せてもらったけど、せいぜい野球のボールぐらいだったよ?あんな大きいの始めていた。

 

「ちなみにこの魔石は、120年ほど前に黒竜ブラックドラゴンと云われた魔法生物を当時の勇者が打ち取り、取り出した魔核を生成して造られたモノです。」


 120年前の勇者、ていうか勇者っているんだ?私めざしてんだけど?魔王を倒すから勇者じゃなくて、ドラゴンも倒すのね。


「すいません、センセ」


 私は思わず手をあげていた。

 

「何でしょうか、アリス様。」

「あのその黒竜ブラックドラゴンを倒した勇者って、まだ生きてるんですか。」

「良い質問です。」


 お、とんでも質問かとおもったけど、褒められた。

 

「残念ながら当時の勇者は人間でした。そのため、寿命には勝てなかった、とだけ言っておきます。」


 おや、なんか含みが有りますね。

 

「それでは黒竜ブラックドラゴンは大きかったんですか?」

「当時の文献によると、体長は20メートルほどあり、翼を持っていたと云われています。」


 20メートルのドラゴン。そんなものに勇者は勝てるのか。凄いなという感動とともに、自分も努力すればそこまで行けるかもしれないという感情が湧き上がる。

 

「あ、あのあの、」

「何でしょう?」

「勇者って、あの魔王とどっちが強いんですか。」


 教室がざわついた。

 

 まるで禁忌タブーでも犯したかのように、全員の目が私に注がれている。

 

「困った質問です。」

「……聞いてはまずかった、ですか。」

「いえ、そういうことではありません。勇者、その称号を持つ人物は過去に幾人か確認されています。ですが、残念ながら魔王は確認されていないのです。」


──そういうことか。


 誰もまだ魔王の存在を確認していない。存在しないのではないか、というのが私が聞いた騎士団と宮廷魔術師の意見だった。


「あまり居て欲しい存在ではありませんが、そういうことなので勇者が魔王に勝てるかどうか、となると魔王の存在が確認できないため、解らないというのが現状の見解です。


 そして先生も同じ見解のようだ。

 

「分かりました、ありがとうございます。」


 私はお辞儀して座った。

 

「さて、他に質問がなければ、今日は皆さんの魔法に対する適正を測りたいと思いますので、こちらの魔石に触れて、魔法を使えるひとは魔力をクリスタルに注いで下さい。使えない人は触れてから、魔石に何かを注ぎ込む様なイメージを念じて下さい。」


 ゾエ先生の指示で端の列から一人ひとり魔石に触っていく。

 

 何人か触っていくと、魔力石がぽおっと光ったり、また結構明るくなったり、はたまた全く光らなかったりと色々。

 

 その都度センセは紙に書き取って、ふんふん、と頷いておりました。多分今後の授業の方針とかがあるんだろうな。

 

 んで私の順番。

 

 エリーザに加減しなさい、って云われてるんだよね。本気でやると、現役騎士団とか宮廷魔術師レベルなんだから、センセ達が困るし騒ぎになるからって。

 

 騒ぎを起こしたらお仕置きですって笑っていた。その涼やかに澄ました顔が怖いです。


「お仕置き……やだ。」


 思い出すと汗が滴ってきます。

 

 それだけはご勘弁を。今更あのお仕置きは受けたくありません。てか子爵家の娘風情が皇族にお仕置きってどんだけよ~~。

 

「国王陛下と皇后様の許可は取っておりますので。」


 と最高の笑顔でいいやがった。あのアマァァ~

 

 ごめんなさい。ちゃんということ聞きますからぁ。

 

 というわけで、お仕置き怖いからそっと手を置き、加減して……

 


 カァッ



 わーいLEDライトみたい。

 

 なんか●ネイプ先生じゃなくて、ゾエ先生が顔を強張らせて眼を見張ってる。生徒たちも眼を丸くして見てる。

 

 ちょっと薄暗かったお部屋の中が、ほーら真昼の様に輝いちゃった。

 

「さ、さすがアリス様、王家のご息女だけあらせられる。」


 とゾエ先生、声震えてますよ?

 

 やっべ、やり過ぎた?てかほんとちょっとしか流してないし、加減したんだよ。ほんとだよ。

 

 ほんとだったらっ!

 

 

 

 

 まあちょっとしたアクシデントはありましたが、どうやら魔力量は私が一番多いらしい。

 

 でも


「例え魔力量が多くとも、それを効率よく使わねばなりませんぞ。効率よく使うことで、例え少ない魔力でも長時間継続することもできますからな。」


 とフォロー?してくれた。過信するなってことかな?


 で次が実技。


 まずは魔術を使える人も使えない人も、初級から始めるとか。

 

 え~~~~っと不満言いたいのを、にっこり笑顔で躱して最初は水を出しましょうと云われて頷いた。

 

 机に置いたコップの中に水を貯めるそうだ。

 

 これができると色々便利とか。例えば旅にでて水がないとしまう。この魔法で水を出せれば、乾いて死ぬことはないとか。

 

 ですよね~。

 

 水がないと辛いですからね~。

 

 で教えられた呪文を唱えて、直ぐに使えたのは14人。残りの方々は不発に終わりました。

 

 私はここで失敗して、洪水でも起こしたら面白かったのだけど、これ以上エリーザのお仕置き回数がふえるとやなので目一杯手加減しましたよ。

 

 ほんとだよ、ほんとに手加減したんだよ。

 

 床を水浸しにしたけどね……

 

 手加減ってほんと難しい。

 

††

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