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 ふいに、裏口が開く音がした。

 振り向くと、背の低い黒い羽の男がいた。

「おっ、金あるじゃん」

 そう言いながら、外を見て「こっちだぞ」と大声を出す。

 ぞろぞろと、施設の前にいた悪魔たちがやってきた。

 先頭きってやってきたのは、体の大きな糸目の男だ。

「悪いな、姉ちゃんたち。あの兄ちゃん、俺たちの相手が疲れたみたいで寝ちゃったんだよ」

「入口は鍵がかかっているから、裏に来たけど、最初からこっちに来ればよかったな」

 悪魔たちの言葉にゾッとする。

 リックは大丈夫だろうか。

 近所の人が助けてくれればいいけれど。

 とはいえ、こっちはこっちで大ピンチだ。

 三対五。

 悔しいけれど、勝てそうにない。

「お金を払えばいいんでしょう。いくらですか?」

 ミアは彼らに聞く。

 すると、糸目の男がミアをじっと見た。彼がリーダーか。

「そこにある金、全部だ」

 やっぱり。

 ミアは、袋をリーダーに渡した。しかし、次の瞬間。ミアはその男に腕を取られた。

「あと、おまえも貰おう」

「ちょっと、離してよ」

「可愛い顔してるじゃん。すげー好み」

「可愛くなんかありません。全然ダメな顔です」

 ミアはここぞとばかりに小顔体操で培った変顔をしてみせた。

 男は一瞬呆気にとられた顔になる。

 よし、成功? と思ったが。

「おまえ、おもしれー」と、かえって相手を喜ばせてしまった。

「ほら、暴れるなって」

 男がミアの鼻になにかを当てた。

 変な匂いだ。

 体から力が抜けていく。

 腕や足がだらんとなり、コントロールが効かない。

 これ、死んじゃうやつ?

「……二人には手を出さないでよ……」

 イレインとエディに何かあったら、みんなが悲しむ。

 そのてん、ミアは外れ者だ。

 イレインやエディの口ぶりでは、二人だけでなくミアを悪く思う人は多いのだろう。

 ミア自身も、八歳の時に自分から命を手放した。

 ジャスティンが助けなければ、この場にさえいなかった。

 そう思うと、八歳から二十四歳までの十六年間まるまる得をしたではないか。

 それに、ミアが死んでも、両親は大丈夫だ。

 彼らには施設の子どもたちがいる。

 ロザリンは、悲しむかもな。

 そして、ジャスティン。

 ミアが死んだら、また両親が彼への返済をすることになる。

 両親はミアのようには払えないだろう。

 ミアの両親にお金を貸すなんて、ジャスティンは何を考えていたのだろう。

 貸金業者としての彼と再会したとき、ミアは驚いた。

 ほんと、あれは、いきなりだった。


 そこで、ミアの意識は途切れた。



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