表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドジな女神に不死にされました  作者: 無職の狸
第四章 魔大陸侵攻
101/109

<M08> ジュンヤの実力

ジュンヤの実力が試されます。

††


 俺の相手は魔道士達4人。


 実力は宮廷魔道士以上、連合軍最高の魔道士達だ。さてそんな輩に、俺はどう戦えば良いのやら。第一今まで魔道士と戦ったことなんて無いんだからね。


 オーガファイターにしてもルミネスにしても、どっちかってーと力押しでの闘いだった。強固な防御力と耐性でのゴリ押しだ。いざとなっても死にはしないのだから、無茶苦茶なやり方だった。


 初の魔道士相手にどうするべきか、とはいえ俺には魔法に対する耐性が有る。どんな魔法でも無効化するほどの耐性なので、まあ問題は無いだろう。




「なあアリス、ジュンヤって魔法に強いのか?」


 クリフが心配してるのか、アリスに訊ねている。そういえばクリフは俺が戦っているのを見たのは、先日のゼクスフェスの時だけだ。あの時は戦っているというより、アリスに振り回されていただけのような気もする。


 それなのに対魔術師戦闘に、何故アリスが俺を推挙したのかが不思議なのだろう。


「大丈夫、見ていれば判りますよ。」


 アリスはこれから始まる闘いを、楽しみにしていろという。確かに俺のステータスはアリスに教えてあるけど、クリフはそのことを知らない。またクリフが俺を睨んでるし、なんか変に勘ぐられるのはゴメンなんだけどな。


「ジュンヤがんばれーーー」


 ルミが楽しそうにぴょんぴょん跳ねてるのが可愛らしい。


 さあ、がんばろうか!!


 俺の相手となるのは第8師団と第9師団から選出された、神聖アリストラ法国出身の4人の魔道士達だ。


 魔大陸に来て何度となく魔族との戦闘を掻い潜ってきた、歴戦の強者達だ。マーク将軍に云わせると、上級魔法は愚か、超級魔法迄使えるそうだ。


 さすがにこのような狭い場所では超級は使わないだろうし、そもそも超級となれば範囲魔法であって、対個人戦のものじゃないはず、と思いたい。


 でも何故だか知らないけど、俺たちを囲んでいた兵士や騎士達が離れていく。


 なんかやばくね?




 俺は模擬刀を構えて彼等に挑む。一応悪くも恨みもない人を斬るのは躊躇しますからね。敢えて模擬刀にさせてもらった。


 魔道士たちは俺を四方から囲み、十分な距離を取っている。


 魔法の詠唱には時間が掛かる。彼等が攻撃を開始する前に、剣士が斬りかかる事は十分可能だ。そのハンデの距離とも言えるけど、その前に十分な防御魔法が掛けられていたけどな。


 多分幾つもの防御結界が張られているんじゃないかな。まあ殴ってみれば解るか。



「はじめっ!


 開始の合図と共に俺が動く、縮地で一気にとも思ったけど、最初は様子見。あちらも軽く様子見してくるだろうと思ったら、いきなり中級魔法の集中照射をしてくれた。


 大したもんだ、詠唱速度が半端無く早い。高速詠唱、いや殆ど無詠唱にちかいな。瞬時に魔法が放たれた。これが最前線の実力ってやつか。


 足元が泥濘に変わり走る事ができなくなる、慌てて跳び上がって避けたところを、重力操作が襲ったようだ。というのはなんか俺の体重が少し重くなったような気がしたからだ。


 恐らく普通の奴なら、泥濘に叩きつけられたのだろう。だが俺は汚泥の範囲を超えて、軽やかに地面に降りると、模造刀を手にしてまず一人目に斬りかかった。


 そこに横から魔獣すら吹き飛ばす突風が、轟音を立てて襲いかかる、だが俺に打つかった途端にそよ風となって霧散した。

 

 魔法抵抗様々といったところか。


 この程度の魔法など全く意に介さずに、颯爽と斬りかかって壮年の魔法使いを横薙ぎにした。だが相手も最前線の魔道士。彼の身体には物理攻撃に対する防御結界が張られている。


 模擬刀がいい音を立てて弾き返された。このやろ。中年の魔法使いはニヤリと口を歪ませると、杖を俺に向ける。

 

 途端に轟音を上げて猛烈な火焔が舞い上がり、俺を包み込んだ。


 でも残念、俺には通じない。焔に包まれたまま笑う俺を見て、壮年の魔法使いは驚いた顔をしている。俺は構わず模擬刀に魔力を流し込み一薙ぎ、まずは数枚張られた結界をぶち破り、次いで魔力を消して横腹を殴りつけた。


