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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第一章 今度の人生はスローライフで行こうと思ってたのに、どうしてこうなった
15/109

<15> 忘れない……あの日.2

日間ランキング26位及び冒険1位、戴きました。

ありがとうございます<(_ _)>


やはり六本腕は反則です


††

 

 まずい。

 

 俺は踵を返して森の中を疾走った。背後から亜人達の叫び声が聞こえてくる。オーガの巨体が地面を踏み鳴らす音が聞こえてくる。

 

 俺はとにかく奔った、しかし奴らの機動力は俺を上回っている。特にゴブリンは動きが素早い。どんどん追いついて来る。

 

 しかしこのまま逃げたとしてどうする。数百の亜人を引き連れて村まで逃げ帰るのか?

 

 馬鹿げている。それこそ村は終わりだ。こんな群れに攻めこまれたら、結界が破られる。

 

 奴らを止めないとっ!

 

 俺は決意した、あんな亜人の群れと戦って勝てる自信なんて無かった。だけど俺は死なないんだ、不死なんだ、だからスタミナの続く限り戦える。チートなスタミナの続く限り奴らを倒してやる。

 

 俺が村を守るんだっ!

 

 立ち止まり、剣を抜いて振り向いた。

 

 襲いかかるゴブリンの群れを次々に切り裂き、拳と蹴りで撲殺する。直ぐにオーク共が襲い掛かってくるが、長剣を振り回し斬り捨てる。直後に他のゴブリン共が一斉に跳びかかり俺の身体に剣を突き立てた。

 

 突き刺された剣は届かない、しかし突き刺された衝撃が襲いかかり、一瞬怯んだ。そこにオーガが棍棒を打ち下ろす。

 

「がぁっ!」

 

 【剛体術】を発動して居ればダメージを負うことはない、だけどショックは有る。脳天に振り下ろされ、脳みそが揺れた。頭がくらくらする。軽い脳震盪か、だがそれがどうした。

 

 俺は夢中で剣を振り回し、亜人共を切り裂いていった。スキルアップメッセージ、レベルアップメッセージが脳裏を駆けるが、気にする余裕なんて無かった

 

 斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬

 斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬

 斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬

 

 バタバタと地面に倒れこむ亜人達、それでも奴らは怯まない。俺に向けて剣が振られ棍棒が振られ、俺はその都度衝撃を受けた。

 

 数十匹を斬り倒した所で、剣が折れた。親父からもらった剣が折れて砕け落ちる。そこにチャンスとばかりに亜人共が襲ってくる。

 

 剣なんて飾りですよ、なんていったら親父から怒られそうだけど、俺の武器は剣だけじゃない。

 

 徒手空拳。岩を砕く拳と脚。

 

 武器なんて無くても、俺は全身が凶器だ。そのために鍛えてきたんだ。俺の大切な人たちを守るために。

 

 オーガの顔を殴りつける、それだけで奴の顔面が砕け、首がへし折れる。ゴブリンを横薙ぎに蹴る、肋骨がベキベキと折れていき、血を吐き出しながら転がっていく。

 

 どの位戦っているのか、周囲を埋め尽くした亜人たちを相手に、俺は気が遠くなるほど戦った。振りかかる血が目に染みる。一瞬でも目を閉じれば、奴らの攻撃が襲いかかってくる。

 

 ダメージは殆ど無い、HPも殆ど減ってない。こいつら俺にダメージは与えられない。だがスタミナがどんどん失われていった。凄まじい速さでSPが減り続けている。

 

 まるで全速力でマラソンしてるようなもんだ。しかしこいつらを倒さないと、村が、親が、そしてアマンダが殺される。俺の力が続く限り……

 

 

 俺の戦いは途中で終わった。

 

 凄まじい雷撃が俺の真上に落ち、周囲の亜人もろとも吹き飛ばした。

 

 また雷撃かよ。ドジ女神がまたドジッたか?

