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07.狩猟

 私は、時々、方向を確認しながら、森の奥を目指した。


 少し進むと立ち止まって、動物のフンとその周辺の植物を丹念に調査し、採取しながら、森の奥を目指した。

 日差しが差し込む手前では、小物の動物のフンしか、見つからなかった。


 なので、私はもっと奥を目指した。

 かなり、うっそうとした森で、大物の動物の糞を発見した。


 この植物に、この糞ってことは、・・・。


 私は、サイドポケットから、小刀を出すと、それを右手に持った。


 用心深く進んで行くと、いきなり前方から、悲鳴と共に、三人の男子たちが、走ってきた。


 なんだぁー。


 よく見るとその後ろから、丸々と太った黒毛獣が、彼らを追いかけている。


 三人は私の横をすり抜けて、そのまま走り去る。


 黒毛獣も私の横を、すり抜けようとした。


 私は、その横をすり抜けようとした黒毛獣の角を掴むと、その背に飛び乗った。


 黒毛獣は、私に気がついて、振り落とそうとして、暴れる。


 私は持っていた小刀を首筋にある頸動脈、目がけて、突き立てた。


 先生は飛び出してきた三人を救うために、銃を構えて、黒毛獣を撃とうとしていたが、その銃の背に、私が乗って飛び出してきたので、咄嗟に銃口を下げた。


 黒毛獣は、先生の目の前、森の入り口近くまで走り、そこで力尽きて、その巨体を横たえた。


 全員が黒毛獣を唖然とみつめた。


 私は、所有権を主張するため、黒毛獣の背から降り、宣言した。

「この黒毛獣の所有権は、私のものです。」


 先生は、黒毛獣の返り血で、顔を真っ赤にしている私を唖然としたながら、見つめた後、頷いてくれた。

「ああ、わかった。だが、怪我はないのか?」

 思い出したように、聞かれた。


「別にありません。でも、これ調理場まで、自分で運ばないと、調理してもらえないですか?」


 私の質問に、先生は唖然としながら、答えてくれた。

「いや、今、私が、調理場に連絡する。」

 先生は、ボウッとしながらも、魔法筒を三発放つと、料理場から、人がかけてきた。


「めずらしいですね。ラッキーボーイは、誰ですか?」

 太ったおじさんが、先生の所に駆けて来て、獲物を見て、唖然としている。


「これ、先生ですか?」


「いや、私じゃない。」


「はいはーい。私でーす。」

 私は獲物の所有権を主張した。


 ここできちんと主張しないと、黒毛獣が、他の人のものになる。


「えっ、女の子が仕留めたの? この大きいの?」


「はい、そうです。早く運んで、調理をお願いします。」

 私が、そう言うと、おじさんは黒毛獣を見て、私を見て、なぜか、もう一度、調理場の方に、駆けていってしまった。


 しばらく、シーンとしていたかと思うと、調理場からワイワイ人が、集まってきた。


 その中には、調理場の料理長である、オリョウさんの姿もあった。


 オリョウさんは、黒毛獣の周囲を回って、大きさを測ると、持っていたポケットから紙を出すと、それに金額を書きつけた。


 すぐ、それを私に示す。


 私はその金額に、横線を引くと、さらに金額を書き換えて、差し出した。


「ほう。理由は?」


「解体は私がします。なので、解体代を差し引くと、その額になります。」

 オリョウさんは、私の顔を見て、さらに周囲の大人を見る。


「で、どこで解体する?」


「ここで解体します。なので、肉を置く台をお願いします。」


 オリョウさんは、面白そうに、私の顔を見ると頷いた。

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