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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第一章 今度の人生はスローライフで行こうと思ってたのに、どうしてこうなった
22/109

<22> コッペルも頑張ってるようです

コッペルちゃん凶暴化……

††



「ウゥ~~~~~ッ」


 コッペルも上を見上げ、低い唸り声を上げている。

 

 滝の上に何かが居た。暗闇の中、月明かりに浮かぶ巨大な体躯、赤く光る双眸。頭には突き出た角が生えている。

 

「オーガだっ!」


 俺は見上げたまま叫んだ。

 

「なにっ!」


 ニトロが俺に追随して滝上を見上げる。

 

 その時巨大な体躯が宙に舞い上がり、急降下して滝壺の中へと落ちた。

 

 激しい水飛沫が上がり、俺たちの所まで水が掛かる。

 

 同時に森がガサガサとざわめいたかと思うと、多数のオーガが現れた。

 

 それもそこらにいる野良オーガじゃない。統率された兵士ポーンのオーガだ。

 

 棍棒などではなく、釘バットのようなギザギザした鉄のスパイクを付けたメイスやモーニングスターを持って、肩や頭に鉄の鎧を付けている。

 

「なんだあいつらぁぁぁ!」


 ニトロが引き攣った悲鳴を上げる。

 

「おい、ニトロどうなってんだ。」


 グルームも叫ぶ。

 

「しらん!聞いてねーぞ!オーガポーンを数十も引き連れているなんて聞いてねーっ!」


 ニトロが喚く。


 つまり依頼にはウォリアーの討伐しか、書かれていなかったってことだろう。

 

 俺達がオーガの群れに気を取られていると、アイツが滝壺から浮かび上がってきた。

 

 俺は直ぐに双剣を抜いて【金剛体】を発動させる。

 

 アイツは水の中で飛び上がると、地面に降り立った。

 

 オーガウォリアー。

 

 全身をゴツゴツとした、岩のような鎧で武装し、ギラギラと異様に輝く刀身を持つ両手剣を装備している。

 

 身の丈にして3メールはあるだろうか。並のオーガよりかなり巨大な体躯を、岩のような鎧で包んだ鬼がそこに居た。

 

 見難い鬼面に灯る赤い双眸が、俺達をじろりと一瞥し、鬼面の口が開くと、耳を劈くほどの咆哮が夜の森に響き渡った。

 

 しかし何故ここにオーガウォリアーいるのか、奴の移動ポイントはもっと先ではなかったのか。疑問は沸いてくる。

 

 だが今はそんなことを考えている場合じゃない。


 それよりも俺は震えていた。

 

 ガクガクと体が震え、闘志が漲って来る。

 

 期待はずれのゴミがっ!


「糞オーガどもがっ」


 オーガを殺せる、その喜びに歓喜に打ち震え、口角を吊り上げ、憎しみの炎を燃やし笑みを浮かべた。


「全員武装、戦闘用意。」


 ニトロの掛け声に、全員が素早く武装を終えて武器を構えた。俺はその動きに感心する。緊急事態だというのに、慌てることもなく装備を完了したのだ。

 

 流石に戦闘慣れしているということか、どんな場所でもどんな時でも速やかに戦闘準備が完了する、こいつらプロだ。

 

 ゴレムが盾を構えウォークライでオーラの敵愾心を自分に向ける。続いてリリスが筋力増強、防御増強をかけていく。


 さらにレヴィが全員に風の結界を張り巡らした。簡単にいえば敵の攻撃を風がプロテクターとなって逃がしてくれる。但し効果は一回だけ。

 

「ジュンヤッ!筋力強化ストレングスいくよっ!」

「はははぁぁぁぁ、てめぇら、1匹残らず殺してやるからなぁ」

「……ありゃいっちまってるよ。」


 リリスの筋力強化ストレングス魔法を受け、俺は奔る。30匹近くはいるだろう、オーガポーンの群れに向かって笑いながら走った。

 

「馬鹿野郎、あんなのどうするつもりだぁ!」


 ニトロが何か叫んでいるが、俺はもうとまらない。

 