 

 気を失いかける衝撃に耐え、脚をふんばり宙を見つめた。そこには三面六臂の女が、真っ黒な蝙蝠の翼を羽撃かせている。

 

 能面の様な無表情の顔、赤い瞳が俺を見つめている。

 

 また襲いかかってくる亜人達、俺の身体に絡みつき、身動きできない俺に再び雷撃が落ち、再び雷撃に駆逐される亜人達。

 

 無駄だ。

 

 幾らでも来い、

 

 テメエらの戦力が減るだけだと叫ぼうとした。だが俺は驚愕に固まった。

 

 HPが減っている。それも15%程。

 

 嘘だろ、と見上げた。

 

 防御力も魔法防御もカンスト状態の俺に攻撃が通っていた。たった2回の雷撃魔法で俺のHPを削るほどのダメージを与えるなんて、奴はいったい何者なんだ。

 

 すると能面の顔が横を向き、横にあった顔が正面を向いた。それは憤怒の表情。怒りの顔が正面を向いた。穏やかな何の感情を示さない顔が、悪鬼のような顔となり、六本の腕に剣が装備され、俺に襲い掛かってきた。

 

 空から舞い降り、蝙蝠の翼をたたむと、六本の手が巧みに動き、六本の剣が矢継ぎ早に俺に斬りかかった。俺は腕で剣戟を防御する。剛体術を発動した俺の身体は岩みたいなものだ。剣など通じるわけがない、そう思っていた。

 

 しかし切られた腕が血を吹き出し燃え出した。さらに切られた箇所が血を吹き出し凍りついた。切られた腕が雷撃に麻痺した。

 

──属性剣!

 

 こいつの持つ剣は属性ダメージを与える剣だと悟った。

 

 打撃のように襲いかかり、風がまとわりつき皮膚を切り裂き、切られた箇所が真っ黒に染まっていく。

 

 其々に異なる属性を持つ剣が、次々に俺を切り刻みダメージを与えていく。

 

 いままで俺の身体を傷つける者など居なかったのに。【剛体術】はすでに発動させているのに、なのに俺は切り刻まれていく。

 

 一撃一撃はそれほどのダメージではない。腕は斬り裂かれるが、腕を持っていかれる程ではない。だが、そんな小さなダメージでも、高速で繰り出される剣戟にHPがどんどん減り続けていく。【再生】スキルの回復速度が全く間に合わない。

 

 しばし身を守り驚愕していたが、このままではまずいと悟る。

 

 この攻撃を受け続ければ、いずれHPを全部削られ死ぬだろう。

 

 だが死んでも蘇るはずだ。

 

 しかし俺は今まで死んだことがない。蘇るまでにどの位時間が掛かるのか、何か条件でもあるのか、それを実践していなかった。

 

 死んでもいいが、死んだあと蘇るまでが問題だ。

 

 俺は焦りながら反撃する。腕で剣を受け止め、三面六臂の女を殴りつける。しかし虚しく拳は避けられ、蹴りを居れても防がれた。

 

 こいつは剣術も武術もかなりレベルが高い。俺なんかよりも数段上だ。

 

 勝てる気がしない。俺は嬲られるままにどんどんHPを削られていった。これが実力の差ということなのか。

 

 平和に暮らしてきた、そのなかで自分にできる限り力をつけたはずだった。だがそんなものは、本当の実力者にかかれば、こんなものなのか。

 

 俺は井の中の蛙に過ぎなかった。

 

 この怪物、恐らく魔族は強い。

 

 相当な強さを持っている、俺の防御力を貫き、様々な属性の剣で傷つけてくる。


 こんな奴らがなんで此処に居る、なんで亜人を集めいてた。

 

 俺は答えの出ない迷路で立ち止まり、ただただ蹂躙された。

 

 負けられない、俺が倒れたらこいつらはきっと村に雪崩れ込む、負けられない、負けてたまるかっ


 ついに剣が俺の身体を突き刺した。丁度心臓のあたり。

 

 流石に体の動きが停まる。


 痛みはすでに麻痺している、ただ身体が思うように動かない。


 血が口から溢れ、息苦しさを覚えながら、そしてさらに次々に、六本の剣が身体を突き抜けていく。


 手が

 足が

 身体中を突き刺された。

 

「がぁぁああっ」


 串刺しにされた俺を、アスラが怒りの面で見つめている。

 

「ま、まだまだ、、、」


 心臓を貫かれ、体中を串刺しにされて尚、俺は腕を振り上げようとする。

 

 瞬間俺の身体は斬り裂かれ、ばらばらと地面に落ちていく。

 

 

 

 俺は死んだ。

 

††


いつもご愛顧ありがとうございます


ジャンル冒険の一位を戴きました

<(_ _)>


益々の応援に感謝致します

ありがとうございます

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