リナリアってかわいいの
リナリアの花言葉は「この恋に気付いて」
でも、「乱れる乙女心」という意味も。
かわいいと思った。ホームセンターの外で一番前に陳列された花。小さなピンクや白の花が所狭しと咲いている。名前はリナリアというらしい。スマホで調べたら、手入れも簡単で、こぼれ種で再び咲くこともあるのだとか。念のため花言葉も検索して、私はすぐにリナリアが気に入った。かわいいものは無条件で私の周りにあるべき。
入念に苗を選ぶ。一番健康であろう苗を手に取りレジに持っていく。ついでにレジ横に並んでいた「花を元気にする肥料」というものも一緒に購入した。
家に帰って早速プランターの空いている部分に苗を植える。百均で買った赤い小さなじょうろで水をあげる。まださほど温度を持っていない太陽の光のおかげで、水滴はとても目に優しい暖かな光を反射した。
さて、今日こそは。
「先輩、今日飲みに行きませんか?」
「いいねー、って言いたいところだけどまだ終わりそうにない」
先輩は苦笑いをして積まれた書類に手を置く。
「手伝いますよ!」
「大丈夫、ありがとう」
こんな蕩ける笑顔をくれるのに、飲みに行ってはくれない。それでも私は負けない。だって、今まで逃した人はいないんだから。私はかわいいんだから。かわいいで溢れてるのよ。
あーあ、どうしてかな。育て方が悪かったのかな。枯れたリナリアの跡に、再び芽吹くことはなかった。