 まず、あいつらを血祭りにしてやる。


 マントの中に手を差し入れ、マントの中に括りつけたゴルフボール大の球体を幾つか引きちぎり、オーガポーン共に向けて投げつけた。

 

「解呪、魔力弾爆散っ!死にくされぇぇ」


 ゴルフボールが奴らに当たる直前に、魔法で造った結界を解除し爆発を命じる。


 オーガが飛んできたゴルフボールに向かって、モーニングスターを振って撃ち落とそうとするが、その直前にゴルフボールは白い爆発を起こした。

 

「GIGYAAAHHHHHH!」

「GAAAAAHHHHH!」


 魔力爆発が起こり、オーガポーンが悲鳴をあげ、彼等の身体は千切れ飛んで、血肉の塊となって四方に散った。

 

「な、なんだいまのわぁ、ジュンヤァァ!お、おまぁぁ」

「凄い、何なんのあれ、爆裂魔法?」


 背後からニトロやレヴィの声が聞こえてくる。

 

「はははははっ!死ね死ね死ねぇぇ、鏖しだぁぁ」


 俺はマントからゴルフボールの様な球体──魔力弾を次々に引き千切り、向かってくるオーガポーンに投げつけ撃破していった。


 そしてまだ生き残っているオーガポーンに向けて、剣を抜く。右手に長剣、左手にショートソードを持つと、狂喜に歪んだ笑みを浮かべて、斬りつけていった。その横を並行に走っていたコッペルが、俺を追い抜いてオーガに向かっていく。

 

「コッペル!やり過ぎるな、俺の分もとっとけよっ!」

「グルァァァァ!」


 俺が叫ぶとコッペルが返事をするかのように唸り声を上げ、オーガポーンに襲いかかっていく。

 

「GUWAOOOOHHH!!」


 生き残った鬼がモーニングスターを振りかざし、コッペルの小さな身体に振り下ろす。


 一撃でも受ければ潰され、肉片となるだろう。だがコッペルは地を蹴り、振り下ろされるモーニングスターを躱す。

 

 跳んだコッペルは身体を捻り回転させると、口が大きく開き、鋭い牙を伴って、オーガの腹に喰らいついた。

 

「GIGYAAAAAHHHH!!」


 オーガポーンは悲鳴をあげる。

 

 コッペルが喰らいついた腹から、血が吹き上がる。オーガポーンは腹に喰らいついて回転するコッペルを、引き剥がそうと腕を伸ばすのだが、コッペルは回転しながら、まるでドリルの様に腹の中へと潜り込んでいった。


「うわぁ……」


 それを見ていたのか、リリスとレヴィがエライ顔してドン引きしている。

 

 まあそうだな、あの可愛らしさで、敵の腹食い破って内臓を食っちまうとか


「たく、相変わらずエゲツ無い。」


 俺は嘆息し、背中から血塗れで飛び出てくるコッペルに引き攣り笑顔を向けながら、自分の仕事に戻った。

 

 まずは前菜を喰らってから、たっぷりとメインディッシュを堪能するんだ。

 

 俺とコッペルがオーガポーンを倒していく間に、ゴレムとニトロ、グルームが走り、オーガウォリアーに向かった。

 

「来いやぁぁぁぁぁっ!!

 

 ゴレムの怒号が合図となったかのように、オーガウォリアーが疾走った。手に持った両手剣をも凌駕する程の巨大な剣がふりあげられ、ゴレムに向かって振り下ろされた。

 

「おおおお、、、がぁぁぎゃぁぁぁぁぁっ!!」

 

 オーガの剣を盾で受け止めた、ゴレムが叫び声を上げた。

 

「なにっ!」


 ニトロはゴレムが受け止めたタイミングで、オーガウォリアーに斬りかかろうとするが、凄まじい雷撃が迸り、攻撃のタイミングを逸してしまう。

 

「あの剣は雷神剣ライトニングブレード──神の武具(アーティファクト)かよっ!!」


 グルームが剣から迸る雷撃を見て叫んだ。

 

††

いうもご愛読ありがとうございます。


三連休最終日なので、2話目をお送りしました。

明日からは朝一の投稿だけとなりますので、ご了承ください(溜めてるのすぐに尽きちゃうから)


今後ともよろしくお願いいたします。

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