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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第一章 今度の人生はスローライフで行こうと思ってたのに、どうしてこうなった
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幕間 要塞の少女.1

幕間としてノスフェラトゥで戦う人と魔の戦争風景と、それを見る少女を三話にわたってお送りします。


残りの2話は明日お送りします。



††


 魔大陸──ノスフェラトゥ中部地区。

 

 武装した戦士が奔り、火球が飛び交い、大地が盛り上がり亀裂が奔る。水が渦となって襲いかかり、止まぬ雷撃が大地に穴を穿つ。

 

 突風が吹いたかと思うと、魔獣が寸断されていった。


 ノスフェラトゥ、別名を魔大陸と呼ぶ。


 長く続いている戦乱の為に大地は荒れていた。死臭が漂い生暖かな風が吹くと地中に滅せられた死人が蘇り、襲いかかってくる。

 

 数百数千の死人たちが兵士たちに襲いかかり、そしてまた新たな死者が生まれていく。

 

 人魔の戦い、それは長く続き過ぎた。

 

 どちらも互いを滅するまで、戦は延々と続く。

 

 どちらかが滅ぶまで止まらない、死の行進。

 

 大地から迫り上がる様に構築された要塞。

 

 無数の死者と亜人種、そして魔獣がぐるりを取り囲む、難攻不落の要塞バール。人魔の戦いの最前線フロントラインに於ける魔族の最大拠点だ。

 

 この数十年、人はこの要塞を突破することができないでいた。


 魔族は精強でだった。一騎当千の怪物的存在を有し人を翻弄した。人は脆弱だった。力の上で圧倒的な差があった。

 

 しかし数は遥かに人が有利だった。


 人は一人一人の戦力的な不利を、数で圧倒した。

 

 数の不利を魔族は理解していた。

 

 亜人や魔獣を操り、死者を戦力として使った。

 

 しかしそれ以上に人間は数が多かった。

 

 魔族を倒すために大陸全土の諸国から、連合軍として集結した人の数は、数十万とも百万とも言われた。

 

 防波堤のように配置された亜人や魔獣も、十万を超える人の数の前には崩れやすいものだった。


 戦況は常に拮抗した。

 

 要塞に辿りつけない人間、魔大陸から人間を排除できない魔族、互いの拮抗する戦力のなか、それでも人は徐々に確実に魔大陸での勢力を拡大してきた。

 

 

 ノスフェラトゥ中部、要塞バールより遥か南方、リステア大陸に近い位置には、人間が構築した城塞都市ファルコンがある。

 

 リステア大陸の諸国が協力して構築した、人の誇る最大級の城塞都市だ。


 グランダム王国とエグゾス帝国、その他魔族からの被害があった各国は、無差別に出現し人々を殺戮する魔族を退ける為に手を組んだ。


 連合軍の動きは当初こそもたついていたが、やがて魔族を押し始めた連合軍は魔大陸へと進軍を開始した。

 

 数年後、魔大陸に進軍した連合軍は、ノスフェラトゥ中部地区に、忽然と屹立する要塞バールに動きを阻まれた。

 

 無数の魔獣と亜人に守られた難攻不落の要塞を前に、人は進軍の足を阻まれた。

 

 人は要塞バール攻略のための拠点として、ファルコン砦を構築した。

 

 初の人間の前線基地として作られたファルコン砦は、当初は小さな物であったが、数十年という歳月の中で、一つの都市へと進化した。

 

 各国から戦士、傭兵が集まり、物資が集まり、そしてり商人が流れ込み、また防具や武器を造る職人が集まってきた。

 

 経済は活性化しさらに人が集まり、砦は街となり都市となった。

 

 そして今日も人と魔との戦いが起きていた。

 

 

 人間達の一大拠点、六芒星の形をとる城塞都市ファルコン。そこから北に50キロほどの距離に、背の高い山々と森に囲まれた、ぽっかりと開けた空間がある。

 

 その空間には、荒涼とした大地から盛り上がる、円錐形の建造物があった。

 

 要塞バール。

 

 人の叡智では構築不可能かと思われる巨大建造物は、およそ魔族の不可思議な魔力で作られたものなのか。


 要塞は魔法防御の結界に守られ、魔力弾による砲撃を全く受け付けず、さらに龍族の鱗のように堅牢な外壁は、投石器などでは傷をつけることもできなかった。

 

 要塞の周囲には幾つものトーチカが配置され、また投石機や魔力弾を装填する魔弾砲台が配置されている。

 

 高さ100メートルは有るだろう円錐建造物の突起部には、出窓が幾つもあり、亜人が周囲の様子を伺っていた。


 建造物にはそれ以外にも、魔弾砲台が高所に配置され、高所からの砲撃を可能としている。

 

 更に周囲のトーチカにはゴブリン族、オーク族といった亜人たちが犇めいており、魔法生物である石造りの巨人(ストーンゴーレム)や各種の討伐ランクA以上の魔獣たちが、周囲を固めていた。

 


 難攻不落の要塞として人間の進撃を足止めして、はや数十年。魔族殲滅を目論む人間にとって、大きな障壁となっていた。

 

 周辺諸国の連合軍は、何度か様々な攻略を試みたが、常に最後の要塞攻略で手を拱いていた。

 

 数万の兵をひきいてて攻め、多数の犠牲を払って亜人や魔獣を掃討したとしても、要塞バールからの無数の魔力弾の砲撃の前に、甚大な被害をだしてしまう。


 要塞バールの入り口は堅牢な鋼の門が閉じており、門までたどり着き、コレをこじ開けようとしても、頭上から降り注ぐ魔力弾や攻撃魔法に晒され、次々に死者を出してしまった。


 人にとっては、まるで悪夢のような要塞でもあった。

 

 今日もまた人間と亜人が遙か下で戦い、血を流している。

 

 要塞バールの、地上50メートル以上に設けられた居住区エリアの一角では、地上で戦う人と亜人を見つめている者が居た。

 

 クラレット色の美しく長い髪を揺らし、ラベンダー色のローブを身に纏った、少女。

 

 頭には金色の細い冠を被り、ローブには金と銀を鏤めた宝飾品のような飾りが施されている。肩から白くスラリと伸びた手が、窓枠に触れると、細い金と銀のブレスレットがカチャリと鳴り、顔を向けると、ピアスが揺れた。


 金銀で彩られた少女は、窓から戦いの行方を見ていた。

 

††

いつもご愛読有難う御座いますm(_ _)m


沢山のブクマや評価を頂き、作者のテンションも相変わらず高いです。

((( o(`・д・´)o )))


どんどん高めてやってください。高まると一日の投稿数が増えるかと思います。

これからもどうぞよろしく、応援のほどお願い致します

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