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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第一章 今度の人生はスローライフで行こうと思ってたのに、どうしてこうなった
23/109

<23> 雷神剣はトラウマかもしれません

神の武具は反則なのです、聞いてないぞ~~


※少々エグイ残酷シーンがあります。気分が悪くなられるかもしれませんので、ご注意ください。


††


 破壊的な膂力で振り回される雷神剣ライトニングブレードを、盾で受け止める度に、あたり一面に雷撃が迸り、ゴレムの体を貫き焼いた。


「ぐあぁぁ、この雷撃、俺の鎧と盾を貫きやがる。」


 ゴレムが歯を食いしばり雷撃のダメージを耐えていた。鎧と盾には属性耐性の付与エンチャントが掛けられているが、それすらも貫いてくる。

 

「なんだありゃっ!ゴレムの鎧と盾は、属性耐性が高いのに、リリス!やばいぞ、耐性を強化してくれっ!」


 雷撃が雨のように降る中、ゴレムが焼かれる様をみて、ニトロは叫んだ。


「わ、わかったぁぁ!」


 雷撃の範囲から離れた場所で、リリスが慌てて詠唱する。


「ふざけろっ、何で神の武具(アーティファクト)をオーガがもってやがるんだ!!聞いてねぇぞっ!」


 グルームがニトロに文句を投げつける。

 

 暴風の様に振り回される雷神剣ライトニングブレードを避け、それでも剣戟を入れていく。


 一度でも剣を交わらせば、雷撃が容赦なく襲ってくる。死ぬには至らずとも、行動不能スタン状態になるかも知れない。グルームはゴレムほど頑丈ではないのだから、それだけは避けたい。

 

「うるさーい、文句をいう暇有ったら攻撃しなさーい。」


 レヴィが叫ぶと、ペリドット色の髪を振り乱し、杖を振り上げた。

 

「集え水の精霊(ウンディーネ)、我が敵、醜き魔の者を穿け!」


 呪文詠唱と共に、魔力がレヴィの周りで吹き荒れ、水の柱が幾つも立ち上った。

 

 オーガウォリアーがそれに気づいたのか、視線がギロリとレヴィを捉え、雷神剣ライトニングブレードを構え動いた。

 

 ずんずんっと足音を響かせ、オーガウォリアーが走った。

 

「GURURURURUAAAAOOOOOOHHHHHHHH!」


 そうはさせじとニトロとグルームが剣を奔らせ、オーガウォリアーに向かう。


 刹那、レヴィの最後の呪文詠唱が終わる。

 

「貫け、ジェットストリームッ」


 杖の先から魔力が放出すると、水の柱が幾つか迸った。柱の尖端が細く尖ったかと思うと、ドリルのように渦を巻いてオーガウォリアーに向かって一直線に向かっていった。

 

「うぉぉ、やべえ、あんなもんぶち込んだらレヴィにターゲットがいっちまう。」


 ゴレムが焦りヘイト操作魔法、ウォークライの発動準備に入る。

 

 同時に尖端を尖らせ回転する、複数の水のドリルが走っていたオーガウォリアーを貫いた。

 

「GOAAAHHHHHHHHH!!!!!」


 鎧を貫かれ、身体を貫通する水のドリルに、叫び声を上げてよろけるオーガウォリアー。鎧に空いた幾つかの穴から血が吹き出していた。

 

 しかし尚も怯まずに脚を踏ん張り、剣を振り上げ、雄叫びを上げレヴィに襲いかかった。

 

「来るぞっ!」


 ニトロが叫び、ゴレムが盾を構えた。

 

「対雷防御強化ッ!」


 リリスが属性耐性防御を放ち、ゴレム雷属性の防御を強化した。

 

「ありがてぇ!こっちを見やがれぇぇ、ウォークライっ!」


 ゴレムがウォークライを発動し、盾を激しく剣で打ちつける。

 

 オーガウォリアーがゴレムのウォークライに気を取られ視線を向けると、ゴレムにむかって剣を振り下ろした。

 

「こいやぁぁぁっ!」


 ゴレムの大盾が軋む様な音をたて、雷神剣ライトニングブレードを受け止めた途端、凄まじい雷撃が辺りに放出されゴレムを貫いていく。

 

「がぁぁぁぁぁっ!」


 必死の形相で耐えるゴレム。

 雷耐性が掛かっていても、激しい雷撃にゴレムの身体が打ちひしがれている。

 

 そこへニトロとグルームがオーガの横から斬りかかる。

 

