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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第一章 今度の人生はスローライフで行こうと思ってたのに、どうしてこうなった
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<14> 忘れない……あの日.1

先ほど仕事が終わり飯食ってひとごこち。

というわけで、1話アップさせていただきます。


あの日……といっても女の子のあの日ではありませんよ



††


 俺は忘れない、あの日のことを。

 

 9歳の年のあの日、俺はいつもの様にアマンダと森で狩りをしていた。

 

 魔獣を狩り、暇な間に希少な薬草を採取する、そして訓練という名のアマンダとのど突き合い。まあいつもの如くアマンダと仲良くやっていた。

 

 平和で長閑で、時々魔獣の返り血で血塗れの日々。

 

「ジュンヤ、なんかね。」


 薬草を採っていたアマンダが、不意に何かを言おうとする。

 

「どうしたんだ、腹でも減ったか?」


 俺は手を休め、笑顔で振り向いた。最近アマンダはよく食べる。成長期ってやつなのかな。まあ俺もよく食べるが。

 

「ううん、違う。……なんか、なんて言うんだろ。そわそわするの。」


 来年には10歳とはいえ、アマンダはまだ子供だ。そんな時もあるのかなと、俺は優しく笑った。頭に手を添えて撫でてやる。

 

 アマンダはこれが好きだ。本人曰く、気持ちが休まってほっこりするらしい。だから撫でたんだけど、今日はどうも収まらないらしい。

 

 何かに急き立てられるような、妙なそわそわとした感じが止まらないという。

 

 10歳と言えば、そろそろ女の子の日でも来たのかな、とか思ってみるが、それは口に出せないな。

 

 俺は木の根っ子に座りアマンダを呼ぶと、隣に座らせて肩を抱いてやった。

 

「……ほっとする」

 

 アマンダは目をつぶり、俺に凭れ掛かってくる。

 

「このまま、ジュンヤとずっとこうして居たい。ジュンヤ、大好き。」

 

 何を今更、と口に出さずに


「俺もだよ、アマンダ。」


 と頷いてやる。それに俺もそう思っていた、ずっとこのままだと。

 

 俺はずっとこの村で暮らし、ずっとアマンダと狩りをして、いずれ一緒の家に住んで、アマンダは子供を産んで、俺が寿命で死ぬまで、平和な日々が過ぎていくんだと、そう信じていた。

 

 アマンダも同じだったはず。

 

 

 

 

 しかしその日、俺の平穏な日常が壊された。

 

 

 

 

 森がざわついた。

 

 突風ではない、なんだろう、森がざわざわとざわついている。

 

 長年狩りをしている森の異変に、俺は立ち上がった。

 

「なにかおかしい。」

「うん。」


 おとなしいはずの小動物が泡食った様に走っている。鳥達が一斉に飛び去っていく。凶兆?なにか異変でも起きているのか。

 

 まさか大地震とかくるのか?

 

「アマンダ、村へ戻ってくれ。」

「ジュンヤはどうするのっ!」


 俺はざわつく森を見つめた。何かが起きている、それを確かめる必要がある。何かがあったとしても、俺なら滅多に死ぬことはない。なにせ【不死神】を持っているんだ。

 

 それにもし地震ならここは危険だ。村なら平地もあるから、家の傍に居なければ安全だし、森と違って倒木もない。

 

「俺なら大丈夫。でもアマンダは戻れ、村に森の異変を知らせるんだ。俺も確かめたら直ぐ戻る。」

「……絶対だよ、絶対帰ってきてよ。」


 アマンダが心配そうに俺を見た。俺は首肯し応える。

 

「俺は頑丈だからね。」


 アマンダが泣き出しそうな顔で俺を見て、コクリと頷くと疾風の勢いで走り去った。まさかこれがアマンダとの最後の会話になるなんて、この時の俺は思っても見なかった。

 

 

 

 地震の前兆なのか、なにかは解らない。もし森でなにか異変が起きて動物が逃げ出したとしたら、俺は狩人ハンターとして確かめる義務がある。

 

