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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第二章 運がなかった私は皇女になったけど、戦闘系で行きますっ
42/109

<K02> よくも雷を有難う、女神様

女神様は雷を落とすのが好きなようです。


※ 4/23 ジュンヤ編(第一章)とアリス編(第二章)を再構成しています


††


「きゃぁぁぁぁぁぁっ!」


 叫び声が聞こえた。

 

 私の目の前が急に目もくらむように輝いたかと思うと、私は全身が粉微塵になるかの様な痛みに苛まれた。

 

 痛い、痛い、声がでない。痛い、ただその意識だけがあった。

 

「ひ、姫様ぁぁぁっ!」

「治癒師じゃ、治癒師を呼べぇぇぇっ!!」


 周りで騒がしい声が聞こえていた。

 

 多分侍女や執事だろう。何かが起きたことはわかっていたが、声も出ず身体も動かず、おまけに意識がどんどん薄れていった。

 

 なんだろ、なにかがあったんだろうな。だからそうなんだ。私は運が悪い。

 

 

──運が悪い?なにそれ?でもなんかいつもそう思ってたような





「そうでもないかもしれませんよ。」


 なんか聞こえた。

 

 ううん、私の頭のなかで響いた。うん、そんな感じ。

 

「柊加奈芽さん、約束のお時間です。」


 また声が響く。ああ、そうだと私は思い出す。

 

 この声、いえ頭の中に響く声、あの時にお会いしたあのお方だ。

 

 私はゆっくり身体を起こした。

 

 小さな身体に小さな手と足、金髪のサラサラの髪の毛、顔は解らないけどぷよぷよしてすべすべして、気持ちがいい。


 知ってる、ちゃんと見るのはこれが初めてだけど、私の新しい肉体だ。そして私の記憶が蘇る。私が私として存在した4年の歳月と17年の歳月が。


 そして目を上げるとそこには、白い人が立っている。


 白い髪の毛、美しい顔、そして白いギリシャ神話とかに出てきそうな衣を巻いて、背には純白の羽をもった女性。

 

「お久しぶりですね、女神様。」

「お久しぶりね、柊加奈芽さん。お元気でしたか。」


 女神はにっこりと笑っている。


「いえ、今は柊加奈芽ではありません。グランダム王国第3皇女アリス=ルイーザです。」

「そうでしたわね、アリスさん。」

「でもなんか随分荒っぽい起し方でしたけど?」


 うん、私は彼女と約束した。4年後に覚醒させて欲しいと頼んだんだけど、まさか雷を落とされるとは思ってなかった。

 

「え、ええ、ちょっと最近なんていうか、アハハ。」


 いやアハハじゃねーし。なんかこの人、いや女神様って上品とかしとやかにしてればそれっぽいのに、直ぐにボロがでるんだよな~。

 

 またなんかドジッたのかな。

 

「ねぇ、なにかあったんですか?」


 私はちょっとジト目でみる。

 

「いえいえいええいえ、何もない、ないです、うん、ないったらない。」


 なんかあったな。

 

 なんか顔を真っ赤にして必死だな~、絶対なんかあったな~。まあいいや突っ込むのは辞めておこう。なんか可哀想だ。

 

 それは兎も角、このちょっと痛い匂いがプンプンする女神と会ったのは、4年前の事。

 

 

 

 

 

 私は前世では柊加奈芽という名前で、17歳の女子高生だった。4年前に浮浪者を助けたばっかりに、浮浪者がトラックに跳ねられて巻き込まれて死んでしまった。


 ほんとついてない、運が無い。人助けして中学生に襲われそうになってトラックに押しつぶされてとか、どんだけバッドラックなんだと。

 

 まあそれまでもバッドラックな人生だったから、諦めてるけど、あんな最後はやだな~。

 

 で気がついたら此処にいた。

 

 女神様が降臨されて、私にこういった。

 

『貴女は人を助けた、なのに巻き込まれて死んでしまいました。そんな不運な貴女には、じゃーん、サービスで転生をプレゼントしちゃいます~~っ!!』


 なんか軽い。美人なのに綺麗なのに、なんか軽い。

 

