表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/47

10.それを、お裁縫とは、言わないわ!

 次の日の早朝、私はオリョウさんお手製の朝食を食べると、昨日お誘いのあった、キラン先生の裁縫教室に、足を向けた。

 すでにそこは、半数以上が女子で埋まっていた。


 所々に、なぜか男子の姿もあった。

 ザワザワしながら、昨日の先生が来るのを待っていると、教会の鐘の音とともに、豪華なドレスを着た、キラン先生が現れた。


 全員が素早く立ち上がって、優雅に先生にお辞儀をした。

 私も同じように礼をする。


 キラン先生は頷くと、全員に座るように、促した。

 全員が着席した途端、キラン先生は、一人一人に、一枚の布を渡す。

 それが行き渡ると、目の前の壁に、三枚の図案を出した。


 一枚は複雑な図案の鳥で、二枚目がそれよりは、簡単な花、最後の一枚は、直線が等間隔に引かれていた。


「さあ、これだというものを、針と糸を使って、その布に描いて、ちょうだい。」

 全員が、自前の針と糸を出すと、チクチクと縫い始めた。


 私も同じように、白い糸を出すと、目の前の一番簡単な直線に取り掛かった。

 一人一人、縫い終わると、キラン先生に見せに行って、部屋から出て行った。

 最後に私の他に、先程見かけた数人の男子だけが残って、チクチクとしている。


 キラン先生は近づいてくると、残って縫っている数人に男子を見ると、一人ずつ手元を見ながら、合格を出して行った。

 最後に私の所に来る。


 私の縫った後を見て、眩暈を起こして、机に突っ伏した。


「それはいったい、何なの?」


 私は黙って、壁の図案の一番簡単なものを示した。

「これがあれなわけないでしょ。縫った糸の長さはめちゃくちゃ。線は斜めに縫えているし、どうしたら、こうなるの?」

 やはり、そう言われたか。


 父もこれが苦手らしく、これだけは、全くできなくても、今まで何も言われなかった。

 とはいっても、裁縫以外は、教えられなくても、やれば出来たので、なぜこれだけ自分で出来ないのか、自分でも、疑問に思うほどだが・・・。


 キラン先生は、項垂れた後、目に炎を燃え上がらせた。

「これは、天が私に与えた使命よ。必ず、あなたに裁縫の楽しさを、教えてあげるわ。」

 なんと、その日は、もう一枚の布を渡され、五日後の授業までに、その宿題をしてくるようにと言って、その日は、解放してもらった。


 私は、もう一度、昼食を食べに、オリョウさんの所に戻ると、午後は護衛術を教えている教室で、授業を受けた。

 これは、あっという間に出来てしまって、すぐに教室を放り出された。


 なので、その後は隣の教室でやっていた、パーティ準備のテストを受けた。


 これも普段、父の仕事ぶりを見ていたので、一回のテストで合格してしまった。


 次の日は、体術と薬学、その次の日は、剣術と棒術の授業も受けて、それらすべてを、一日でクリアした。


 その後は、また、苦手な裁縫の授業を受けた。

 私はやって来た宿題を、キラン先生に提出した。


 また、ダメ出しを食らった。


 今度は、同じ宿題を、六日後までに、やって来るように言い渡された。


 私は、頷いて、教室を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