学歴的実存
処女作品。
底辺高校底辺クラスに通うコンプレックス人間。他者からの承認を得るため学歴を求めるが、変わらない自分に絶望する。理想に近づけない高校時代の苦悩を1人称で語る。
2年生で成績が右肩上がりになった私は3年生から進学クラスに行くことにした。クラスメイトは知らない人ばかりであった。しかし、人間関係の不安はなく、進学クラスの授業レベルに付いていけるか不安はあったが、定期テスト対策をすれば80点以上は取れた。進学クラスは大したことない。大事なのは大学受験だ。全国の猛者たちと競いあった前回模試で偏差値36を叩き出した屈辱から猛勉強した。休日はもちろん、平日も休憩時間を全て勉強に回した。そうして挑んだ共通テスト模試で偏差値37の数字を見て無能感に苛まれ憤慨し家の壁には複数穴が空いた。
毎朝教室で自習していると今はもう辞めた部活の坊主頭をした同級生が話しかけてくる。単語帳が開かれているのが見えないのか邪魔だと言っても毎朝つまらない話をしにやってくる。朝に限らず話し相手がいないと私のところにやってくる。この坊主はぼっちを恐れている。1人でいるところを見られるのが恥ずかしいのだろう。坊主が他人軸で生きているのに対して友達も作らず勉強し孤の強さをもった自分に酔いしれた。だが坊主以外に話せる人がいないわけではなかった。孤高を極めていたら体育のペア探しは地獄と化すが友達の友達がいたためそうはならなかった。その子はクラスで私以外とほとんど話さない。そして受験期のストレスの5%はこのインキャくんだった。放課後毎日のようにラインで嫌がらせがくる。ゴキブリのグロ画像であったり垢まみれの男根であったり。ブロックすると謝罪されたので解除すると再び送信してくる。この繰り返し。余談だが人間関係が苦手なインキャくんは大学を不登校になって退学した。心の病になっていたらしくおそらく原因は人間関係だと推測した。クラス内で国立大学志望は私の他にもう1人いた。逆転合格を目指しているという境遇に意気投合し仲良くなるには時間はかからなかった。私たち2人は他の人とは違うんだと優越感に浸っていたのは私だけだろうか。
受験期は人生最大のストレスだったように思う。いつまで経っても上がらない成績に発狂し壁に穴を開けまくり祖父からもらったベッドをサンドバックにし破壊音を聞いた母はヒステリック。無能な自分を産み落として今の苦しみを与えた元凶がリビングでテレビを観て大笑いしていると怒りが込み上げてきた。リビングに行きテレビのリモコンを切って笑うなと伝えたこともある。1番の味方にそのようなことを言って後悔するが、やはり怒りが抑えられずに八つ当たりを繰り返す。その時母はブラック企業に転職し夜は悪夢にうなされ眠れなかったらしい。私はそんな事も知らずにストレスを撒き散らしていた。受験期のストレスの9割が不安と無能な自分で残り1割は坊主くんとインキャくんだった。
類は友を呼ぶとあるが、空気を読めない2人と連んでいる私も同じく他人の感情や状況を考えてやれない人なのかと疑問に思っていたが辛い状況の母親に当たる自分を認知して納得した。ストレスは内部だけで完結せず外部にも影響する。顔には赤と白の丘がいくつもできた。今もその痕跡はある。私のニキビの跡いわゆるクレーターに友達が指を当ててきて、月面着陸とバカにされるほどに荒れていた。
11月、滑り止め私立に合格した私は紅葉と共に高揚した。紅葉色に所々真っ赤になった顔に喜びの表情をまとい家族に合格を伝えた。合格後、ずっと限界を感じていた理系を辞める旨を担任に伝えた。無能ゆえに文転するという本当の理由は告げなかった。伝えると涙が溢れ出そうだったからだ。
体育祭や遠足は自宅で勉強するために欠席、友達と遊ぶことも極限まで減らし青春を捨てた。全ては偏差値の高い大学に行くために。ずっとそうだこの生き方は昔から変わらない。その歳頃において注目されるものを求めてきた。足の速さや面白さ、陽気な性格やクラス内カースト、武力そして頭の良さ。同級生に取り残されないよう、見下されないように行動してきた。
命に匹敵するほどの財産を注ぎ込んで挑んだ共通テストは惨敗。4割しか取れなかった。とても国立大学志望とは思えない最悪な結果。一日中勉強すれば6割くらいは取れると思ってたがうまくいかなかった。人には向き不向きがあるというがそうは思わない。私には向きがなく不向きしかないからだ。なにをしても上手くいかない自分に嫌気が差し不登校になった。友達に点数を知られるのが怖かったのもある。どこにいくにも単語帳を持ち歩き机に張り付いて勉強したのに結果がこれだと知られて蔑みの目で見られるのが怖かった。学校に行かずに布団の上で現実逃避するようにゲーム画面に張り付いた。国立志望の友達も低い点数を取ったらしく一緒に学校を休んでゲームをした。
三者懇談にて担任は英語だけで受験できる大学を勧めてきた。なんとなく受験することにした。そこで2年生の担任だった先生が英語の先生だったので指導してもらえることになった。谷川先生は陽キャバツイチ女教師だ。2年生の時、低レベル高校低レベルクラスで難関大学に合格するんだと豪語していた私を応援してくれた良い先生だったが陽気すぎて一部からは嫌悪されていた。
谷川先生の指導中、簡単なスペルミスや文法ミスでまたもや無能がばれて落ち込む。下を向いて背中を曲げ身長が低くなった気がした。これ以上縮まないでくれ。今よりも見下されたくない。大きい人を見ると相手の強さを察知して萎縮してしまう。生物として弱い個体なんだと認識してしまう。自分を見下す目は不愉快で怖い。谷川先生は女性というのもあり、自分より身長が低くて安心した。ただやる気がない事がバレて怒られないよう勉強しているように振る舞った。
読んでくれた方ありがとうございました。続編は要らないと言われるかもしれませんが、書く予定ですのでどうぞよろしくお願いします。次回「大学時代前半の悲観主義」