 この恐ろしく軽い女神様にちょっと嫌な予感はするし、私のバッドラックからいって、どーにも転生に裏があるような気がしてならない。


『あのそれって、転生って、また赤ん坊から?』

『もっちろん、生まれてくるときからやり直しです。』

『まさか、それって、前世の記憶を持ったままとか言う奴?』

『ぴんぽーーん!飲み込みが早いですね~。今度の世界は剣と魔法の世界、十分に楽しんで──』『ちょっと待った~~~!!』


 私は今にも新しい世界に送られそうになり、慌てて止めた。

 

『どうかしましたかぁ?』

『いや、あのもうちょっと説明お願いします。』

『説明?』

『ええ、新しい世界のこととか、向こうでどうやって生きるかとか。』


 いうと女神様はなんか眉を寄せて唇を尖らせてる。なんかいかにも不服そう。

 

『めんどくさ……えとね、行き先はグランダム王国、貴方達の言い方だと剣と魔法、魔獣や魔族が日常的に存在する、長閑で平和な世界。』

『は?』


 いまめんどくさ、とか言ったよね。絶対言ったよね。それってありなの?女神の癖にありなの?

 それになんかさり気に恐ろしい事言ったでしょ。剣と魔法まではいいけど、なにその魔獣とか魔族とか。なに恐ろしいこと言ってんのよ。どこが長閑で平和なのよ。

 

『貴女はそこで第3皇女として生まれます。』

『え?皇女って、お姫様?』

『そそそ、お姫様。王様の娘ね。』

『私が……なにそれ、すっごい。お城で暮らしてひらひらドレス着て、そのうち王子様と結婚とかぁ?』


 なんか今までのバッドラックが全て覆されるっ!

 

『そそそ、でも第3皇女だし、王位継承も無いし~行く末はどっかの貴族の愛人かな~。』

『へ?』

『貴女の未来は明るいわよ。がんばってっ、さあい──』『まてぇい!』


 慌てて止めた、止めましたとも。


『なによ~~』

『あんたアタシを嵌めるき?』

『ななによ、その言い方。転生者を嵌めるとか有るわけないでしょ、そもそも貴女は善行積んでの転生なんだから、待遇はとっても良いのよ。』

『どんなふうに?』


 聞いた途端女神が視線を逸らした。あ、こいつ嘘言ってる。

 

『そうね、えーと、えーと。』


 なんか必死に考えてる。汗ダラダラ掻いてるよ、この人。いや女神。完全にノープランだったな?

 

『もういい、転生なんかしない。』

『へ?』


 なんか間抜けな声だしてる。

 

『転生なんてしないから、ここで私の魂消滅させて。』

『ええええええっ!』

 

 なんかめちゃくちゃ驚いて、手をバタバタさせてるなぁ。

 

『な、なんでっ!』

『だってぇ、そんなどっかの貴族の愛人になるような、お先真っ暗でも無いけど、将来売られるような人生は嫌。』

『で、でも贅沢できるし、すごくいい暮らし出来るよ?』

『嫌なもんは嫌!私は転生しません!!』

『ちょまって、まって、転生してくれないと上司に怒……』


 言いかけて口を手で抑えたぞ。ふ~~ん。上司なんて居るんだ?へ~~~。

 

 きっとこの時私ってかなり悪い顔してたんだろな。ちょっと閃いちゃった。

 

『どうしても転生しないと……怒られるんだ?ヘタすると天罰が落ちるとか降格されちゃうとか?』

『ん~~ん~~~』


 女神は口を手で抑えたまま顔をぶんぶん振ってる。でも目が饒舌に物語ってます。

 

『転生しても良いんだけど……』

『ほんと?』


 顔がぱぁっと明るくなる。ほとわかりやすい。

 

『条件というか、女神様にお願いが有るの、約束してくれるかな?』

『……聞けることなら……』


 

 結局女神様は折れてくれて、私のお願いという名の条件を聞いてくれた。

 

 そして4年後の今日再会となったわけ。まさか雷落とされるとは思わなかったけどね。

 

 なんか恨み買ったかな。


††

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