表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第二章 運がなかった私は皇女になったけど、戦闘系で行きますっ
47/109

<K07> マリア、お前何者?

マリアは出着る子なのです。


※ 4/23 ジュンヤ編(第一章)とアリス編(第二章)を再構成しています


††


 そういうわけで部屋の片付けが終わった。

 

 主にマリアとエリーザがしてくれました。

 

 私見てただけです。

 

 だって手伝おうとすると、仕事を取るなって怒られるんだもん。

 

 冗談は置いといて、私は制服に着替えさせてもらって、まずは宿舎内と校舎をぶらりと見て歩くことにした。

 

 明日からお世話になるのだから、一応下見を兼ねてということで。エリーザは自室の片付けも有るため、マリアが付き従うことになる。

 

 ん、自室?もう終わってるだろって?いえいえ、エリーザとマリアのお部屋の片づけです。

 

 そう私のお隣はエリーザとマリアのお部屋です。そうなんです、付き人の部屋もあるんですよ、この寄宿舎。

 

 考えてみれば当然だよね。貴族って自分だけじゃ何もできないからね。大人になればそうでも無いんだろうけど、基本的に着替えは全て侍女がしてくれます。


 自分一人でお着替えなんてしません。


 お風呂も侍女が付き従います。


 お湯に浸かってでたあとは、侍女が全て洗ってくれます。自分で洗うといっても洗ってくれます。あんな所からこんな所まで、バカっ丁寧に綺麗にしてくれます。


 ほんと赤面ものですが、慣れました。


 だからまぁそういうわけで、寄宿舎なんぞに貴族の子を一人で放り込んだら、大変なことになるわけです。

 

 私の場合、お城でのお付の侍女はエリーザを筆頭に6人いるのですが、それ全部を連れては学園に来るのは流石に無理なので、2人まで許可されるわけです。

 

 それで筆頭のエリーザと新人のマリアとなったわけですね。

 

 まあそうした内部事情は置いといて、上級貴族専用制服とやらに着替えて、マリアを従えてイグリーズ学園の校舎を歩き回ってみることにしました。

 

 校舎は寄宿舎から歩いて10分程。廊下を歩いて階段降りて~からの~、私の教室に到着します。

 

 途中生徒や侍女さん達と廊下でスレ違いますが、私が上級貴族だとわかると、平民や下級貴族の生徒は、ささっと避けてくれます。

 

 う~ん、THE格差社会。

 

 実際学校だから~なんて甘えは無いんですよね。下手に上級に対して下級や平民が何かしたら、斬首ものですから。そうした事を教えるのも、この学園であるわけですね。

 

 さて教室ですが、本来生徒だけが入れますが、授業中じゃないのでマリアも引き連れてGOGO

 

 私は皇女、文句あるならお父様にどうぞ~とばかりに、すいませんごめんなさい。そこまで偉ぶってません。

 

 私のクラスは1年上級貴族クラス。名前からして格差です。

 

 ふと見ると40人程は入れそうな教室のなかに、数人の生徒がおります。早めに到着した方々でしょうか。

 

 金髪の少年が1人、銀髪の少年が1人、銀髪の少女が1人、ライトブルーの髪の少女が1人、それに赤毛の少女がいる。

 

 赤毛の子は縦ロールしてたりして、あんなのマンガとかの中でしかみたことな~い。なんか大人びて見える~。でもみんな私と同じ歳のはず。


 私が教室に入った途端、全員がこちらを向いてガン見してきます。なんか~目立ってる?マリアを連れてるから?

 

「なんだアイツ、侍女連れてるぜ。」

 

 金髪の男の子が悪そうな顔で呟くと、それに従うかの様に銀髪の少年が卑屈そうに笑った。


「まだオシメが取れないんですよ。」

「は、一人で歩けないとか、どんだけ臆病貴族だよ。」


 少年たちの言葉に赤毛の少女が顔を顰めた。

 

「ちょっとやめなさいよ。」


 ふむふむ、悪ガキと窘める少女達って構図かな。少年たちが黙りこんだ所を見ると、赤毛の女の子が家格が上なのかな。


 しっかしなんだかな~。あんたらどこの貴族じゃ。ドタマかち割るぞ。だいたい此処にいるのは伯爵以上、全員上級貴族なんだからね、下手なことを言うと、子供とはいえ首が飛ぶんだからね。

 

 あ、だからマナー教育か。つまり奴らはまだまだマナーをキチンと教わってないと。

 

 んじゃ教えてやりましょうか。

 

 と思った傍からマリアが動いていた。

 

 おいい?ちょっとマリアちゃん、それってナイフ?

