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ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第四章 魔大陸侵攻
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<M13> 出陣の時

††


 俺も悪かった。


 アリスの実力を恐れながらも、一度は本気で戦ってみたい、そんなのが有ったのかもしれない。だから強行に断らず、なぁなぁみたいな感じで受けてしまったのだが。


 やっぱエキジビションマッチは、たっぷり休養を取った後にして欲しかった。


 魔道士達との試合で思い切り魔力を使ってたし、だいたいその後にアリスと殺り合うなんて、当初の予定になかったからな。


 しかしここまで魔力を消費したのは初めてだ。ぶっちゃけ使い切ったらどうなるのか知らないけど、少なくとも回復には時間がかかりそうだな。


 たっぷりと食事を……ん~なんか喰っても喰っても腹が減ってる。もう優にいつもの4倍は食べてるのに、まだ腹が減ってる。


「体力と一緒です。ゆったり休養をとって休めば、体力も魔力も回復します。ですが消費したエネルギーが大きすぎる場合、完全には回復しません。使用した分、同等のエネルギーを補給してないと回復しないのです。」


 とはマリアのお言葉。


 なるほどそういうことか。いままでこんなに使った事なかったからな。そういえば魔力弾を作ってる時、調子に乗って魔力を半分位消費したら、やたら腹が減ってた時があったな。


 あれと同じってことか。








 そして俺の魔力が完全回復した三日後、各師団から選抜された総勢3万名を超える精強な強者共が集結し出陣を待っていた。


 いままででも最大規模の作戦が始まる。


 でもなんで今まで全軍出撃とかしなかったのかな。全軍揃えれば5万とか6万にもなるんだから、バールを一気に攻め落とせるんじゃないの。


「攻めた部隊が全滅したらどうするんだ?」

「えっと……全滅とかするか?」

「可能性はゼロとは言えない。万が一にでもそうなれば、ファルコンを守る戦士がいなくなる。ファルコンが落ちれば、再び魔族たちが大陸を襲いにくる。」


 俺の疑問にクリフが紳士的に応えてくれた。すいませんね、戦争は素人なもんで。


 出陣に当たって、マーク将軍は鼻息も荒く兵士たちに檄を送った。


「今回こそ『勇者』アリス様とジュンヤ殿の助力のもとに、魔族の要塞を陥落させるのだ」



 と。


 いつのまにか俺とアリスが勇者になってるぞ。でもそんなこと云われるとこちょばいぞ。もっとも勇者と言われた時、アリスが物凄い嫌な顔をしてたけど、何故だろう。


 集結した兵士たちの中には、アリスに腕を飛ばされたアレックスの姿も見える。腕はくっついたみたいだが、多分憎んでるんじゃなかろうかと思いきや、どこか崇拝するかのような視線で見ている。


 あの時本気でかかったのはアレックスだけ、それだけにあっさりと腕を飛ばされて、その力に心酔してしまったようだ。ほんとに此処って力こそ全てなんだろうな。


 ほかの最高戦力の奴らも、どこかアリスに一目を置いてるようだ。それと対等レベルで戦った俺にも、なんか熱い視線が注がれていた。

 さらに騎士達にしても、アリスへ注がれる憧憬は、まさに《戦いの女神》や《戦乙女》を見るかのような視線をアリスに注いでいる。


 宗教の始まりっぽいなぁ。


 で、俺は?知らん?男にはそこまで興味はない?


 あそですか。





 さて戦略だが、現代戦であれば無人機を使った精密爆撃とか、ジェット戦闘機で空爆しておいて、次にヘリ部隊の対地ミサイルで更にふっ飛ばしたところを、戦車大隊が乗り込んでって砲撃。生き残りを歩兵部隊が溝さらいしていくって感じかな。


 とはいえこの世界に空からの空爆ってのは、それこそ飛竜ワイバーン部隊とかを使うしか無くて、それにしても飛竜ワイバーン部隊はミサイルのような遠距離攻撃ができない。なにせ飛竜ワイバーンに乗れるのは訓練された飛竜騎士団だけだからね。


 彼等のは弓で居ること、そして高速で敵に接近し襲うこと、そんなもんだ。敵の近くまで行くと、逆に弓矢や魔法で撃ち落とされちゃうこともある。だからそれほど強力な部隊じゃない。


 それでも上空から矢の雨を降らせるのは、結構な有効な攻撃手段っぽいんだけどね。


 てことで、ここでの主役は機甲部隊。


 遠距離砲撃筒は前回の出撃からさらに改良強化され、凡そ1,000メートル以上の長距離射程を持つ。これは魔道士の放つ魔法の射程距離は愚か、長射程を誇っていた魔弾砲台の射程距離200メートルを遥かに凌駕するものだ。とはいっても近代兵器のような精密射程は出来ない。


 まあそんなもんだろう。つーかGPSを詰んだ近代兵器の様に、数キロとか数十キロ先の目標を誤差わずかで精密爆撃する、なんてことは不可能だ。なんせ長距離まで飛ばす筒を装備した、魔弾砲台ってわけだから、ある程度の狙いは付けられても、発射したあとは神に祈るだけだ。


 仮にこの世界に自衛隊の師団が出現したら。近代兵器の数々を配備し人工衛星があって、準備万端で魔族に向かったとしたら、いったいどうなってしまうのだろう。


 無人偵察機、そして気配も感知できない超長距離から飛んでくる地対地ミサイルや、20キロ以上もの長距離から狙える戦車砲。さらに音速を超えて襲ってくる戦闘機。


 例え炎龍とやらが出てきたとして、果たして魔族に勝ち目なんて有るのかな。


 そう考えると近代兵器って、ほんと凶悪だよな。まだこうして辺境の土地で、戦うやつだけ集めて小競り合いしている方がマシってところだろうか。


 それはそうと出撃の時間だ。いよいよ奴らの本拠地?とも言える要塞に乗り込んでやる。


 ゼクスフェスの言う事が本当なら、それが俺の予測どおりなら、アマンダはあそこにいる。絶対に取り戻す!



 夜明けと共に3万名の騎士が動き出し、次いで移動式魔弾砲台500門。移動式大型弩砲バリスタ1,000台、そして遠距離砲撃筒100門が動き出した。


 数十年の長きに続いた魔族の要塞を攻略する為に。


††

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