 左右にジグザグに走り、雷撃の嵐を掻い潜り剣を振る2人。

 

 俺はオーガたちをあらかた片付け、ゴレムに向かって疾走った。

 

「ゴレム、肩を借りるぞっ!」

「おおおおおおおっ!」


 雷撃に耐えるゴレムに怒鳴りつけるや、ゴレムの肩を踏み台にして宙に舞った。オーガの視線が俺を捉えるが、剣はゴレムの盾に喰らいついてギリギリと軋む音がたてている。

 

 ウォークライの効果時間はあと数秒。

 

 雷撃の降り注ぐ中を跳躍し、オーガウォリアーの頭を超えた所で両手の剣を振り上げた。途端に辺りに降り注いでいた雷撃が直撃し、俺の身体を突き抜けていく。

 

「がぁぁくそがぁぁぁあああ!」


 雷撃の衝撃に耐え、奴の角と角の間に狙いをつけ、頭頂部に向けて剣を叩きつけた。

 

 バキンッ

 

 鈍い音がして兜がバックリと割れ、剣が頭を直撃し血が迸る。だが僅かに皮膚を切っただけだ。こいつは並みのオーガに比べてやたらと硬くできてやがる。


「こなくそぉぉぉっ!」

 

 俺は右手を剣から離すと、拳に魔力を溜めて、渾身の力で剣に叩きつけた。


──爆裂拳


 拳から迸る魔力が剣を伝って、奴の頭蓋に到達する。グシャリと嫌な音がしたかと思うと、頭蓋骨が破裂して、噴水のように血が吹き出し、割れた頭蓋骨の間から、破壊された脳漿がドロリと滴った。

 

「GIGYAAAHHHHHHH!!!」

 

 オーガウォリアーが頭頂部から、血の噴水を立ち昇らせ仰け反る。俺は振り落とされる前に離した剣を掴み、仰け反った首めがけて剣を突きだした。

 

 だが同時に盾から外れた雷神剣ライトニングブレードが、俺に向かって突き上げてきた。

 

 俺を串刺しにしようと突き上げた雷神剣ライトニングブレードが、俺の胸を捉える。

 

──くそ、魔力が足りなかったか。


 時間があまりに少なすぎた。刹那の時間では拳に集めた魔力も、それほど多くはない。奴の頭蓋と脳の一部を破壊するだけで終わってしまった。

 

 もっと時間があれば、オーガウォリアーの頭を吹き飛ばしてやれたのに。


 いやそんなことより今の状況だ。


 剣先が胸当て(ブレストプレート)に突き刺さり、胸当て(ブレストプレート)の鋼板が斬り裂かれ、【金剛体】を掛けている俺の胸に当たっている。


 ほんの僅かな時間ではあるが、俺は目まぐるしく思考し、今置かれている状況を分析する。

 

──まじか


 俺は思う。この雷神剣ライトニングブレードってのはなんて斬れ味なんだ、と。

 

 俺の【金剛体】スキルは剛体術をレベル50まで上げると発動できる上位スキルだ。レベル1ですでに鉄以上鋼の硬さを持つ。

 

 俺の金剛体はレベル3に達し、それは俺の皮膚の硬さを鋼の剣以上、魔剣や魔法強化された鎧レベルにまで高めているわけだ。

 

 だがその皮膚が呆気無く切り裂かれ始めている。

 

 剣先が鋼鉄以上の硬さを持つ皮膚を斬り裂き、徐々に肉に食い込み始めている。


 鋭い痛みと共に剣が胸に突き刺さり、肋骨を貫き心臓付近まできたところで、雷撃を迸らせた。雷撃が俺の身体に流れ込んできた。


「$#%&#$」


 声にならない声が迸る。

 

 身体が破裂しそうになり、思考が吹っ飛びそうになる。もちろん雷耐性は上げてある、だがこの強烈な雷撃はいったいなんだ。


 魔法剣士が剣に雷を乗せた程度じゃない。


 思い出した、こいつはアイツと同じだ。そうだ、三面六臂の女──アスラが持っていた剣だ。

 

 亜人もろとも雷撃で討滅し、俺を殺した剣だ。

 

──何故オーガが持ってやがる。


 何故だ、何故なんだと考える間もなく、思考がブツッと途切れた。 


††

いつもご愛読有難う御座いますm(_ _)m


沢山のブクマや評価を頂き、作者のテンションも相変わらず高いです。

((( o(`・д・´)o )))


どんどん高めてやってください。高まると一日の投稿数が増えるかと思います。

これからもどうぞよろしく、応援のほどお願い致します

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