 

「アリス様に対する無礼な振る舞い、小奴らを始末致します。」

「ひぃぃぃっ!」


 マリアがナイフを両手に、小僧どもの首に当ててるって、ちょまて、まったらんかーい。あんたどんだけ行動早い。

 

「お待ちなさい、マリア。ナイフを収めて離れなさい。」

「はっ、お心のままに、」


 私が叱るとマリアはナイフを服の中へと戻して、数歩下がった。

 

「な、なんだ、なんなんだよっ!」


 金髪小僧がマリアと私を交互に見て怒鳴りつける。

 

「ひぇぇぇぇ……」


 銀髪小僧はその場にぺたりと尻もちを付いている。

 

「貴様、許さん、許さないぞ!俺はキルギス侯爵の息子だぞ。」


 あそう……だから?

 

「皆さん、お初にお目にかかります。これから5年間、共にこの学園で学ぶこととなりますので、よろしくお願い致しますね。」


 金髪小僧の怒鳴り声を無視して、スカートの端をチョンと持ち上げて軽く会釈する私。

 

「てめっ何無視してんだよっ!」


 煩いな~。

 

「国王ヴィクリーヌ=アマディス2世が娘、アリス=ルイーザと申します。」

「こ、皇女様っ」

 

 赤巻ロールの少女が驚いた。


「こ、こうじょ……」


 金髪小僧が唖然としている。

 

 おーおーこりゃ面白い。

 

「し、失礼いたしましたっ、私マグダナル公爵が娘ベルティユと申します。」

「わ、私は──」


 と慌てて少女たちが次々に挨拶してくれた。

 

 最後に固まってた小僧と、へたり込んでいた小僧。

 

「お、おれ、いや私は─」「キルギス侯爵のご子息ですね。覚えておきます。」


 私が遮るようにいうと、びくっと顔を強張らせた。あ、ちょっと泣きそう。うーん、楽しいけど相手は子供だし、もういっかな。

 

「は、はい、ジェラールと申します。」


 涙目でだらだらと汗かいちゃって、なんか可愛いわ~。

 

「皆さん、明日からどうぞよろしくお願い致しますね。」


 私がニッコリ笑うと、全員「ははーっ」と頭を下げた。

 

「そんなに畏まらないで下さい。皆さんご学友ですから、身分の上下など無しで、フランクに気軽にお付き合い下さい。」


 そうして私は踵を返して教室を出て行く。

 

 わ~~、なんか気分いいわ~~。

 

 って一つ忘れてた。

 

「マリアッ!」


 廊下を少し進んでから私は振り向いてマリアを見つめる。

 

「は、はっはい。」


 慌ててキョドった顔するマリアをさらに見つめる。

 

「なんであんたはあんな動きができるのよっ!」

 

 マリアのさっきの動き、あれは普通じゃない。7、8歳の子供の動きじゃなかった。私のように何年も鍛えてきた動きだ。

 

「え、あのえっと、」


 マリアの瞳が泳いでおります。

 

「ちゃんと答えないと、お城に戻って貰いますよ。」

「こ困りますぅ、それだけはどうぞお許しくださいっ!」

「じゃあ、なんであんな動きができるか、正直に言いなさいっ!」


 マリアはしばらく考え込んでいた。しかし諦めた様にはぁっと嘆息して口を開いた。


 どうやらマリアが商人の娘、というのは嘘らしい。王立騎士団の副団長の娘で、幼い頃から武器術や体術の英才教育を受け、皇族を影から守る者の一人なのだとか。

 

「影?」

「は、はい、皇族の方々を影から見守り、外敵を排除致します」

「マリアはその影の一人なの?」

「ま、まだ見習いです。ですがこの度アリス様が学園に入られるということで、年齢が近い私が身近でお守りすることになりました。」


 なるほど、学園内に於けるお付の者は2人まで。それで侍女となって付いてくれるというわけか。

 

 なるほどね~。影なんて、まったく何処のアニメだよ。

 

 ありがたいけどね。

 

††

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