<25> ゴスロリ少女は危険な香り?
オーガの死体にゴスロリ少女というシュールな絵柄です。
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真紅の髪の毛の上には、小さな黒い帽子をちょこんと載せて、肩から肘までを露わにし、豊満な胸元がやけに強調されたセクシーなミニドレス。
肘から手甲までを覆うレースの手袋と、ミニドレスから伸びる脚を覆う網タイツ。膝近くまでは厚底のパンクなブーツ。
俺の記憶に間違いなければ、偶に見ていたネットのエロ動──げふんげふん。
そ、そういう類の奴が着ている、ゴスロリとかゴシック・ファッションとかいう奴だ。
変な趣味とかいうな、前世の事は黒歴史なんだよ。
それは置いといて、なるほど中世ヨーロッパのファッションだから、元祖ゴシックってやつか?
なかなかにセクシーだ。
あの少女、年齢は幾つなのかな、俺と同じ年くらいか?その辺りだと思うが、妙に色気が有る。
その前に、なんであんな少女がこんな森の奥に居る。
「あの子、なんで此処にいるの?」
「ねえ、ジュンヤと同じくらいじゃない?歳。」
「そうね、12,3歳ってところかな。オーガの死体の近くで、平気なのかな……やっぱ普通じゃないよね。」
リリスとレヴィも違和感を感じ取っているのか、杖を握りしめている。ニトロとグルームも同様だ。
俺も先ほどからなんとも言えない、異質な気配を感じていた。
──まさかあれ、人間だよな?
そう、真紅の髪がどうこうというわけではないが、醸し出される雰囲気が違うのだ。そしてこの雰囲気を俺は一度体験している。
何故かムカムカとし、こみ上げてくる畏怖と憎悪が入り混じったような感情が湧いてくる。
今ならわかる、少女から漂うのは、敵意と殺意と……侮蔑。
──あれは、敵だ。
「なっさけない糞亜人、もう一度戦っておいで?」
言うなり少女は、手を胸の前に差し出すと、爪を立てた。そうまるでネコ型猛獣のように爪を立てたのだ。
そして抜手も見せず、次の瞬間にはオーガウォリアーの胸に手が突き刺さっていた。
「げっ」
ニトロが顔を顰める。
「何してんだ、あのガキ、死体だぞ?」
グルームも同様に眉を顰めるが、
「やばいよっ!!」
レヴィが叫んだ。
思わず俺もニトロもレヴィに視線を向ける。
視線を逸らしたその時、背後で音がした。大きな何かが立ち上がる様な、重々しい何かが地を舐めた音だ。
「GRUUUUHHHHHH」
うねり声が響いてくる。
リリスが目を見張っている。
レヴィもギリッと歯を噛みしめて、鋭い視線を向けている。
俺はまさかという思いの中で、振り返る。そこには果たしてオーガウォリアーが仁王像のように立ちはだかる姿があった。
何故だ。
奴は死んだはずだ。ニトロが確認してるんだ、間違いは無いだろう。だが、何故起き上がった、何故立っている。
まさかこいつも不死なのか。俺と同じ称号を持っているというのか。
「ったく人間なんかに殺されてんじゃないよ、だから亜人なんて糞だって言ってんのに、ゼクスフェス《三面女》め。さぁ、もう一度行っておいで~我が下僕となって♪」
オーガウォリアーの傍らでは、さっきの少女がニヤついた笑みを浮かべ、手に着いた血を舐め、白過ぎる程白い肌を朱に染めていた。
よく見れば先程よりも妖艶な顔をしているのは、興奮しているからだろうか。
「あの女、吸血鬼だ。」
レヴィが叫ぶ。
「UGYAGALALALLALAAAAAHHH!!」
オーガが咆哮した。
妙な位置に垂れた首の位置、崩れた頭から血と脳漿を垂らし、片目はどろりと眼球が飛び出している。
断ち切られた鎧からは、臓物が溢れ出ている。
どう見ても生きているとは思えない、なのにまるで……悪夢か。
悪夢の産物が首にまだ刺さっている俺の長剣を抜くと、ぶんぶんと振り回し、こちらに向かってよたよたと歩いてくる。
「死んだオーガをゾンビにしたんだ。気をつけてっ!」
レヴィが叫びながら、素早く呪文を詠唱すると、頭上に巨大な火焔球をつくり上げると、オーガゾンビに向かって投げつけた。
「ほう……」
オーガゾンビの向うで、少女が関心したような顔をしていた。
直径1メートルは有るだろうか、巨大な焔の塊が地を這うように飛ぶと、オーガゾンビを炎の中に包み込んだ。
「GO,,GOGYAAHAHAHAH!」
首を垂らした状態でどうやって叫んでいるのか、それはともかくオーガゾンビは焔の中で悶えていた。
俺は抑えがたい嫌悪の中で走る。
悪夢の怪物に向けて、金剛体を掛け、身体強化を掛け、握りしめた拳に魔力を集めた。
「おや?」
また少女が呟いた。だがそんなものいまはどうでもいい、俺が走る後からニトロも走る、グルームも走る。
「ぶっ壊れろバケモン!」
燃え上がるオーガゾンビに向け、俺は地を蹴り跳び上がる。
長剣が俺をぶった切ろうと横薙ぎに来るが、俺の剣なら問題はない。よく切れる剣だが、普通の剣を鍛えただけの剣だ。
長く使っていた剣だが、それだけに鍛えながら騙し騙し使っていたのだ。さらにさっきの戦いで、かなりヤバイことになっている。
左腕のガントレットで防ぐと、鋼がぶち上がるような音が響いた。同時に、俺の長剣が折れてしまう。
──あ~あ……
俺は腹の中で嘆息しつつ、燃えるオーガゾンビに向けて渾身の力で拳を放った。
「俺の剣を折りやがってぇぇ、爆裂拳!」
胸鎧に鋼鉄以上の硬度を持つ拳がめり込み、同時に魔力が放出された。
ドブアッッ!!
オーガゾンビの背中が破裂し、血と臓物が撒き散らされる。
「糞がァァ生き返るんじゃねぇぇ!」
その後を追うようにニトロの大剣がオーガゾンビの両足を横薙ぎに、ニトロの双剣が折れた長剣を掴む腕を叩き切った。
オーガゾンビが崩れ落ちる。
……だが、まだ蠢いている。
がくがくと口が開閉し、残った腕が何かを求めて動いた居る。
「臭いのは元から立たないとダメってか?」
ニトロが大剣を上げると、オーガゾンビの頭目掛けて振り下ろした。
グジャッと嫌な音がして、首が潰れた。
いや大剣をハエ叩きみたい使うなよ……
う~、流石にこみ上げてくる物があるな。
俺は嫌なものから逸らすように、視線を少女へと向けた。
「へぇ~、結構いけるじゃん?」
少女がくすっと笑みを浮かべると、見事な牙が見えた。
妖艶で人間離れした美しさ、吸血鬼ってのは間違いなさそうだ。
死んだはずのオーガを蘇らせたのも、吸血鬼の能力ってことか?
「狩人にも結構戦える奴がいるんだねぇ。」
赤い唇を舌が艶めかしく舐め、ちらっとこちらを見た。
足元に転がる雷神剣を踏みつけて。
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