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 夕暮れ時、ミアのもとに一人の男性が彼の妻を伴いやってきた。


 男性はお金の入ったボストンバックをテーブルの上に置くと、ミアに頭を下げた。

「今朝、妻がミアさんに酷いことをしてしまい、なんて謝ったらいいのか」

 ミアに卵をぶつけた女性もしぶしぶといった感じで頭を下げてきた。

「かまいません。それも、私の仕事の一部だと思っています」


 それがミアの出した答えた。


 ミアは大金が欲しい。

 そのために、ロザリンをパートナーに一獲千金の「カモ」を捜してお金を貸しているのだ。

 高い利息だ。

 ミアにお金を借りた相手は、いわばギリギリの精神状態なのだ。

 それをミアは、わかっているつもりで、わかっていなかった。

 帳尻があうんだからといって、誤魔化していた。

 彼らの苦しみと向き合うのを避けていた。

 自分はきれいな場所にいたかった。

 自分は悪くないと思いたかった。

 貸金を営む覚悟ができていなかったのだ。


「夫が謝ったのに、その言い方ってなんですか? あなた、女性のくせにこんな仕事していていいと思っているんですか? 恥ずかしくないんですか?」

 男性の妻が、ミアに食い掛る。

 彼女の気持ちはよくわかる。

 けれど、ミアは今、その先にきた。

「奥様がご覧になりたいように、お考えになりたいように、私や仕事についてとらえてくださって結構です」

 女性は顔を赤くすると、ミアの部屋から出て行った。

 そのあとを、男性が追う。

 二人が大声で廊下でもめる声が聞こえる。

 アパートメントの住民に、迷惑料としてフルーツケーキを焼いて持っていこう。



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