 森の奥へと【隠密】スキルを使い忍び込んでいく。足音や気配が消され、魔獣に気取られずに近づける、狩人ハンター必須のスキルだ。

 

 森の奥は何やら静まり返り、先程までざわついていたのが嘘のようでも会った。

 

 しばらく奥へと潜り、これ以上潜ればゴブリンの集落があり、場合に寄ってはオークやオーガが出てくると注意されていた地点まで行く。森が割れて岩山を背にした広場があった。

 

 俺はそこで信じられないものを目にする。

 

 ゴブリンが集団で居た。それも数百という軍勢、それを囲むゴブリンの倍以上、大人程の背丈があるホブゴブリンや豚面のオーク達、さらに大人よりも背が高く、角を生やしたゴツゴツした身体をしているオーガがいた。これら亜人が数百も集まって、円を描いて整列していた。

 

 円の中心には見たことも無い奴がニ人居る。

 

 あれはいったい何なのか。

 

 俺は震えていた。そいつを見るだけで身体がぶるぶると震えてくる。それが畏怖なのか恐怖なのか、だが奴らは強いってことだけは解る。

 

 一人は黒い甲冑を纏って黒い馬に乗っていた。だがそいつには首が無かった。そいつの頭は──髑髏の様な頭が右手に抱えられている。それに馬も首が無い。

 

 アレはなんだ。

 

 そいつは異様な気配を放って、何かを亜人の軍勢に伝えているようだった。距離があるから声は聞こえない。だが髑髏の顔がかくかくと動いて、何かを言っているようだった。

 

 その隣には黒い蝙蝠のような翼を持った正面の他に左右に2つの顔を持ち、6本の腕をもつ、三面六臂の──紫の軽量鎧ライトプレートアーマーの胸の膨らみからして──女がいる。六本の腕で腕組みをし、眼をつぶっていた。

 

──なんだあいつらは。

 

 あれは絶対マトモな奴らじゃない。俺の本能が告げている。あいつらを見ているだけで、ムカムカしてくる。あれは滅ぼさなければいけない、人間と対立する種族だ。

 

──魔族。

 

 そのワードが何故湧いてきたのか判らない。だが奴らは正に魔族だ。

 



 前世の記憶では、首を手にした黒騎士はおそらくデュラハン。北欧の神話に出てくる怪異だ。そして三面六臂の女は確かインド神話のアスラに蝙蝠の翼をつけた感じだ。

 

 どちらにしてもこの世界と俺の前世の神話がリンクしてるとは思えないが、奴らが人間の敵だとは本能が教えてくれている。絶対に相容れない奴ら。そもそも亜人の軍勢を前にして、襲われる事もなく何か話している事自体がおかしい。

 

 亜人は人間を見れば襲ってくる。亜人は女を浚い孕ませる。亜人は人間を喰らう。奴らは人間の敵なのだ。そいつらを従える奴らが、人間と友好的なわけがない。

 

 俺は身体を震わせた。

 

 もしあんな軍勢が動いたら、もし村に向かったら。いくら防壁魔法がかけられていても、そんなもの簡単に突破されかねない。

 

 俺は慌てた。直ぐに村に知らせて避難させないと。

 

 ガサッパキッ

 

 足元で小枝を踏みつけた音がした。

 

 まずい【隠密】が切れていた。【隠密】のレベルが低く、ちょっとした動揺でスキルが切れてしまう。

 

 三面六臂の女の眼が開き、俺をみた。途端にオークやオーガが一斉に俺を見た。

 

††

皆様のお陰で日間ランキングのトップ50位圏内に入ることが出来ました。

(´;ω;`)ブワッ


以前から書いてて、日間ランキングに入れるなんて、ほんと……しかも49位とか

苦しめってことですね、死ねってことですね。


皆様のご期待に答えて~~~


大感謝です。

明日の朝も時間に余裕があれば、出勤前に更新致します。

出来なかったらごめんなさいm(_ _)m

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