 魔道士って防御結界は強固だけど、自分が付けてる防具は割りとヤワなはず。下手に魔力を流し込んで殴ったら、真っ二つにしちゃうからね。


 骨の数本は勘弁してくれ。


「な、なんだこいつわ!」

「何故魔法が通じないっ!」


 魔道士達は自分たちの放つ魔法が、俺に全く効いていないことに気づいて狼狽している。そりゃそうだ。魔法防御力がとんでもないんだから、中級程度の魔法など効くわけもない。


 超級となればどうなるかわからないけど、死ぬことはないだろう。だけど超級となれば詠唱時間は長い、剣士相手に単独で戦うには不向きだ。


 俺はさらに近くにいる魔道士に向けて走る。魔道士達は戦慄はしているが、それでも果敢に魔術を唱えはじめた。


 激しい落雷を受け、さらに地面が揺れ動き盛り上がり、酸の湧き水が俺を包み込んだ。


 ついで地面が盛り上がり土の壁が俺を包むと、空から氷槍が無数に降ってくる。


「か~凄いな、あんなの食らったら死んじゃうぞ。」


 クリフがあっけに取られて零した。そりゃそうだ、対人間の魔法じゃないよな。こいつら本気でやってないか?アリスの実力に圧倒されて、マジで向かって来てる気がする。


「ダイジョブ。ジュンヤあんなの平気。」


 ルミが余裕の顔で見てる。同じようにアリスも黙って薄ら笑いすら浮かべて、まるで俺の能力の限界を覗っているようにも見える。


 さて、こんな本気の魔法だ。本来なら氷槍で串刺しにされたり、酸の湧き水で溶かされたり、落雷でズタボロになるんだろうけど、大したことはない。落雷はちょっと眩しいくらい、酸の湧き水は温泉だし、氷槍は俺に触れた途端に粉微塵になって消滅していった。


 俺の魔法防御って改めて魔道士と戦うと、チートだと判る。石のように硬いはずの土壁も俺が触れて押すと、ボロボロと崩れて土に戻っていく。


「む、無傷、だと……」


 いや濡れたし、防具がちょっと溶けてるけど。


「馬鹿な、アヤツも化け物かぁ!」


 かなり驚いてる、アヤツもってことは、やっぱアリスはバケモノだと思われてるのかな。うん、アリスがちょっとムッとしてる。


 わりいな、俺に魔法は効かないんだわ。それが例え最前線の最高戦力であっても、大したダメージも与えられないんだわ。


 土壁から出ると俺の身体に光る鎖が幾重にも絡まり、雷の束が収束してレーザーのように襲ってきて俺を貫いた。ちょっと衝撃があり、俺の防具が焦げて穴が空いた。


 ちょっとまて、普通ならこれ死んでるんじゃね?こいつらマジで俺を殺す気みたいだな。


 とりあえず光る鎖を軽く力を込めて弾き飛ばし、お前らの魔法ってこんなもんなのか、と言わんばかりに魔道士たちを一瞥した。


「う、うそだ、悪夢だ!」


 誰かが目を血走らせて狼狽している。そりゃそうだろうなぁ。悪夢だろうなぁ。


 すると3人が同時詠唱に入った。集団魔法って奴かな?時間掛かるし、面倒だから全員ぶっとばしてもいいけど、ちょっと時間を与えてみた。


 集団魔法がどれだけ凄いものか、実戦テストってやつだ。


 なんて思ってたら、地面がぐらりと揺れたかと思うと、恐ろしげな煙が立ち上りなんかが現れた。


「ありゃ、まさか召喚魔法?」


 なにやら煙が人の形を作っていく。兵士たちも声を上げて驚いてるな。


「GUUUUOOOOOOOHHHHHHH!」


 耳をつんざく様な咆哮と共に出現したのは、身体がピカピカしてる巨人だ。体長は4メートル近くあるか。見るからに硬そうなピカピカした歪な身体といい、ああこいつは。


「行け、鋼鉄の巨像(アイアンゴーレム)、アヤツを潰せ!!」


 誰かが叫んだ。


 なるほどゴーレムを呼び出したか。しかも鉄製ときてる。上級召喚辺りかな。


「GOOOOAAAAHHHH!」


 鉄の巨像達が不気味な顔で吠えた。本物はやっぱ迫力あるなぁ。


††

ドジな女神が終わってないのに、新作をアップしてしまった(汗)


『遙かな男の娘 ~目覚めた僕は此処でも男の娘でした~』

少し毛色の違う異世界?ストーリー、どぞ読んでやって下さい。第一部一話を順次公開中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