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雨上がりの空で、傘をさす。  作者: つな△まよ
一章:目覚めの森
5/7

閑話①:見守る者

※四話直後のこと。


森の中へと入っていく三人の背を、モリスは静かに見送っていた。

彼らの姿が木々の影に完全に消えたのを確かめると、その灰色の瞳をスッと細めた。


「声を掛けなくて良かったのかい……テオ」


その問いかけに応えるように、草むらが小さく揺れ、空気がわずかに動いた。

姿を現したのは、モリスのもう一人の孫——テオドールだった。


「じいちゃん、やっぱり気づいてたんだ」


フィンと同じアイボリーの髪を後ろで一つに束ねる、14歳くらいの少年。

彼の頭には木の葉が付いており、モリスはそれを摘みながら「おかえり」と微笑んだ。


「ただいま」


モリスの手元にある木の葉を見て、少し恥ずかしそうに頬を掻くテオドール。


「それで、どうして葉っぱまで付けて隠れていたんだい?」


「じいちゃん…」と恨めしそうに睨みつけるテオドールに対して、モリスは茶目っ気を目尻に滲ませている。


全く意に返さないモリスにテオドールは溜息をつくと、渋々と口を開いた。


「あの場面でヘラヘラしながら"はじめまして〜"って出て行けるわけないだろ」


「それに……」と続けたテオドールは、三人が消えていった森の奥を見つめる。


「あのふたりとは二度と会わないし、フィンは春になれば戻ってくる」


「そうだろ?じいちゃん」と再びモリスを見て問いかけるテオドールの瞳は、それを確信しているようだ。

テオドールの問いかけに、モリスもまた森の方を見つめる。


「さて、それはどうかな……」


濁すだけで何も言わないモリスに、テオドールは目を細めながら「ふぅん?」と肩を竦めると、それ以上は何も聞かずに小屋へと足を進めた。


揺れる木漏れ日の向こう、

もう見えなくなった三人の道筋へ向かって——

(……私は、君たちを信じているよ)



閑話①

見守る者 完

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